AHEADシリーズ 終わりのクロニクル 全7巻(全14冊) /川上稔



終わりのクロニクル 1(上) 電撃文庫 AHEADシリーズ

総評:★★★★★
2003年6月刊 〜 2005年12月刊。
おッッッッッッッッッもしろかったーー!!!

かつて存亡をかけて10の異世界と戦い、その全てに勝利した世界。
しかし世界は再び滅びに向かっており、滅亡を防ぐためには「戦争が残したもの」を清算をしなければならない。
そうして戦後処理を任された少年少女は、異世界の生き残りたちと戦い、交渉し、その過程で戦争の真実と世界の謎に迫るのです。

各異世界の人々が持つ様々な「概念」、様々な戦闘スタイル、様々な事情、様々な信念。
新たな異世界と対峙するたびに物語の雰囲気が変わり、章ごとに新鮮な楽しさを感じるシリーズでした。
生身の肉弾戦、巨大ロボット、戦闘機による高速空中戦・・・・・・バトルパートだけでも多種多様な趣向が用意されていて、途中で飽きる暇もなかった。ずーーっと楽しくて夢中になって読みました。

4組の男女を中心に置く、群像劇的なストーリーも最高。
カプ厨に大変美味しい構造なんですよね。みんな魅力的だから全てのカップルが推せる。
変態彼氏とツッコミ彼女とか、変態彼氏と暴力彼女とか、変態彼氏と天然彼女とか、変態天然彼女と巻き込まれ彼氏とか・・・・・・・・・・・・変態多くない?多かったなぁ。
でも決めるべきところでは鳥肌たつくらい格好良いのがずるいんだ・・・!

☆あらすじ☆
かつて世界は、平行して存在する10個の異世界と戦闘を繰り広げていた。概念戦争と呼ばれるその戦争に勝利してから60年。全てが隠蔽され、一般の人々に知られることなく時が過ぎた現在…。高校生の佐山御言は祖父の死後、突然巨大企業IAIより呼び出しを受ける。そして、この世界がマイナス概念の加速により滅びの方向へ進みつつあること。それを防ぐには、各異世界の生き残り達と交渉し、彼らが持つ10個の概念を解放しなければならないことを伝えられる。かくして、佐山は多くの遺恨を残した概念戦争の戦後処理として、最後の闘いに巻き込まれていくが…。川上稔が放つ新シリーズ、遂に始動。

以下、ネタバレありの感想です。

最終巻まで読んだ上で特に面白かったところをネタバレありで触れていきます。

 

偽悪的・露悪的なのではなく、真実「悪」というわけでもなく、背負うべき役割としての「悪役」
概念戦争の負債と向き合い、世界救済のために悪役であることを宣言していくのが本当に格好良くて。
「戦争の勝者」が「戦争の敗者」と向き合っていく構造のなかで、交渉と言う名の殴り合いの話だから余計に潔い振る舞いに見えました。たとえ憎まれようとも、自らの役割を突き進もうとする覚悟。それを示す佐山の宣言に毎度律儀に興奮する私がいました。

 

佐山が担うべき「悪役」の意味が、LOW-Gの秘密が暴かれると同時に重みを増してくる展開も楽しかった。
「悪」とは「正義」の対立概念であり、ならば「悪役」とは何なのか。世界を救うべき者が「悪役」を名乗ることの重さを問いかけるような終盤の展開は面白すぎました。
足場をひっくり返すような展開と、そこからの巻き返しに大興奮でした。

 

「姓」の使い方も良かったな〜
「姓」は血の繋がりを意味し、そこに「受け継がれるべき想い」が内包されていて。
最初は先代から押し付けられ、後にそれを自らの意思で受け継ぎ、そして新しい世界へ繋いでいく。
まるで想いのリレーを象徴するような一字だなって。
全てが決着する場面で「姓」に触れず、しかし姓で名乗りながら、自らの意思をもって任じているのも良いですよね。
祖父や父から受け継いだ戦い。そこで得られたものを、自分自身のものとして昇華する。そうやって戦いを終えるドラマ性が完璧でした。

 

戦いの終盤になると始まる佐山の演説と号令、しびれるほど格好良いですね!!あそこでぎゅーーーーんとテンションが跳ね上がる。
途中から「進撃せよ!」のセリフだけでぶわぁっと鳥肌がたつようになっていました。一緒に「Tes!」と叫びたくなるような高揚感が本当に素晴らしい。

 

佐山と新庄の関係性、すごく好きです。
悪役に徹する少年と正しさに揺れる少女。それを正逆と呼ぶのがまず好き。
登場人物紹介では新庄のことを「不断の存在」と表現しているところも好き。

新庄といえば、「新庄・切」登場時の展開にめちゃめちゃ笑いました。
ヒロインが男のフリして主人公と同居する、っていう割と見かけるパターンだと思ったのになぁ。佐山の探究心の強さを侮っていた。
めげない心で新庄を暴いた佐山にドン引きで爆笑しました。引っ張るなよ!!!!笑

佐山と新庄のラブコメパート全般がとても好きなんだけど、一番記憶に焼き付いているのは新庄のポスターを貼って盛り上がってる佐山だったりするので・・・・・・どうしようこれ「カップル」が好きと言えるのか???いや好きだけども!!

だってもうひたすら新庄を愛で倒す佐山が面白人間すぎて・・・・・・

世界を救う話なのに世界よりも新庄くんを愛し抜いた男でした。純愛の変態度にときめいて脳がバグる。

最後の最後で奥ゆかしさを発揮するところも好き。言われてみれば言ってない。
あれ?言わないままアレやコレやしてたの?どんな精神構造なの???笑
でもその一言を最後まで大切に取っておくところが、本当に本当に良いよね・・・・・・

 

「主人公と仲間たち」であり、「主人公カプと3組のサブカプたち」でもある。このシリーズ、カプ厨を喜ばせすぎでは。

 

佐山・新庄を中心に話を進めつつ、他の3組の少年少女の物語も彼らに負けないくらいドラマチック。
特に好きなのが原川くんとヒオカプとしては最推し、かな??
天然語変換のヒオと巻き添えを食らう原川くんのラブコメが最高に面白かった。主観のみのヒオ語が好き!笑
ヒオといえば、原川くんに突き放され泣き崩れながらお腹を鳴らすシーンも好きです。扉絵の「落ち込んでも元気 腹立たしいけど」が妙に心に残りました。ヒオちゃんのそういうとこが好き。

変態だらけの世界で常識人ぶりが光る原川くんのポジションも美味しい。だから散々な目にあうんだけども。
でもさぁ、最終決戦直前でキスをねだられた原川くんの対応がさぁ・・・!
たった数行しか書いてないシーンでぎゃあーッて叫び転がった。
そういうとこだぞ!!!大好きだ!!!

 

飛場少年と美影ちゃんのカプも可愛い。
飛場少年、登場人物紹介では「ややエロ」とあるけど、「やや」???
必死こいて美影を助けつつ、しれっと胸を揉んでる尻をなでてる印象が強いんですが?
こやつのセクハラはナチュラルすぎてうっかり見落としそうになる。

でも飛場少年は終盤になるにつれてどんどん格好良くなって。
なにげにチームの中で一番体を張ってたような??
何度も大怪我を負いながら、美影のために、美影とともに、戦い抜いた姿がとても主人公的で格好良かったです。

まぁでも、うん、、、美影ちゃんが恥じらいを覚えるのが先か、UCAT男性職員の嫉妬に殺されるのが先か。。。

 

そしてチームの古参メンバーでもある出雲と風見。
この二人については、状況が悪化して風見の弱さが出てくるあたりからすごく魅力を感じました。
出雲の安定感が良い。とても良い。
ボーイミーツガールやってる他のカプたちと違い(飛場たちは少し違うけど)、出雲と風見は熟年夫婦みたいな距離感が素敵。
UCAT壊滅後に風見の風呂場に突撃して、泣き顔を隠すようにシャワーを当てた出雲が私的ベストシーンです。あの対応、ちょっと彼氏力高すぎない・・・?

 

うーむ、本当にカプが多種多様だったなぁ。
よりどりみどり取り揃えてありました。素晴らしい。

 

カプだけでなく他の関係性もすごく良かった。
特に至様とSf、ハジと義娘たちの最後には泣きました。ボロ泣きした。至とSfの主従漫才、すごく好きだったな・・・・・・ああ・・・・・・
敵も味方も、名もなきモブに至るまで、誰も彼もが格好良く、背景に人生を感じる人ばかりでした。みんなに幸せになってほしかった。そう思わずにいられない物語でした。

 

もっと色々書きたいことがあるんだけど、まとまらないので一旦ここまで。
また最初から読み返したいです。二周目はいろいろな発見がありそう。
最後まで読んでから1巻冒頭を読み返すだけでも面白かったし。全竜交渉が終わっても彼らの戦いは続いていくのだ。

ところでAHEADシリーズは続きがあるみたいなのでワクワクしつつ座して待ちます。

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KADOKAWA
著者 川上稔 イラスト さとやす(TENKY)

 

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「AHEADシリーズ 終わりのクロニクル 全7巻(全14冊) /川上稔」への4件のフィードバック

  1. 川上氏の作品はどれも最後に向かって畳みかける感じがあっていいですよね!
    境界線上のホライゾンもおすすめなので、ぜひ読んでみてください!

    1. コメントありがとうございます。

      川上稔作品はパワコメ、神々、終わクロと読んだのですが、本当にどれも終盤力の強さというか、最後に爆発的に盛り上がるので興奮しました〜!
      境ホラもいつか読みたいです!読みます!(*^^*)

  2. ラノベ主人公で一番好きなキャラはと聞かれると未だに佐山・御言と言えますね。
    冷静にクレバーに変態かつ万能キャラという。
    それでいてヒロインへの愛情を欠かさない表現ができているのは凄いの一言。
    ホライゾンの方もなかなかカプ厨を殺しにきてるのでお時間がある時に是非。

    1. コメントありがとうございます。

      佐山の主人公としての格好良さ、私の中のランキングでも急上昇です・・・!

      >冷静にクレバーに変態かつ万能キャラという。それでいてヒロインへの愛情を欠かさない表現ができているのは凄いの一言。

      わかりますー!その全てが佐山という人間の中で違和感なくひとつになってるのがすごいと思いました!
      シリアスシーンで変なことを言っても格好良いこと言っても「佐山らしいな」って思えるので、本当とんでもない男です。笑

      ホライゾンもいずれ必ず読みたいと思います。カプ厨として殺されにいかねば・・・!

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