忘却聖女1 /守野伊音



忘却聖女(1) (SQEXノベル)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

評価:★★★★
2021年10月刊。
めちゃめちゃ面白かった!
人々に忘れ去られ、身一つで放り出された聖女が、再び聖女の座に返り咲くために聖女選定の儀式に挑む物語。

なぜ人々は聖女たる彼女を忘れたのか。
誰のどんな思惑が彼女から全てを奪ったのか。

未だ多くが謎のまま。頼れるのは彼女を忘れてなかった神官一人だけ。
そんなドン底の状況で汚泥に塗れても、奪われたものを取り戻そうと目を爛々と光らせる主人公。その不屈の魂が最高でした。

そして笑った。これだけキツい物語でこんなに笑わせてくれるとは。
喜怒哀楽全ての感情を揺さぶってくる守野伊音作品の良さを改めて感じました。
ぜひ続きが出ますように!

☆あらすじ☆
“聖女”――それはアデウス国の象徴であり、神の代弁者。歴代随一の治癒と浄化の力をもつ第十三代聖女マリヴェルはある日、目を覚ますと周囲の人間から綺麗さっぱり忘れ去られていた。聖女を騙った冒涜者として神殿から追放されたマリヴェルは全てを失いスラムに流れ着くがただ一人、聖女を忘れていなかった神官と再会し再び聖女の座を目指して選定の儀式へ参加することに。ところが、マリヴェルに敵意をもつ何者かの影響か彼女の選定儀式はトラブル続きで……。
これは力強くも健気、泥臭くも美しい聖女マリヴェルが、ささやかな幸せを取り戻すために奮闘する物語。

以下、ネタバレありの感想です。

 

ある日突然全ての人から忘れられ、神殿を追い出された聖女マリヴェル
ただ一人「十三代聖女マリヴェル」の存在を忘れていなかった神官エーレ
誰もマリヴェルのことを覚えていない世界で、マリヴェルはエーレの助けを借りながら自分の居場所を取り戻すために奮闘するのですが、、、

 

この奮闘がね、地獄なんですよ。
相変わらず守野伊音作品の神様は主人公に手厳しすぎると思う。

聖女の力すら最終的に封じられたマリヴェルに残されたのは、不屈の精神性としぶとい生命力とエーレの助力だけ。
家族同然の神官たちからの愛も認知も失い、その原因すら分からない状況で、マリヴェルを襲った絶望はどれだけのものだったのか。
マリヴェルが僅かに見せる恐怖心にとても心が痛くなりました。

 

と言っても実際に読んでる時間の6割?7割くらいかな?ひたすら笑ってたんですけどね??

だってマリヴェルが面白すぎる!

マリヴェル以外は全てツッコミ役に回らないと追いつかないほどマリヴェルはおかしいんです。笑わないのは無理。

ちなみに、この「おかしい」には色んな気持ちを込めています。
地の文の言い回しもおかしければ、発想も行動もおかしい。
笑えるし、引きます。
マリヴェル、体を張りすぎなんだよな。それが面白くて怖くて頼もしくて困惑するんです。どうしろと。

観衆の目の前で帰還の名乗りをあげながら親指を下に向けるシーンも、血溜まりの中で胸に花を咲かせるシーンも、強烈に頭に焼き付きました。

そして笑ってしまうんです。
マリヴェルの全てが面白くて笑うし、ゾクゾクとして口が歪む。楽しくて愉しい。
全てを取り戻すために命すら天秤にかける彼女が、次はどんな行動で度肝を抜いてくれるのか。
びっくり箱のようなマリヴェルの魅力に囚われて、目が離せなくなるんです。

 

彼女が取り戻そうとするのが、聖女の地位そのものではなく、聖女を愛してくれた神官たちであるのも良い。
私は愛のために身を削って必死になる主人公が大好きです。マリヴェルの、家族たる神官たちに向ける深い愛情は見ていて気持ちが良い(その喪失に心が軋むまでがセット)
聖女の地位を取り戻すのは、そのための手段でしかないんですよね。
だってそもそも、誰も覚えていなくても、マリヴェルが「聖女」であることに変わりはないのだから。
それはマリヴェルの行動や言葉から明らかなんです。魂が聖女。
孤児を救った時も、悲運の少女を悼んだ時も、ああ彼女こそが聖女なのだと強く実感しました。

 

……まぁ、しょっちゅう挟まれる回想では「こんな聖女の面倒を見てきた神官さんたち偉いなぁ」とか思ってしまうけども。
現在はエーレの拳が代打を務めまくっていますね。毎度、合流するたびに聖女がボロボロになっているエーレの心中をお察しします!

 

さて、なんだか神聖な儀式と言うには血みどろすぎる聖女選定が進んでいますが、その裏で黒幕たちも動き始めた様子。次は何が起こるのかビクビクしながら楽しみです。
マリヴェルの悪友王子がオモシロ人間だったのでぜひ出番が増えて欲しい。続きが早く読みたいです。
というかこの感想記事を書いたらWEB版に行きます。

 

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