【WEB小説感想】暗黒騎士斉藤くんの業務レポート /佐々木匙



暗黒騎士斉藤くんの業務レポート(カクヨム)

『夜猫ジュブナイル』に続いて、こちらもオススメされたので読みました!面白かった!!

心に負荷がかかった結果として発症するストレス性変異脳症。
その『病者(ペイシェント)』となった人は、通常ではありえない異能を持ってしまう。

辛い現実のなかで心を潰され、現代社会で生きるには厄介な異能を抱えた「病者」たち。
彼らをサポートし、時にトラブルに対応するのもまた「病者」であり、本作はそんな「病者」たちが集う「トカノ特殊業務社」の日常を描いていきます。

もうね、優しいんですよ、このお話・・・!

自身も弱さを抱えた人たちが、他人の弱さに寄り添う。
自分も苦しんでいるから、相手の苦しみが理解できる。
理解できるから、助けてあげたいと必死で手をのばす。

その姿はヒーローのように強く優しくて、その背景にある傷に切なくなって、ただただ胸がいっぱいになりました。

「暗黒騎士」の青年と、彼の「侍女」になった少女の関係性もすごく良かった。
長年連れ添った主従のような距離感で、ゼロから絆を育てていくふたり。
現実と空想を頻繁にスイッチする描写がとても可愛らしくてキュンとしたし、やっぱり切なくなって無性に泣きたくなりました。

いや〜〜〜、本当によかった。すこしふしぎ青春小説が好きな人は絶対に読むべきです。
課金したいから書籍化してほしい。『夜猫ジュブナイル』もね!

☆あらすじ☆
家出をして地方都市・瑞野を訪れた少女は、突然の危機を自称・暗黒騎士ナイトヴァルザーブレードと名乗る青年に救われる。彼女は成り行きでリーゼロッテと名付けられ、どう見ても普通の日本人なその青年の職場である零細便利屋・トカノ特殊業務社で働くことに。少しおかしな従業員たちと送る、日常九割、戦闘一割の物語。

以下、ネタバレありの感想です。

 

暗黒騎士ナイトヴァルザーブレード(戸籍名:斉藤一人)と出会い、リーゼロッテの名前を与えられた家出少女。
癒やしの異能を持つ「病者」であるリーゼロッテは、トカノ特殊業務社で暗黒騎士とバディを組み、様々な病者たちと出会い、数々のトラブルに遭遇する。
自分と同じ「病者」たちとの騒がしくも楽しい日々を過ごす一方で、リーゼロッテは自身の心の傷と向き合っていくことになるのです。

 

本作でまず推したいのは暗黒騎士とリーゼロッテの関係性!
暗黒騎士だと名乗ってダンボールの剣を振りかざし、ちょっと痛い格好いい言葉遣いが特徴的な斉藤くん。
もし近くにこういう人がいたら、私はきっと黙ってススッと距離をあけると思います(薄情なので・・・)

 

でもリーゼロッテは真正面から彼の世界に飛び込んでいくんです。それが新鮮で楽しくてたまらないから。
リーゼロッテの目からみた暗黒騎士の世界はワクワクするような冒険に満ちていて、日常を非日常へと生まれ変わらせる。
それは父親からの抑圧で無理に視野を狭められてきたリーゼロッテにとって、どれほどの感動だったのか。

 

このあたり、暗黒騎士を優しく見つめるリーゼロッテの心情描写がとても良かった。
暗黒騎士モードで威勢よくご近所パトロールする時も、語彙に詰まって「気弱な斉藤くん」に戻ってしまう時も、リーゼロッテは彼のすべてを優しくふわっと受け止めるんです。

暗黒騎士モードのときは固い絆で結ばれた主従のような距離感で、
「斉藤くん」のときはまだ微妙に遠慮がある生まれたての距離感で、

現実と空想を切り替えつつ、時にコミカルに、時に格好良く、時に切なく、時にキュンとさせながら、二人の関係が描かれていくのです。
これが本当に本当に良かった。

 

『夜猫ジュブナイル』でも思ったけれど、佐々木匙さんの文章って、ユーモアと可愛さのある表現力がとても魅力だなぁと思いました。

 

ちなみに一番お気に入りの場面は暗黒騎士がリーゼロッテに誕生日プレゼントを渡すシーン。堪えきれずに二人で笑っちゃうところ。
キラキラと輝くような青春を感じました。何気なくてありふれた瞬間だからこそ、暗黒騎士が渡したプレゼントのメッセージが尊く思える。そこが良かった。
ああ、でも、二人でアイスクリームを食べるシーンも好きなんだよな。。。

 

暗黒騎士とリーゼロッテを取り巻く「トカノ特殊業務社」のメンバーも良キャラ揃い。
彼らは全員が「病者」で、全員がストレスを抱えすぎて異能を発現させてしまった人たち。
だから、普通にしていてもどこか影を帯びているし、何かしらの歪みを抱えている。
それでも彼らは他者をサポートするために日々奔走するのです。
苦しみに溺れた「病者」に手を伸ばす瞬間にこそ、強さを発揮する人たちなんです。
もう格好良いとしか言いようがない。こんなのヒーローじゃん・・・!
弱さや苦しみを抱えた人が、他の人のために強くなる。そういうの、良いよね・・・・・・

 

そんなわけでトカノの人たち全員好き!!って感じなんですが、とりわけ好みに刺さったのが葵川肇
初期は何やら黒幕ムーブしてた葵川さん、第2シーズンからの株の上げ方が容赦なくて好きです。
コミュ力高い陽キャの顔をしていても、彼もまた「病者」のひとり。
隠し持っていた事情が重すぎて、こういうギャップにチョロい私はすぐ「葵川肇〜〜〜〜〜〜!」って鳴くようになりました。ほんとチョロいな我ながら。
でもさ、双子を救うために必死に戦ったお兄ちゃん格好良すぎてハマるやん?仕方ない。

 

いや〜〜〜、面白かった。
「夜猫ジュブナイル」とは近いようで少し異なる青春×異能の物語として楽しめました。お仕事ものとしてもめっちゃ良かった。
これで3作めですが、うむ、佐々木匙さんの文章がかなり好きです。これは他のも読んでみないと!

 

リーゼロッテと暗黒騎士の関係に「まちがいさがし」を感じ、頭の中で鳴り響いていました。怖いくらい歌詞がピタリと当てはまる。
病者ゆえに(あるいは病者になるほど)辛い思いをしてきた二人だけど、病者だからこそ出会い、絆を育めたーー というのを斉藤くんも実感してるところに心がキュンキュンして大変だった。
リーゼちゃんが斉藤くんを大事にしてるぶんだけ斉藤くんもリーゼちゃんを大切にしてるんですよね。このカップル大好きだ・・・!

 

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