続・金星特急 竜血の娘2 /嬉野君


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続・金星特急 竜血の娘(2) (ウィングス文庫)

1巻の感想はこちらから

評価:★★★★
2021年9月刊。
名作『金星特急』の続編にして、文明崩壊後の世界を女神の娘が旅するファンタジー第2弾。
壊れてしまいながらも、かつての風景を残す世界。そのノスタルジーと哀愁がたまりません。
少しずつ物語の細部が見えてきて、冒険譚としても面白さが増してきました。続きがとても楽しみです。

☆あらすじ☆
七百年ぶりに目覚めたユースタスは恋人の砂鉄のことだけ忘れていた。何とか彼女の記憶を取り戻したい桜だが、当の砂鉄が何も言わず、見守ることしかできない。一方、三月の願いで《銀魚》の力を使ったユースタスにより、夏草の眠る方角が判明する。どこかは分からない、けれど夏草は生きている――。希望を胸に一行はグラナダを出て東北東を目指す……!! 金星特急の旅の終わりから約七百年後の世界を描く「金星特急」続篇、いよいよ本格始動!!

以下、ネタバレありの感想です。

 

他の全てのことは覚えているのに、砂鉄のことだけを忘れてしまったユースタス。
三月にすら気安く接して、錆丸になんか似ているという理由だけで完全初対面の蜜蜂とも打ち解けているのに、砂鉄にだけは警戒心剥き出しという。
こんなの切ない。が、既視感がすごくて懐かしい…!笑
金星特急の旅の初期を思い出します。ただし、砂鉄の想いはそのままなので、甘い切なさがある。
やはり『金星特急』の中でも特別なカップルですね。あの手この手で読者を楽しませてくれる。ありがとうございます!(でも早く思い出してあげて…砂鉄が寂しそうで辛い)

 

ところで桜からユースタスの呼び名がゆすたすちゃんになったのめちゃ良いですね。かわいい。
そんなゆすたすちゃんの食べ物を前にした満面の笑みが相変わらず可愛すぎて惚れ惚れしました。

 

さて、想定外のハプニングはあったものの、次に目指すは行方知れずの夏草の木。
焦燥感を抱える三月の様子が気になりつつも、沈んでしまったローマにドキドキしたり、「アレクサンドリア」を歌う不思議な一行の正体に興味を覚えたりと、今回も文明崩壊後の世界を舞台とする冒険旅行として面白かったです。

 

それにしても、次は「本」かぁ。
金星特急の旅は「言語」の謎に触れる旅でしたから。
失われつつある文化を取り戻そうとする人々に出会う桜を見て、あの金星特急の続編なんだという気持ちが更に強まりました。
ゆっくりと文明を滅ぼそうとする蒼眼たちに対して密かに立ち向かう力なき人々。
そして、彼らの戦いを知った桜たち。
この戦いが、最終的にどんな形を見せてくれるのか期待が膨らみます。楽しみです。

 

それと、本作は桜の成長物語としての側面もありそうなので、そこも気になります。
突然の全裸痴漢登場にびっくりしたけど(撃退法はいつの時代も変わらないのか笑)、あの展開は要するに桜に「変な部類の男性」を教えていたのかな。ある意味でお行儀が良い男性キャラしか周囲にいないから。
女性しかいない世界で育った桜に「男性」の存在を良くも悪くも教えていくことが、後々彼女をどういう風に変化させていくのか。
やたらと蜜蜂がその辺の話題で桜に絡んでいたように見えたのも気になります。二人乗りとか蜜蝋の少年たちとかのシーンで。

 

蜜蜂といえば、錆丸に似てるっていう言及が増えましたね。
他人の懐にするっと入るくせに大事なことは隠したままという、油断ならないキャラクターがそっくりだと思う。
でも錆丸に似てるなら悪いやつじゃない…のか?どうなんだ??今のところ敵っぽいんだが。

 

ううう、続きが気になります!!

 

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