神去り国秘抄 贄の花嫁と流浪の咎人 /水守糸子



神去り国秘抄 贄の花嫁と流浪の咎人(富士見L文庫)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

評価:★★★★
2022年2月刊。
面白かった!これは良いガールミーツボーイの和風ファンタジーですね!
空から日輪が消え、作物が育たなくなった国。
人々は神の助けを得るために贄を捧げることを決め、しかし贄にされた姫は別の方法を選ぶために旅に出る。
人と神の残酷なつながりに綻びが生まれつつある世界観は読み応えがあったし、慣れない旅の中で箱入り娘が成長する物語としても面白かったです。
この作品はWEB小説「白兎と金烏」のエピソードゼロに当たるとのこと。
その後の二人がとても気になるのでWEB版も読んでみたいと思います。

☆あらすじ☆
日輪が消えた国で、贄の少女と追放された皇子の旅が始まる。
十年前に日輪が消えた国、照日原。その辺境の郷の姫・かさねは狐神の花嫁に選ばれる。だが花嫁とは、日照不足で不作続きの郷を救うための贄を意味していた。知らずに狐に喰われかけたかさねは、金目の青年・イチに助けられる。見返りとして彼が要求してきたのは、日輪を司る日神に会うためにかさねの「力」を貸すことだった。
 戻る場所のないかさねはしぶしぶ同行を決める。しかしイチこそが日輪が消える原因を作り、都から追放された皇子だと気づき――。
 運命に抗うための旅が、今始まる。心揺さぶるファンタジー開幕。

以下、ネタバレありの感想です。

 

10年前、天の一族の皇子が何らかの罪を犯したことで日輪が消えた国。
日の差さない大地で作物は育たず、人々は不安を抱えて生きていた。

神が原因の異常事態は、神の力に頼るしか解決の道はない。
そう考える人々に手を差し伸べる神は、彼らに代償を求めるのです。花嫁という名の生贄を。

 

そんな血生臭い風習の犠牲者に選ばれた主人公の少女・かさね
何も知らない無垢な少女は、残酷な現実を突きつけられ、突如現れた謎の青年・イチの手をとってこの事態を解決するために旅に出ます。

 

イチは何者なのか、彼の目的は何なのか。
全ての元凶である日輪は、再び空に戻るのか。

 

謎と不安を孕みながら始まったかさねの旅。
かなり悲壮な背景があるし、彼女の旅路は困難の連続なのだけど、かさね本人の前向きで元気で善良な性格が物語を明るく照らしてくれるのがとても良かったです。
良い子だし、賢いんだよな。自分が無知であることを素直に受け止め、目の前の現実を真っ直ぐに受け止められる。
無垢な少女が過酷な運命に揉まれて成長する話なのだけど、その無垢さが失われることはなくて。
かさねの愛らしい精神性が損なわれないまま、それでも頼り甲斐のある女性として成長していくんです。
元々、無垢であると同時に図太い子だったのが良かったんだろうなぁ。こういうキャラクター、大好きです。

 

かさねの旅の相棒であるイチについては、その背景が見えてくると悲壮感と切実さに胸が苦しくなりました。
彼については初対面のいけ好かない感じから徐々に好感度を高めていくのが上手かった感じ。かさねの心の変化と読者から見た彼の印象がとても綺麗にシンクロしていき、かさねがイチを助けたいと思う気持ちに素直に寄り添えました。そしてラストの「ほら、選んだぞ」の率直さと気負いなさにキュンとするんだ!こやつ!3年も音信不通だったくせに!ずるい男!!

 

神と人がとても近く、けれど徐々に遠ざかりつつある世界観も面白かったです。
人と神の架け橋となろうとするかさねを応援したいけれど、血生臭い神の要求を呑んでまで神に従うのか?という気持ちもある。水分利の人々が神のことを忘れつつあるのが、神がいなくても生きていけることを象徴しているようにも思えるし。
さて、人々はこれからも神と共に生きていくのか、いけるのか。
かさねがこれからの旅で何を見て、何を思うのか楽しみです。朧月のツンデレ可愛さも良かったか出番あると良いなー。

 

この続きも書籍化してくれると嬉しいです。とりあえずWEB版読みに行きます!

 

 

 

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