シャドウテイカー 黒の彼方 /三上延



シャドウテイカー 黒の彼方 (電撃文庫)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

評価:★★★★☆
2004年6月刊。
「両片思いの幼馴染が怪異に引き裂かれながらも苦難を乗り越える物語」が読みたいです、と呟いたら本作をオススメされたので読みました。
これ!読みたかったやつ、まさにこういうの!
ゼロ年代学園伝奇の空気も楽しい。
都市伝説と現実がリンクしていくお話、良いよね・・・・・・

☆あらすじ☆
わたし、多分もう人間じゃないんです。
人の影に潜み、人の心を、欲望を、やがて肉体までをも喰らいつくすという怪物『カゲヌシ』の噂―新たな都市伝説に呼応するかのように、奇妙な事件が続発してゆく。高校生の裕生は、連続焼死事件の現場で「黒い虫」の死骸を見つける。時を同じくして、裕生の幼馴染みの少女・葉の身に、恐るべき変化が…。謎のメッセージ「ヒトリムシ」とは? そして『カゲヌシ』に取り憑かれた孤独な少女・葉の運命は!? 異次元の生物に寄生された少年、少女達の闘いを描く、三上延新ホラーシリーズ、ここに開幕。

以下、ネタバレありの感想です。

 

学校でカンニング事件が問題になるなか、主人公・藤牧裕生は幼馴染の雛咲葉の様子がおかしいことに気づく。
「カゲヌシ」という怪異の噂、ぎくしゃくする裕生と葉の関係、そして次々に消えていく3人の女。
果たして葉は何を知っているのかーー というストーリー。

 

カゲヌシの都市伝説とか、一般人が容赦なく死んでいくところとか、犯人の末路とか、そういう事件に対して何ら特別な力を持たない主人公の関わり方とか、割とシビアなところが良い。こういうオカルトな学園伝奇もの、やっぱり好きだなぁ〜、となりました。復権しないかな。まだ早いかな。仕方ないのでペルソナ新作を待ちましょう。

 

物語の構成も面白かったです。
プロローグの「わたし」と「後輩」、これはあからさまにミスリード!と看破した気になっていたので、もう一段あった引っ掛けに見事引っかかりました。
ミスリードと思いつつも何がどうミスリードなのかを詰めて考えない私は良いカモですね。
「ああー!」となって楽しかったけれど(笑)

 

そして何より良かったのはお目当てだった「両片思い幼馴染」!
特に葉の片思い描写が序盤からめちゃ可愛いくて最高でした。
名前の呼び方を無理して変えるところとか、背中が膝にあたって顔を赤くしてるところとか。
強烈に意識してるのに必死に気持ちを隠そうとする女の子かわいい・・・・・・

まぁ彼女が抱える事情は、掘り下げられるほどに真顔になるくらいシリアスでしたけど。
両親失踪も怪異絡みだろうか。
拠り所がない孤独ゆえの、あっさり消えてしまいそうな儚い存在感が切なすぎてなぁ。
裕生くん絶対に手を離すなよ・・・!と念じるしかない。

 

その裕生は終盤の活躍ぶりがとても良かったです。
葉に一緒に暮らそうと言えずにグズグズしていた少年が、状況を知ったあとは彼女を救うために懸命に走る。
その変化が主人公らしくて良かったし、特に好きだったのがクライマックス!

 

「君に名前がなかったら、ぼくが名前をあげる」

 

うあ〜〜〜〜〜〜〜!好き!!こういうの好き!!
世界に絶望し自分を見失って消えゆく少女を、少年が名前をつけることで世界に繋ぎ止めるんですね!好き!

そして物語のように改めて与えられた名前を、昔のように呼ばれることこそ葉の願いだったと……健気か……

 

この展開の土台に「幼い日のふたりの思い出」があることが、幼馴染ものとしてパーフェクトでした。
名前の呼び方による関係の変化を描いてきていたので、クライマックスが最初の関係性ごと取り戻す展開なのも更に良し。

でも最後は呼び方がまた戻ってる焦れったさもまた良し!

 

うーん、楽しい。これは私の好みに完璧にヒット。
良いもの教えてもらえたなぁ・・・・・・とにっこりしてたら意外な方向から後頭部を殴られるオマケが付きました。

 

お兄ちゃん・・・!

 

破天荒元ヤンお兄ちゃん・・・!

 

なんで君が主人公みたいな告白してるの・・・!

 

めっちゃ笑ったじゃないか。くそう、予想外のギャップで落としにかかりやがって。ずるいぞ!

 

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