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月とライカと吸血姫5 /牧野圭祐


月とライカと吸血姫 (5) (ガガガ文庫 ま 5-8)【BOOK☆WALKER】

前巻の感想はこちらから


評価:★★★★☆
2019年8月刊。
新章スタートの宇宙飛行士たちの物語第5弾。
いよいよ月面着陸を目指すのだけど、問題は山積み、フラグも山積みで、本当にどうなっていくのやら。
続きがとても楽しみです。

☆あらすじ☆
誰がために、月を目指すのか。
共和国の宇宙開発が停滞するなか、それまで後手に喫していた連合王国は資金力と組織力を武器に目覚しい成果を上げ続けていた。一方、焦りを募らせる共和国政府上層部は、人命を軽視した無理難題を現場に押し付ける。
〈ライカ44〉の訓練センターの副長官に昇進したレフは、同じく教官を務めるイリナと後進の育成に励みつつ、自らも月への飛行のため訓練を続けていた。
そんな中、レフの同期であるミハイルとローザが結婚するというニュースが飛び込む。しかしそれは、停滞気味の宇宙開発を隠蔽したい政府によって仕組まれた強制結婚。憤るレフとイリナだが、さらなる理不尽が彼らを待ち受けていて……。
宇宙飛行士は、技術者は「人類の夢」のため、いつだって命がけだ。しかし、国家の威信という名の下に、政府の駒であり続けるのは本当に正しいことなのだろうか。
これは、世界が東西に二分され、月を目指し争っていた時代の物語。その光と陰、表と裏の歴史に、宙に焦がれた人と吸血鬼がいた。
宙と青春のコスモノーツグラフィティ、新章「月面着陸計画編」ここに始動!

以下、ネタバレありの感想です。

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むしめづる姫宮さん /手代木正太郎


むしめづる姫宮さん (ガガガ文庫 て 2-11)【BOOK☆WALKER】

評価:★★★★☆
2019年8月刊。
面白かった!
「悪い虫」に憑かれてしまった少年がお節介に奔走する、ちょっと不思議な青春物語。
「虫」の正体を探るなかで思春期の少年少女が自分の心に向き合う話で、土壇場で見せる主人公の頑張りがとても良かった。
普段はとても卑屈で矮小な少年なんだけどね。でも、誰かのために戦える人って格好いいですよね。

テーマが「昆虫と青春」ということで昆虫の話もたくさん出てきます。
虫が苦手な私ですら「虫って実は面白いのでは?」と思えてくる薀蓄の数々が楽しかったです。

解説役の虫オタクなヒロインがまた可愛いんですよ〜。
好きな分野の話になると饒舌早口になるタイプのオタクです。
主人公と揃って妙に小物っぽいカップルなんだけど、そこに愛嬌があってとても好き。

シリーズ化してほしいなぁ。楽しみに待っています!

☆あらすじ☆
一寸の虫にも五分の魂。それはヒトも同じ。
――宮城県宮城郡浦上町。そこは虫の魂が漂う不思議な町。時に虫の魂は未熟な思春期の若者の魂にひきよせられ、憑いてしまう。そんなとき、町の老人たちは、そっと若者に告げるのだ。「悪い虫に憑かれたら山の上の姫宮さんの所に行きなさい」と。
身も心も小さい有吉羽汰は、ある日突然、身の丈にあわない「おせっかい」をしてしまうようになってしまう。そのことを祖母に相談すると「……悪い虫さ憑かれたんだな」と姫宮さんのところへ行くように勧められるのだった。
だが、そこにいたのは昆虫のことが大好きなだけの、引っ込み思案の女の子で――?
セミの魂に憑かれ、五日おきにしか家を出られなくなった幼馴染み。
バッタの魂で集団化し、学校を支配し始めた女子ダンス部たち。
虫の魂による奇妙な騒動を、羽汰は虫好き少女姫宮さんとともに解決してゆくことになるのであった。
虫と人間、五分と五分の魂が巻き起こす、ちょっと不思議な青春物語。

以下、ネタバレありの感想です。

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夏へのトンネル、さよならの出口/八目迷


夏へのトンネル、さよならの出口 (ガガガ文庫)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

評価:★★★★☆
2019年7月刊。
失った妹のことを心に抱え続ける少年。
彼が偶然見つけたのは「欲しいものがなんでも手に入る」という噂がある不思議なトンネルだったーー

夏の暑さがつれてくる、過去に残してきた後悔の記憶。
それを覆せるかもしれないハイリスクな希望。
そして、過去と今と未来を繋ぐ、ひと夏のボーイミーツガール。

この時期になると、夏に読みたくなるノスタルジックで良い青春小説が登場しますね。本作もとても面白かったです。

☆あらすじ☆
「ウラシマトンネルって、知ってる? そのトンネルに入ったら、欲しいものがなんでも手に入るの」
「なんでも?」
「なんでも。でもね、ウラシマトンネルはただでは帰してくれなくて――」
海に面する田舎町・香崎。
夏の日のある朝、高二の塔野カオルは、『ウラシマトンネル』という都市伝説を耳にした。
それは、中に入れば年を取る代わりに欲しいものがなんでも手に入るというお伽噺のようなトンネルだった。
その日の夜、カオルは偶然にも『ウラシマトンネル』らしきトンネルを発見する。
最愛の妹・カレンを五年前に事故で亡くした彼は、トンネルを前に、あることを思いつく。
――『ウラシマトンネル』に入れば、カレンを取り戻せるかもしれない。
放課後に一人でトンネルの検証を開始したカオルだったが、そんな彼の後をこっそりとつける人物がいた。
転校生の花城あんず。クラスでは浮いた存在になっている彼女は、カオルに興味を持つ。
二人は互いの欲しいものを手に入れるために協力関係を結ぶのだが……。
優しさと切なさに満ちたひと夏の青春を繊細な筆致で描き、第13回小学館ライトノベル大賞のガガガ賞と審査員特別賞のW受賞を果たした話題作。

以下、ネタバレありの感想です。

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筺底のエルピス6 四百億の昼と夜 /オキシタケヒコ

筺底のエルピス 6 -四百億の昼と夜- (ガガガ文庫 お 5-6)
筺底のエルピス 6 -四百億の昼と夜- (ガガガ文庫 お 5-6)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

前巻の感想はこちらから


評価:★★★★★
2019年1月刊。
面白かったー!!!
待望の、待ッッッッッ望のエルピス最新刊。
凄かったです。興奮しすぎて眼球から血が出るかと思いました。こんな凄い作品を読めていいのか。

だって伏線回収がすごすぎる。
歴史の裏側が紐解かれるなかで、「えっ、(歴史上の)その事件に(エルピス独自の)その設定がはまっちゃうの??」と動揺しまくりでした。
その先にあるのはパズルが美しく完成した時のような快感と達成感と、どうしようもない不安感。
こんな歴史ドラマを作り上げるなんて、オキシタケヒコ神の脳内はどうなってるんだ。

ちなみに今回で私の「筺底のエルピス」最推しキャラが決まりました。猊下かわいいよ猊下。どうしてこんな可愛いの猊下。もはや猊下のことしか考えられない。これが愛・・・・・

☆あらすじ☆
ゲート組織の過去に広がる、巨大な真相――。
殺戮因果連鎖憑依体――
古来より『鬼』や『悪魔』と呼ばれてきたその存在は、感染する殺意であり、次元の裏側から送り込まれた人類絶滅のプログラム。未来を閉ざすその脅威に立ち向かうためには、衝突や非干渉を続けてきた鬼狩りの派閥――三つのゲート組織を和解させる必要があった。
バチカンの《ゲオルギウス会》との同盟が締結された今、日本の《門部》と敵対するゲート組織は不死者の軍勢《I》のみ。組織の裁定権を握る式務の一員となった百刈圭は、和解交渉の特使として、世界を牛耳る巨大な秘密結社のもとに赴くこととなる。
一方その頃、鬼狩りの訓練生となった若者たちも、各ゲート組織に君臨する異星知性体の目的を独自に考察しようとしていた。海を隔てた二つの場所で、真実に肉薄していく彼らが目の当たりにする、星界の影に覆われた、この世の真の様相とは。
不死者の首魁《プロフェッサー》と対峙し、夜空を見上げ、すべての真相にたどり着いたその先で、若き狩人たちが足を踏み出すことになる標なき道は、果たして、いかなる荒野へと続くのか――。
人類の存亡をかけた、影なる戦士たちの一大叙事詩。終わりが始まる、継続の第6弾。

以下、ネタバレありの感想というていの猊下語りです。嘘です(嘘じゃない)

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妹さえいればいい。11 /平坂読

妹さえいればいい。 (11) (ガガガ文庫)
妹さえいればいい。 (11) (ガガガ文庫)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

前巻の感想はこちらから


評価:★★★★☆
2018年12月刊。
10巻の続き!な伊月大スランプ回。
おふざけの多いシリーズだけど、ふざけてはいけない場所はとことんシリアス。
何事もそう簡単に上手くいくわけがないのだけど、そうかぁ・・・・・・そう続いちゃうのかぁ・・・・・・という感じの11巻でした。次巻はよ。

☆あらすじ☆
10巻の続き!!!!!!!!!!!!!!
小説がまったく書けないという大スランプに苦しむ伊月を、恋人の那由多は優しく見守る。土岐や京は伊月を復活させるための方法を模索するのだが、結果は芳しくない。
一方、女の子であることを隠さなくなった千尋にも、大きな変化が訪れるのだが……。
そんななか、第16回GF文庫新人賞の授賞式が開催される。青葉や木曽たちが受賞してから、はやくも一年の月日が経っていたのだ。
怒濤の流れに翻弄されながらも、主人公たちは足掻き続ける――。
大人気青春ラブコメ群像劇、衝撃の第11弾登場!!

以下、ネタバレありの感想です。

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普通じゃない世界に迷い込んだ普通の少年は何を選ぶのか―― 『前略、殺し屋カフェで働くことになりました。』/竹内佑

前略、殺し屋カフェで働くことになりました。 (ガガガ文庫)
前略、殺し屋カフェで働くことになりました。 (ガガガ文庫)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

評価:★★★☆☆
2018年10月刊。
偶然迷い込んだ裏通りの劇場。
そこで間違いを犯した主人公は、裏社会の人間に命を握られることになり、時間稼ぎのために彼らのカフェで働くことになるのです。
普通の人間が普通じゃない世界に足を踏み入れた時に、彼は何を思うのか。どんな選択をするのか。
意外と図太い主人公の奮闘にハラハラする作品でした。悪くはなかったんだけど、もっと面白くなりそうな余地を残している感じ。
次巻に期待します。

☆あらすじ☆
夜の廃劇場。最近越してきたばかりの街を探索しようとしていた池也迅太は、そこにいた。
そして、目の前でなにやら不穏に倒れている男をみて、そこで記憶はブラックアウト。
目が覚めると、何やらかわいい女の子たちが話しているのが聞こえてきた。
「やっぱり殺すしかないと思うの」
「でも、遺体の処理だってお金がかかりますし……」
あきらかに危険な会話。漂っているコーヒーの香りが不釣り合いだ。迅太はなんとか命乞いをしようと手を尽くし、処理代を稼ぐ代わりに働かせてくれと頼んだ結果、晴れて殺し屋たちが営む喫茶店のウェイターになってしまう。
店を訪れる明らかに怪しい客たち。これまでの常識の通じない少女たち。
それでも、これまでとはガラリと代わってしまった環境に、迅太は次第に馴染んでいく。そして、命の猶予は刻一刻と――。
だが、その殺し屋稼業の正体は……?
クセだらけの少女たちと、ただの普通の少年が、不思議な喫茶店で社会の闇に触れるとき物語は少しおかしな方向に動き出す。殺し屋喫茶・エピタフ開店ですっ!

以下、ネタバレありの感想です。

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月とライカと吸血姫4/牧野圭祐

月とライカと吸血姫 (4) (ガガガ文庫)
月とライカと吸血姫 (4) (ガガガ文庫)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

前巻の感想はこちらから


評価:★★★★☆
2018年9月刊。
いよいよ新旧主人公コンビが揃い踏み。
宇宙開発に切り離せない問題を物憂げに描きつつも、それでも尽きぬ宇宙への憧れに心が打たれます。
でもラストが不穏〜〜〜!

☆あらすじ☆
そして、宙を夢見る彼らは出会う。
『フライ・ユー・トゥ・ザ・ムーン』の合い言葉が宇宙ブームを盛り上げ、UFO騒ぎにまで発展する一方、月面着陸計画は行き詰まりを見せていた。そんななか連合王国では、『宇宙時代の人類』がテーマの万国博覧会が開幕。『アーナック・ワン』の広報を務めるバートとカイエは『宇宙の平和利用に関するカンファレンス』への参加を要請される。ロケット開発主任のクラウス博士や、若き女王サンダンシアなど、錚々たる面々の参加が決まるなか、あの共和国の英雄二人も急遽登壇することに。
例の行進以来、すっかり仲を深めたバートとカイエ。二十一世紀の未来や宇宙旅行の疑似体験など、仕事を忘れ万博を楽しむ。そして、待ちに待った英雄との対面。二人は未来に思いを馳せ、同じ夢を見る。
―――しかし。
「もはや核戦争は避けられません……ならば、先にしかけるべきです」
東西超大国のいがみ合いが、世界に未曾有の危機をもたらす。夢が消えかけるなか、二大国の若者たちは何を想い語るのか。
いまだ宇宙に行くことが奇跡だと思われていた時代……これは、宙に焦がれた人と吸血鬼が目指す、三十八万キロという途方もない旅への序章。宙と青春の物語、待望の第四幕!

以下、ネタバレありの感想です。

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妹さえいればいい。10/平坂読

妹さえいればいい。 10 (10) (ガガガ文庫)
妹さえいればいい。 10 (10) (ガガガ文庫)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

前巻の感想はこちらから


評価:★★★★☆
2018年7月刊。
爆弾爆発に続く第10巻。
素直に「上手いなぁ・・・」と感嘆する面白さでした。
ほぼ既定路線だし、明確な伏線もあった。それでも最後の一言にハッとする気持ちがあって。
ここからどうなるんだろう。次巻が楽しみです。

☆あらすじ☆
妹がいる生活、はじめました。
ついに千尋の抱えていた大きな秘密が、伊月たちの知るところとなってしまった。千尋から事情を聞かされ、表向きはそれを喜んで受け容れた伊月は、これまでどおり那由多とイチャイチャしたり、千尋を可愛がったりして、妹がいる生活を満喫する。『妹すべ』のアニメも好評を博し、招待された台湾のイベントでちやほやされるなど、売れっ子作家としても満たされた日々を送る伊月だったが……? 一方、重荷から解放された千尋にも、新たな物語が始まろうとしていた――。
大人気青春ラブコメ群像劇、運命の第10弾登場!!

以下、ネタバレありの感想です。

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空飛ぶ卵の右舷砲/喜多川信

空飛ぶ卵の右舷砲 (ガガガ文庫)
空飛ぶ卵の右舷砲 (ガガガ文庫)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

評価:★★★★☆
2018年7月刊。
面白かったー!
世界規模の厄災により、「樹竜」と呼ばれる怪物に陸地を奪われ、人類が海上へと追いやられてしまった世界。
そんな世界で、小型ヘリに乗り込み、巨大な敵との戦いに挑む師弟の活躍を描いたSF作品です。
ヘリコプターが縦横無尽に空を駆る空戦シーンがめちゃくちゃ熱い。
皮肉を交わしながらも息の合った連携を魅せる主従の絆に痺れる。
そして困難を乗り越えようとする人間の放つ輝きに感動する!
一度は終末を迎えた世界観も奥行きを感じて良かったし、今後も楽しみな新シリーズだと思います。

☆あらすじ☆
人造の豊穣神・ユグドラシルによって繁栄を極めた近未来。人類は植物を自在に操り、時にはビルさえ“育てていた”。そんな文明絶頂期の中で、『大崩壊』は起きた。世界人口の半数以上が死に絶え、各地ではあらゆるシステムが麻痺。さらに突如現れた樹獣、樹竜と呼ばれる異形の怪物たちによって、人類はあっという間に地上から追放され、その拠点を人工の浮島・海上都市へと移した。
『大崩壊』から数十年。小型ヘリ<静かなる女王号>を操り、樹竜狩りを生業とするヤブサメ。彼は妹が患う奇病を治すため、師であり相棒でもあるモズとともに仕事をこなしながら、日本各地を飛び回っていた。そんな中、二人は東京第一空団副長セキレイの窮地を救い、その腕を買われて旧都市・新宿での大規模探索作戦への同行を依頼される。彼らを必要とするセキレイはヤブサメにこう囁きかけた。
「この作戦の成功は、キミの妹の病を治す事に繋がるかもしれない」
しかし新宿は「帰還不可能」とも噂される、Sクラスの危険地帯。割に合わないと、モズは難色を示すのだが――
これは鋼の翼と意志で空を駆り、樹竜を狩る者たちの物語。
第12回小学館ライトノベル大賞・審査員特別賞受賞作。

以下、ネタバレありの感想です。

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ハル遠カラジ/遍柳一

ハル遠カラジ (ガガガ文庫)
ハル遠カラジ (ガガガ文庫)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

評価:★★★★☆
2018年6月刊。
地上から多くの人々が消えた世界で生きる、ロボットと少女の旅を描いたSF小説。
ポスト・アポカリプスなSFとしても読み応えがあるのだけど、それ以上に「家族」の物語として素晴らしい作品だと思います。
冷たい機械の身体と、ブラックボックスな心を持つロボット。
温かい身体を持つけれど、歪な倫理観をもつ人間の少女。
人の少女を育てたロボットは、過去を振り返りながら苦悩し、後悔し、懺悔をするのです。
病を抱えたロボットの人工知能が生み出すドラマが最高でした。とても面白かったです。

☆あらすじ☆
たとえそれが、人でなかったとしても。
これでも私は、身のほどはわきまえているつもりである。
武器修理ロボットとして、この世に産まれた命。
本来であればその機能を駆使して人間に貢献することが、機械知性の本懐とも言えるだろう。
しかし、どうもおかしい。
人類のほとんどが消え去った地上。主人であるハルとの、二人きりの旅路。
自由奔放な彼女から指示されるのは武器修理のみに留まらず、料理に洗濯と雑務ばかり。
「やるじゃねえか、テスタ。今日からメイドロボに転職だな」
全く、笑えない冗談である。しかしそれでも、ハルは大切な主人であることに違いはない。残された時を彼女のために捧げることが、私の本望なのである。
AIMD――論理的自己矛盾から生じる、人工知能の機能障害
私の体を蝕む、病の名である。
それは時間と共に知性を侵食し、いつか再起動すらも叶わぬ完全停止状態に陥るという、人工知能特有の、死に至る病。
命は決して、永遠ではないから。
だから、ハル。
せめて、最後のその時まで、あなたとともに――。
第11回小学館ライトノベル大賞ガガガ大賞を受賞した『平浦ファミリズム』の遍柳一がおくる、少しだけ未来の地球の、機械と、人と、命の物語。

以下、ネタバレありの感想です。

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