評価:★★★★☆
2018年9月刊。
「薬屋のひとりごと」(ヒーロー文庫)の日向夏さんの最新作。
浮世離れした美しい箱庭であり、常に憂いが漂う妓女たちの世界・妓楼。
そんな妓楼を統べる美しい女と、顔の半分を隠した隻眼の下働き。そして冴えない人買いの男。
妓楼に住み続ける彼らは、様々な妓女たちを美しく育てあげ、やがて彼女たちを見送っていくのです。
見送る彼らの胸に宿るのは、果たしてどのような思いなのか。
秘密を抱えた最低で優しい男の物語に、そして、傷を抱えながらも凛とした聡明な女の物語に、最後まで心を奪われてしまいました。
とても面白かったです!
☆あらすじ☆
今宵も妓館・『太白楼(たいはくろう)』は眠らない。とある花街のとある一角、遊女たちは春をひさいで生きていた。
生娘のまま女盛りを過ぎてしまった静蕾(ジンレイ)、勝ち気で反抗的な万姫(ワンジェン)、別れた男に囚われ続ける思思(スースー)……。そして西施(シーシー)、この世界を統べるうつくしい主。冴えない女買いの男・虞淵(グエン)と下働きの醜い少女・翡(フェイ)を従える彼女もまた、大きな秘密を抱えていた。そんなある日、都から届いた一通の文が妓館の運命を揺るがしていく。偽りだらけのこの街で、本当の幸せとはいったい何か?
遥か古都の遊郭を舞台に綴られる、儚い色里模様の幕が上がる。
『薬屋のひとりごと』日向夏 ×『おしえて! ギャル子ちゃん』鈴木健也が描く、新たな中華小説の誕生!
以下、ネタバレありの感想です。