勇者刑に処す 懲罰勇者9004隊刑務記録 /ロケット商会



勇者刑に処す 懲罰勇者9004隊刑務記録 (電撃の新文芸)【Amazon】【BOOK⭐︎WALKER】

評価:★★★★
2021年9月刊。
面白かったー!
勇者の刑に処された極悪な犯罪者たちが、魔王現象と呼ばれる怪物の群れと戦わされるダークファンタジー。
「勇者」の多くが人格破綻者ばかりで、一見まともに見えた主人公すら危うい人物。
そんな彼が女神と出会い、彼女や仲間と共に数多の死線を掻い潜っていく物語なのだけど、その出会い方がヤバいわ、仲間はクズと狂人ばかりだわ、世界の様子もおかしいわ……という感じで異様な雰囲気に包まれた作品でした。
勇者たちはみんな個性豊かだし(誰かが何か言うたびに「こいつ頭ヤバいな…」となる)、主人公と女神が戦いながらバディとして洗練されていくバトルシーンも良かった。
続きもとても楽しみです!

☆あらすじ☆
 勇者刑とは、もっとも重大な刑罰である。
 大罪を犯し勇者刑に処された者は、勇者としての罰を与えられる。
 罰とは、突如として魔王軍を発生させる魔王現象の最前線で、魔物に殺されようとも蘇生され戦い続けなければならないというもの。
 数百年戦いを止めぬ狂戦士、史上最悪のコソ泥、詐欺師の政治犯、自称・国王のテロリスト、成功率ゼロの暗殺者など、全員が性格破綻者で構成される懲罰勇者部隊。
 彼らのリーダーであり、《女神殺し》の罪で自身も勇者刑に処された元聖騎士団長のザイロ・フォルバーツは、戦の最中に今まで存在を隠されていた《剣の女神》テオリッタと出会い――。
「力を貸してくれ、これから俺たちは魔王を倒す」
「その意気です。勝利の暁には頭をなでてくださいね」
 二人が契約を交わすとき、絶望に覆われた世界を変える儚くも熾烈な英雄の物語が幕を開ける。

以下、ネタバレありの感想です。

 

魔王現象との戦いの最前線に立つ「勇者」。
それは、壊れても修理され、死んでも蘇り、人間として大事なものを失っても終わりなき戦いを続けることを刑罰として与えられた重大犯罪者のこと。

この設定の容赦なさ、最高に怖いです。
死んで終わりじゃないから死刑でもないんですよ。リスクの多い蘇生を繰り返せば人間として壊れ、ゾンビのように戦い続ける人形と化す。一番それに近いタツヤを「勇者らしい」と評しているのにゾクゾクしました。

 

そんな勇者刑に処された主人公ザイロ
ドッタが盗んできた棺を開けたことで、ザイロは魔王現象に対する最大戦力『女神』テオリッタと契約をする羽目になるのだけど、この出会い方の酷さに笑いました。
そこから先はずっと何かに笑ってた気がする。コメディが楽しくて笑うというより、酷すぎる喜劇だ愉快愉快!ってする感じ。こんなのもう笑うしかないよね、みたいな。

 

だって勇者たちのキャラクターが面白すぎる。
まずドッタ。ここまでの盗癖を「手癖が悪い」程度に表現していいのか?あとなんでキャラデザをこんな優しげなショタ顔に??
気弱な雰囲気で「誰かを傷つけるのが苦手で…」って言うから一瞬信じた私を笑ってください。こいつはクズだよ!

 

いや、クズなのはドッタだけじゃないけども。
今回出てきた「勇者」の半分はクズで、半分はヤバい人でした。ああ、極悪犯罪者の集団なんだなぁって言うのが良くわかる。

 

ちなみに私は宣伝ツイートのベネティムの顔の良さに釣られたんですが、この人はクズの方でした。
めちゃめちゃ口が回るけど回してるだけ。その場しのぎが酷すぎて笑う。
なんでこのキャラクターをこんなイケメンにしたんだろう??でも私は顔の良いヘタレのクズ大好きです!

 

あとノルガユ陛下も好き。
この人はすごかった。あまりにも堂々と「王様」してるから「実は本当にそんな裏事情があるのでは?」とか、ほんの少しだけ思ったりして。狂人の世界に取り込まれるってこういうことでは。
狂人なのに有能という扱いづらさも良かったなぁ。

 

他のキャラも面白かったんだけど、そんな勇者たちの中で一見するとマトモに見えるザイロ。
人間のために戦い、褒められることだけを求める「女神」のあり方を苦々しげに見つめる姿が印象的で、過去の傷を背負った主人公らしい主人公だと思います。
同時に、こいつもやっぱりヤバい奴だと思う。自分の生き方が変えられず苦しむ人って大好き。テオリッタに同族嫌悪を看破されたシーンはニヤニヤしちゃいました。そういう似た者同士のコンビも大好き!

 

テオリッタも可愛くていじらしくて魅力的でした。
偉そうな態度で「撫でなさい」ってせがむ姿は可愛いのに、彼女が差し出すものと彼女が求めるものが不釣り合いすぎて、その在り方の歪みをまざまざと見せつけてくる。
でも決して人外的というわけではなく、不安を感じたり、怯えたり、虚勢を張ったりと、「女神」というには人間くささが強い。
テオリッタのイレギュラー性が問題となっていたけれど、そもそも女神って何なんだろう?

 

女神のことも含め、この世界は色々と謎が多くて気になります。
ベネティムの虚言癖が当てた「真実」とか、ザイロをはめたやつとか、共生派の存在とか。
これから更に面白くなりそうな予感。
クズばかりなのにちゃんと「仲間」でもある懲罰勇者9004隊がどんな活躍を見せてくれるのかも楽しみです。ザイロとテオリッタの連携も磨きがかかっていくんだろうなぁ。
続きも読んでいきたいです。

 

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