86ーエイティシックスー Ep.9 ヴァルキリィ・ハズ・ランデッド /安里アサト



86―エイティシックス―Ep.9 ―ヴァルキリィ・ハズ・ランデッド― (電撃文庫)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

1巻の感想はこちらから

評価:★★★★
2021年2月刊。
エイティシックスたちの心境に一つの区切りがつく第9巻。
人間の世界は醜悪だけど、そこに生きる人間は醜いだけじゃないんだよなっていう希望が沁みる内容でした。

☆あらすじ☆
犠牲は――大きかった。〈電磁砲艦型〉との戦いは、セオの負傷はもちろん、幾人もの仲間の命をその荒波で飲み込んだ。
シャナ。シデンの隊「ブリジンガメン」副長だった彼女も、その一人であった。復讐を誓うシデン、そしてシン行方不明の報に動揺して狙撃できず、シャナ死亡の遠因となったクレナは、平静を失う。
しかし、戦況は少年少女らを慮ることはない。〈電磁砲艦型〉の逃亡先――現在交信可能な最後の国家・ノイリャナルセ聖教国。レギオンの脅威と戦う同胞でありながら、ヴィーカたち連合王国や、連邦上層部すら警戒する謎の国家に、シンたちは足を踏み入れる……!
機動打撃群・派遣作戦最終盤のEp.9!
“敵を撃てなければ、兵でいることはできない。”

以下、ネタバレありの感想です。

 

今度の舞台は「狂国」と呼ばれるノイリャナルセ聖教国。
そこで待っていたのは、エイティシックスたちの心の傷をこじ開けるような「鏡写しの存在」だったーー という第9巻。

 

まず、前巻で悲鳴を上げたセオの負傷なんですが。
なんというか、穏やかな感じに次のステージに進めそうで良かったです。
戦い抜くことが誇りのエイティシックスが、命を抱えたまま戦線離脱することに何を思うのかドキドキしていたので……
静かに弱音を吐きながらも、仲間達とは別の場所に進み出した姿に安堵しました。でも本当にこれからどうなるのかなぁ。
セオの出番が減りそうなのは寂しいけれど、仲間たちとは別の戦い方をしてくれるんじゃないかと期待もあったりして。今後の動向に注目ですね。

 

さて、今回は聖教国の醜悪な内情に巻き込まれる話ではあったんだけど、個人的にはクレナ主役の回だったなぁという印象を受けました。
というか、戦争を終わらせようとする仲間たちについていけない「残りのエイティシックスたち」が、聖教国やミルメコレオという「鏡写しの自分」を目の当たりにして、心の傷と真っ向から向き合う話だったな、と。

なぜ戦うのか。戦いに何を望むのか、望まないのか。
戦争を終わらせたいのか、それとも「そこ」にいたいのか。
全てを奪われ、戦いの中でしか自分を見つけることができなかった子供たちが、それすら見失った時に何を思うのか。

これまで丁寧に描かれてきた内容の総括が、とても繊細に、慎重に描かれていたのではないでしょうか。
エイティシックスたちは誇り高いけれど、尊厳を奪われることに慣れすぎだよね。奪われてきた記憶が強烈だからこそ、奪われかねない希望や未来を見ることに怯える姿がとても悲しい。

だからこそ、鏡写しの自分を客観的に見て、これを変えようと決意する姿にとても心が痺れました。戦う相手がレギオンでなくなっても、生きている限り様々な戦いがあるわけで。
まずは未来への不安感と戦うことから始めようと、力強く前に踏み出す姿はエイティシックスらしくて本当にかっこ良かったと思います。

 

その気持ちの区切りの一つとして、クレナがシンへの恋にけじめをつけたのも良かったな。
「悪い」というシンにクレナが返した言葉が本当に良かった。クレナも幸せになってほしいな……

 

そういえば、今回レーナがシンに返事をしてたわけですが、こいつら作戦の直前直後にイチャイチャしすぎでは???????
けしからんぞ!!私もパイ投げて良いですか!!笑

 

さて、いよいよレギオンとの戦いは反撃のターンに移りそう?
今後の展開も楽しみです。

 

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