
春夏秋冬代行者 春の舞 上 (電撃文庫)【Amazon】/【BOOK⭐︎WALKER】
評価:★★★★★
2021年4月刊。
神の力を宿した4人の現人神によって春夏秋冬が巡る世界で、四季の代行者と彼らを守る護衛官の絆と切ない感情を描く和風ファンタジー。
いやぁ……凄まじい作品でした……
各人が抱える感情の重さと大きさが途方もない。
かつて世界に見捨てられ、地獄に落とされた二人の少女。
かつて大事な人を奪われ、後悔の中で苦しむ二人の青年。
二組の主従を中心に描かれる物語は、美しくも残酷な世界観をバックに情緒でぶん殴る系でした。
ボロボロに傷ついた心を共依存の中で癒し合い、再起を目指す少女たちの絆がめちゃめちゃよかった。
迂闊に触れたら壊れてしまいそうな儚さがあるのに、彼女たちは懸命に前へ進むのです。戦う意思を携えて。
美しきリベンジャー。可憐にして果敢な少女主従なんです。最高すぎ。
本作には春夏秋冬の4組の主従が登場するのだけど、そのどれもが粒揃い。
主従関係や恋愛関係をはじめとする、様々な形の人間ドラマが読み応えたっぷりに詰まっていました。
友情も愛情も憎悪も苦悩も、あらゆる感情が割り切れずに混沌として描かれるのがとても面白かった。
どんよりと暗い感情で散々殴ってくるのに、最後は晴れやかな気持ちで読み終われるところも素敵です。
主従関係を強く推したい作品ですが、恋愛パートもかなり好み。
初恋が絶望に染められ、苦しみながら春に焦がれる冬の恋が特に好き。。。
ていうか、どこを切り取っても好きだわ。最高のファンタジーがきたよ、これは。
続きも出るらしいです。とても楽しみ!
☆あらすじ☆
『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』の暁 佳奈が贈る、四季の物語。
「春は――無事、此処に、います」
世界には冬しか季節がなく、冬は孤独に耐えかねて生命を削り春を創った。やがて大地の願いにより夏と秋も誕生し、四季が完成した。この季節の巡り変わりを人の子が担うことになり、役目を果たす者は“四季の代行者”と呼ばれた――。
いま一人の少女神が胸に使命感を抱き、立ち上がろうとしている。四季の神より賜った季節は『春』。母より授かりし名は「雛菊」。十年前消えたこの国の春だ。雛菊は苦難を乗り越え現人神として復帰した。我が身を拐かし長きに亘り屈辱を与えた者達と戦うべく従者の少女と共に歩き出す。彼女の心の奥底には、神話の如く、冬への恋慕が存在していた。
暁 佳奈が贈る、季節を世に顕現する役割を持つ現人神達の物語。此処に開幕。
以下、ネタバレありの感想です。
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