

むしめづる姫宮さん (ガガガ文庫 て 2-11)
/【BOOK☆WALKER】
評価:★★★★☆
2019年8月刊。
面白かった!
「悪い虫」に憑かれてしまった少年がお節介に奔走する、ちょっと不思議な青春物語。
「虫」の正体を探るなかで思春期の少年少女が自分の心に向き合う話で、土壇場で見せる主人公の頑張りがとても良かった。
普段はとても卑屈で矮小な少年なんだけどね。でも、誰かのために戦える人って格好いいですよね。
テーマが「昆虫と青春」ということで昆虫の話もたくさん出てきます。
虫が苦手な私ですら「虫って実は面白いのでは?」と思えてくる薀蓄の数々が楽しかったです。
解説役の虫オタクなヒロインがまた可愛いんですよ〜。
好きな分野の話になると饒舌早口になるタイプのオタクです。
主人公と揃って妙に小物っぽいカップルなんだけど、そこに愛嬌があってとても好き。
シリーズ化してほしいなぁ。楽しみに待っています!
☆あらすじ☆
一寸の虫にも五分の魂。それはヒトも同じ。
――宮城県宮城郡浦上町。そこは虫の魂が漂う不思議な町。時に虫の魂は未熟な思春期の若者の魂にひきよせられ、憑いてしまう。そんなとき、町の老人たちは、そっと若者に告げるのだ。「悪い虫に憑かれたら山の上の姫宮さんの所に行きなさい」と。
身も心も小さい有吉羽汰は、ある日突然、身の丈にあわない「おせっかい」をしてしまうようになってしまう。そのことを祖母に相談すると「……悪い虫さ憑かれたんだな」と姫宮さんのところへ行くように勧められるのだった。
だが、そこにいたのは昆虫のことが大好きなだけの、引っ込み思案の女の子で――?
セミの魂に憑かれ、五日おきにしか家を出られなくなった幼馴染み。
バッタの魂で集団化し、学校を支配し始めた女子ダンス部たち。
虫の魂による奇妙な騒動を、羽汰は虫好き少女姫宮さんとともに解決してゆくことになるのであった。
虫と人間、五分と五分の魂が巻き起こす、ちょっと不思議な青春物語。
以下、ネタバレありの感想です。
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