お狐様の異類婚姻譚5 元旦那様は恋狂うところです /糸森環


お狐様の異類婚姻譚: 5 元旦那様は恋狂うところです【特典SS付】 (一迅社文庫アイリス)
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前巻の感想はこちらから

評価:★★★★★
2021年5月刊。
ドキドキの状態で終わった前巻に続くシリーズ第五弾。
手加減!もう少し手加減してください!(褒め言葉)
いや、でも、すごいよ。
読み手である私の気持ちすら手玉にとって物語が展開される感じ。
こちらの心の揺れ動きをどこまで正確に把握してるんだ?全部わざとでしょ?計算づくで翻弄してるんでしょ?そうなんでしょ!?
まんまと翻弄されましたよありがとうございます。
素晴らしく甘美な地獄でした。

☆あらすじ☆
「雪緒、俺のもとに戻れ。戻らねば……」もののけたちの世界で薬屋を営む雪緒の元夫は、郷を治める大妖の白狐・白月。鬼に執着されたことで微妙な立場になった雪緒に「里の長候補にならないか?」という提案が持ち込まれるが、白月は反対のようで……。彼から覚悟を決めろと言われたけれど、一途に恋していた頃には戻れない――。白月への思いに悩む雪緒は、気づけば懐かしい過去に戻っていて!? 大人気異類婚姻ラブ第5弾!

以下、ネタバレありの感想です。

 

雪緒のご飯、ダメだったんですね。
どれだけ酷い仕打ちを受けても恋心だけは握りしめていた雪緒だから、何事もなかったように(そういう素振りで)日常に戻るんじゃないかという期待もあったんだけど。
そうは甘くないよなぁ。
むしろ遅いまであるのか。気付くのが。
命を捧げる覚悟はあっても、そこに通じ合うものがなければ折れちゃうよなぁ。

とは言え、人外すらドン引きさせるほど苛烈な恋心を掲げてきた雪緒が大好きだった私としては、雪緒が恋を見失う展開は胃がシクシクするほど辛いものでした。

白月にときめかず、冷めた気持ちを向ける雪緒とか!

誰!?って感じですよ。私は知らない、こんな雪緒。もう何もわからない。

でもそれは雪緒自身にも言えることなのかも。恋がアイデンティティだったのにその恋を失ったら、本名すらわからない「雪緒」を彼女たらしめているのは何なのか。
そんな風に考えると、逆説的に「恋する雪緒」の裏側にある感情まで補強されてしまい、私の情緒はめちゃくちゃです。

 

辛い辛いと嘆いていたら、さらに情緒をめちゃくちゃにする展開が待っているのが今回のお話。

タイムループ!

きたか!って感じです。時間が止まる話や異空間へ移動する話が続いていたし、時空を越える展開があるのも納得。

 

そして始まる「旦那様に白月を選ばなければどうなるのか」の各ルートお試し展開。

最初に宵丸ルートへ進んだ時、ニヤニヤした読者も多いのでは?
私はにやけた。にやけた顔はすぐ真顔になってけれど。

宵丸ルートの私の心の動き、

あれ?宵丸を選ぶのが大正解なのでは?
いや宵丸さんもやっぱり怖い怪ですわ
いやいや宵丸ルートやっぱり良くない!?
いやいやいや待ってメインに立った宵丸素敵すぎる手の甲越しのキス良すぎる
って、ぎゃああああああああああああああ!!!!!!!

って感じのジェットコースターでした。本当に容赦ないよせんせぇ。泣いた。

 

その後はめくるめく甘美な展開と地獄の結末。
登場キャラ全攻略RTAとセットでお出しされるバッドエンドのフルコース。
これがもう悔しいほどに面白くて止まりませんでした。
本編の筋では実現できないエモい展開の詰め合わせですからね。最高でしたよ(血涙)

でもほんと最高だったな。特に鈴音ルート。
カラーピンナップに鈴音がいるのを少し不思議に思ってたんだけど、なるほどなるほど。
1巻でほんの少し見せた、「恋敵ではない鈴音様」の魅力が全開フルパワー。
あの「格上げ」の瞬間に落ちない女子はいるのか?鈴音様最高一生ついていく(そして本編の鈴音を思い出して死ぬ)

この鈴音ルート、白月の荒れ狂う心情を想像するのもまた美味しくて。
完全に不意打ちの展開で殴られて痛かったろうなぁ。宵丸や沙霧の時にはかろうじてあった「どうせ幻だし」という余裕が消え失せてて笑います。妹に煽られて余裕なさすぎるお狐様も素敵です。怖いけど。

 

まぁ、うん、今回の白月はだいぶ可哀想でしたよね。
自らの所業のツケとはいえ、想定外のNTRを延々と見せつけられるとか。つらいなぁ!(笑顔)
今回は雪緒を巻き込んでないどころか自分が巻き込まれて引き摺り回される側だし。今までで一番体を張ってた気が。内臓ぶちまけるレベル。
色々辛かっただろうけど、幻だと割り切れる最初の段階で宵丸ルートを済ませてよかったですね。一番雪緒の心が揺らぎそうにみえた(いや鈴音も相当か)から白月様のストレスもすごかったんじゃ?
そこから積もり積もってラストに至るわけだから全然良くないですね、すみません。

 

色々とルートを見せてもらったけど、やっぱり白月が一番です。雪緒のご飯は不味くないと言い切る白月様最高。その理由が人外すぎて。
異類婚姻譚はなぜ悲恋に終わるのか。
なぜ悲劇で終わる恋物語に人は惹かれるのか。
白月はその答えを体現するかのようなキャラクターだなぁ、と改めて惚れ惚れしました。
人と怪の断絶こそが、理解の及ばない深淵こそが、人の興味や好奇心を捕らえて離さないのですよ。少なくとも私はそう。
それに断絶ばかりじゃないからね。なんでこう怪たちって可愛いかなぁ。ズルすぎる。

 

雪緒はこれからどんな未来へ進むのでしょうか。
割れた恋は取り戻した、のよね?でも今まで通りの恋ではない。燃え盛るばかりに一途に煌めく恋だったのに、今や諦念と自己犠牲と自立心のスパイスが苦い。雪緒の不可逆な成長が切ない。

ラストの白月の絶叫と憤怒もどういう展開をもたらすのか。
上里の古老(?)っぽい怪たちが言った「歪んだ」の意味も気になるし。
あと雷王が探してたのって雪緒の影のこと?それもどうなるのか。

色々気になるところですが、次は舞台が変わりそう。そして三雲の本格再参戦きますかね、これは!楽しみー!

 

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