椅子職人ヴィクトール&杏の怪奇録4 お聞かせしましょう、カクトワールの令嬢たち /糸森環



椅子職人ヴィクトール&杏の怪奇録(4)お聞かせしましょう、カクトワールの令嬢たち (ウィングス・ノヴェル)

1巻の感想はこちらから

評価:★★★★
2021年10月刊。
変人椅子職人×霊感女子高生の、椅子と恋と幽霊の物語第4弾。
今回の帯には「俺は誰かに奪われる前に、杏の一番目の男になろうと思う」というヴィクトールのセリフがデカデカと引用されているのですが、またその話か!と思いつつも二人の進展を期待してしまう、この読者心よ……
そして相変わらず現実と幻覚の境目が曖昧すぎて怖かったです。もう何もわからない。

☆あらすじ☆
霊感体質の女子高生・杏は、バイト先の椅子工房「TSUKURA」オーナーであるヴィクトールと椅子の展覧会へ行くことになった。そこでは主催者の夫婦と息子の諍いに巻き込まれてしまうものの、おおむね楽しい休日となる。ところが、その展覧会へ行って以来、茶色のトイプードルと犬の飼い主らしい男の幽霊が杏たちの前にたびたび現れるようになり……?ヴィクトールに導かれ、杏の初めてのスツール作りもスタート。甘さ微増量でお届けする、ふんわりオカルティック・ラブ第四幕

以下、ネタバレありの感想です。

 

人類を憎悪し、椅子を偏愛し、椅子談義にノリ良く付き合ってくれる杏を可愛がっているヴィクトールさんなので。
帯のセリフの真意はすぐ予想できましたよね。予想も何も、前巻の時点ですでに出てる話だし。巻を跨いでもまだ根に持ってました。可愛いかよ。

そんな根に持つタイプのヴィクトールへの片想いモード全開な杏。
杏は本当に可愛い女の子ですね。焦ったり落ち込んだりもするけれど、基本的に片恋を楽しんでるのが良い。

(好きになって、良かったなあ!)
杏は唐突にそう思った。そして恋をした自分を、称えてやりたくなった。私はきっと、見る目がある!

ここの杏のモノローグ、すごく好きです。恋する乙女ってなんでこんなに可愛いかな。恋した相手がキラキラ見えること自体を楽しんでいて、そういう杏の恋し方が本当に素敵。
もう永遠に二人で椅子談義に花を咲かせていてほしい。きっと世界が平和になります。そして私には勉強になる(このシリーズを読んでいるとアンティーク家具への物欲が死ぬほど高まるんですがどうしてくれる)

 

が、そうもいかないのが本作なのです。

 

椅子の展覧会に行ったことから始まる幽霊騒動。
相変わらず杏の世界は生者と死者の境界が曖昧だなぁ。怖過ぎるんだよ!
三日月館の話はもうおしまい!私もちょっと気になってたけど、あのホテルが実在したかどうかなんて蒸し返しても良いことない!ところであの電話かけてきた男のことは解決したんですか!?してないよね!?わーん!!!泣

幽霊騒動は怖かったけれど、椅子職人の一家の話は恐ろしい結末を迎えなかったことだけが救い。人間が怖いのは、うん、知ってるので。。。

 

ところで今回は室井夫妻の話も掘り下げられて、そこも面白かったです。
室井さん、ほのかにヤンデレ臭がするような?奥さんに対するそこはかとない執着を感じるんですが。香代さんは室井さんについて何重にも誤解してる気がする。

 

そんな男女の微妙な距離感を理解してるヴィクトールもやっぱり、こう、良いですよね…!ただの人類嫌いの変人じゃあないのだよ!その洞察力がコミュニケーションにはほぼ生かされてないとはいえ。
やたらレプリカ連呼してたシーン、ネタバラシがあった後に読み返すと可愛いすぎです。
推しを布教して同じ沼に沈めようとするオタクのようなノリですが、ヴィクトールの言動にはそれだけじゃない甘さを感じてときめきが止まりません。「支配」ってさぁ…!

 

本編でオカルトが控えめだから頑張っちゃったんですか?糸森環先生のサービス精神は最高です!一生ついていきます!(ブルブル震えながら)(頑張りすぎですよ!)

でもさぁ、そんな職人向けチェーンメールみたいな感覚で恐怖のお裾分けしないでくださいよう。
塩を蹴っ飛ばした小椋さんは反省してください。TSUKURAの塩の消費量、本当にすごそうだな……

 

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