川上稔短編集 パワーワードのラブコメが、ハッピーエンドで五本入り(2) /川上稔



川上稔 短編集 パワーワードのラブコメが、ハッピーエンドで五本入り(2) (電撃文庫)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

前巻の感想はこちらから

評価:★★★★★
2020年9月刊。
電子書籍限定の川上稔先生のラブコメ短編集第2巻(1巻と同時発売)

1巻が最高すぎて短編1本読むごとに撃ち抜かれて召されていたのですが、なんとびっくり2巻の方が面白いという!!

短編1本1本が年間ベスト級に好きなのに、それが×10
やばいです。こんなのってないよ。どうしたらいいか分からない。
ここに収められた全ての恋が尊すぎて死ねる。全ての恋が美しくて可愛くて甘酸っぱくて素晴らしい。

まだ9月なのに2020年の新作ラブコメ私的ナンバーワンが決まったような気がします。
全人類、パワコメを読んでくれ・・・・・・頼む・・・・・・
だって私は3巻以降も続いてほしいのです。たくさん摂取したいんだ・・・!

☆あらすじ☆
WEB限定!! 『境界線上のホライゾン』の川上稔が贈る珠玉のラブコメ短編集!
・『幸せの基準』
「意地汚い豚です私……!」弁当を、つまらなく食うヤツがいるんだなあ、と、そう思った。そんな“ウマメシ”少女と“マズメシ”少年の弁当交換会。
・『星祭りの夜』
「女のプライド一本勝負です」彼は気付いていない。いやホント、困っちゃうくらい気付いてなくて困る。想い人に別の女性との恋愛相談をされてしまった家業が神社の私。得意の占いで彼の恋愛成就を手助けしようとするが……?
・『鍵の行き先』
「……うわあ生々しい……」本を読んでいる間は、他を気にしなくていい。自分のことも気にせず、心に鍵を掛ける。そんな少年“俺”は、入部した文芸部で、風変わりな先輩に出会うが、彼女もまた心に鍵を掛けていた。
・『自由の置き場』
「弟! 今、エロ本落ちてた!」自由ってあるじゃん。まあノーパン未満の自由ってのに、不意に気づいたんだ。元秀才女子と才覚男子の勉強攻略。
・書き下ろし短編『再会の夜』
「お前はモブの自覚あんの?」夜の町で会ったら告白しようと決めた。何の話だっけ。ああ、ゴリラ女子の私と、オスの人類のちょっと恥ずかしい昔話をしようか。
川上稔が贈る、最高にハッピーでキュンとくる珠玉のラブコメ短編集、第二弾!

以下、ネタバレありの感想です。

 

01 幸せの基準

まずそうにお弁当を食べる男子とお弁当交換する女子の話。お弁当箱に詰められたドラマ。

この1本目の短編を読んだとき、「えっ、1巻収録作より面白いのがきたんだが!?!?」と衝撃を受けました。この衝撃何度目だよ。
読めば読むほど最高が更新されていくので、なんかもう沼にズブズブ沈んでる自分を錯覚。
あまりに素晴らしいと呼吸困難になるから抑えてほしいです。嘘です。

 

それはさておき、この短編、母と娘の会話もすごく楽しい。
SNSで娘を名乗る母とか笑っちゃうし若干イヤでは?とも思うけど、そういう仲良し母娘感が可愛くて良かった。
あと、そういう楽しい母娘エピソードが最後の最後で

子供かよ、って思うが、時計を見ると一時。こっちは昼休みだけど”娘”は母になる時間だ。今は私が娘で子供。だったらいいか。

という表現として回収するのめっっっっちゃ上手いなって!

 

なんというか。ここだけじゃなくて。

こういう、ちょっとした表現に「日常の中にうまれた恋心」の奥行きを感じるんですよ。
あるいは存在の立体感?彼女というキャラクターが全然薄っぺらくない。
だから彼女の中で生き生きと跳ねる感情に心惹かれるし、それがすごく瑞々しく思えるのかも。匠のワザでは?

 

あとね、これもまた全ての短編に言えることなんだけど、カップルの関係性が最高ですよね・・・!

私が、私を褒める唯一を、彼は自分の家族よりも褒めてくれる。
彼が今、他人を褒める唯一を、私は彼から貰っている。
マザーにはチョイと悪いが、そういう独占だ。

あぁ、それは恋ですね!恋しますね!!と全力でウンウン頷いてしまう。その関係性は恋が芽生えますわ!ド自然!ってなる。
そういう納得感がやっぱり好きなんだよなぁ。

 

02 星祭りの夜

占いが得意な神社の巫女娘の恋。

これは2冊の短編集の中で一番ほろ苦さを感じるお話でした。だって失恋してるじゃん・・・?ハピエンですが。

 

この短編ほんとすごく良くて、何が良いかって主人公のキャラが良かった。

御嬢のことを「自分の想い人が上手く行くことを喜べるいい人」と評してたけどブーメランじゃん!大ブーメラン!

全部読み終わってから読み返すと頭からすごく切ないんですよね。
あっさりと恋愛対象から除外された瞬間の彼女の胸中、会話劇に塗りつぶされてほとんど描かれてないんですよ。
「よくないですけど話進まないのでそうしておく」の一文にコメられた彼女の心境を想像して泣くんだが。

 

そしてラスト!
健気さにまた泣いた。祖母のヒールを持ち出してくるのがまたもう切ない・・・!
自分を変えたい、彼を変えたいと、験を担いで占いも使って。
気づけ!振り向け!と願う必死な恋模様が本当に良かった。これは最高のアオハルです。。。

 

03 鍵の行き先

1本目2本目が最高だったし、コレ以上はないやろと思った途端に最高が更新された3本目。

低身長コンプレックスを抱えた少年が、高身長女子の先輩がいる文芸部に入部するお話。

 

コンプレックスが絡まる恋って最高ですよね・・・・・・これも本当に最高でした。
「本を読む」という個人的で内向的な行為と、こじらせてきた身長コンプレックス。この2つの掛け合わせが素晴らしく決まっていた。
後輩君が先輩の本の趣味から深読みするくだりとか、彼の心境がヌルッと理解できてしまうんですよ。その緩やかな諦念を。はーー、切ない。

 

まぁハッピーエンドなんですが。

 

この短編集、恋に気づいて一度落としてからの終盤の盛り上げっぷりが本当に素晴らしいです。
そして先輩かわいすぎた。高身長女子のアピール方法が可愛いすぎた!!

 

04 自由の置き場

学年1位になったから学年一のバカになろうとした少女の恋。
笑っちゃうくらい変な子の話なんだけど、「自由」になるぞ!とバカやった結果、恋に落ちちゃうんだから更に笑う。恋は自由じゃないよなって。

 

でも、そこから彼女が見つける恋と自由の相関図が素晴らしいんです。
関係性〜〜〜〜〜〜〜〜!って叫んでしまった。

自由を求めて恋に落ちた彼女と、彼女に恋して自由を知った彼。

その関係性の妙が最高すぎた。

 

もうね、「自由の置き場」ってタイトルの意味が良すぎ!

 

05 再会の夜

ここまで「何をどうすればポンポン最高を更新していくんだよ・・・!」と戦慄しながら読んできたのですが、そりゃね、そういう傾向にあるなら当然ラスト1本はこうなるわね。

ということで、パワコメ1・2巻全10本の短編の中で、一番好きだし最高だった短編がこちらです。マジかー。

 

高校卒業後の進路に迷う少女と、彼女行きつけの立ち食い蕎麦屋に来る少年の話。

この短編、最初の一文から好きなんですよね。

夜の町で会ったら告白しようと決めた。

事情はわからないけどエモいのは伝わる。
こういう意味深で期待だけ寄越してくる導入文、大好きです。

 

この短編も、他の短編と同じく恋愛以前の状態から恋が芽生えるまでの感情の流れがとても秀逸なんだけど、これに加えて「駅」という舞台設定の使い方が抜群だったなと。

 

駅ですよ駅。それは人生の分岐点の象徴。
そんな場所から見つめる未来と現在と過去。そして新天地と故郷。
その描き方が、とてもとても良かった。
特に「主人公がいつも電車の最後尾車両に乗る理由」とか最高にエモくてね・・・・・・

 

そして彼女すら知らない彼女の想いを、彼だけは見つけてくれていたというのがね・・・!!!
もうこれ救済じゃん。そんなの愛しちゃうよ。

 

いやぁ、最後の最後に特大の「最高」が来るとは。私は無事に沼の底で成仏。そして燃え尽きました。

本当に素晴らしい短編集でした。ありがとうございました。3巻以降も絶っっっっ対に続けてほしいです。

 

余談ですが「終わりのクロニクル」が全巻到着しました。紙で。電子書籍なかったので。
積み上げたタワーを眺めつつ思ったのは、境ホラは電子書籍にしよう・・・でした。

 

スポンサーリンク
 
1

「川上稔短編集 パワーワードのラブコメが、ハッピーエンドで五本入り(2) /川上稔」への4件のフィードバック

  1. こんばんは、みっちーです。
    みかこさんお元気ですかー?
    急にアップなくなって淋しいです(つд`)
    私の図書館みたいな存在なので(笑)
    お元気ならよいのですが~

    1. みっちーさん、こんばんは!

      元気です〜!ご心配おかけしました。
      色々と立て込んでいたのですが、今月中にまたブログの更新を再開できたらいいなぁと思っています。
      その時はまたよろしくおねがいしますね(*^^*)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。