生き残り錬金術師は街で静かに暮らしたい 1・2 /のの原兎太



生き残り錬金術師は街で静かに暮らしたい 01【Amazon】【BOOK☆WALKER】

評価:★★★★☆
1巻 2017年9月刊、2巻 2017年12月刊。

200年後の世界で目覚めた錬金術師が、錬金術師が存在しない街で「薬屋」として静かに暮らしていく物語。
回復アイテムを必要とする迷宮攻略、回復アイテムが貴重な環境、そして回復アイテムを量産できる主人公。
3つの要素が様々な形で絡みつつ、のんびりとした日常が描かれていく物語です。

細部の設定に凄まじいこだわりを感じる作品でした。
本筋はスローペースだけど設定資料集とかファンタジー事典を読んでるようなワクワク感があります(ただ設定を語りすぎに感じる部分もある)
あとダンジョンの描写がとても良い。アイテム屋を中心に描かれるダンジョン攻略パートすごく楽しいです。

のほほんとした主人公と、彼女を護衛する奴隷の青年の関係性も好き。
信仰みたいな恋情と命がけの打算による執着心という、なんとも言えない生々しさよ・・・・・・

全6巻で完結済みのシリーズで残りも買ってあります。続きを読むのが楽しみです。

☆あらすじ☆
200年後の世界で、自分らしく生きていく。
エンダルジア王国は『魔の森』のスタンピードによって滅亡した。
錬金術師の少女・マリエラは『仮死の魔法陣』の力で難を逃れたものの、
ちょっとした「うっかり」で眠り続けてしまい、目覚めたのは200年後。
――そこは錬金術師が死に絶え、ポーションが高級品と化した別世界だった。
都市で唯一の錬金術師になってしまった少女・マリエラの願い。
それは、のんびり楽しく、街で静かに暮らすこと。
ほのぼのスローライフ・ファンタジー、ここに開幕!

以下、2巻までのネタバレあり感想です。

 

魔の森から魔物があふれるスタンピードをやり過ごすべく、仮死の魔法陣で眠りについた錬金術師・マリエラ
本来は危険が去れば自動的に目覚めるはずだったのに、ポカをしたせいで200年後に目覚めてしまう。

見知った人は誰もいない。世界がどう変わったのかも分からない。
そして、どうも錬金術師だけが作れるポーションが高騰しているらしい・・・・・・

不安と孤独を感じたマリエラは、奴隷の青年ジークを勢いで買い取り、隷属の魔法をかけられた彼を唯一の味方とする。
一方のジークは、瀕死の自分を救ってくれたマリエラに恩義と恋情を抱きつつ、彼女がいなくなれば再び奴隷として劣悪な環境に戻されることに強い恐怖を感じていて―― というのが序盤の流れ。

 

のんびりしたお話だし、マリエラの性格もぽやーっとしてて(錬金術師としては優秀だけど)、たしかに「ほのぼのスノーライフ」というキャッチコピーに偽りはないと思う。

 

でもこの作品、なんだか、結構ダークじゃないです!?!?

 

仲良しでほのぼのした空気を持ちながらも「ご主人さまと奴隷」でしかないマリエラとジークの関係とかね。
マリエラが身を隠すために「幼馴染」という設定で接してるから忘れがちになるけど、この二人はあくまで生殺与奪の権利を握ってる者と握られてる者なんですよね。
二人が順調に絆を育んでいるのは間違いない。でもそれは「隷属の絆」でもあって・・・・・・(1巻3章のサブタイ良すぎか〜???)

 

特に、1巻終盤でジークがマリエラへの複雑な感情が溢れてグチャグチャになるシーンがとても良かったです。
ジークの拭いきれない俗物っぽさが生々しくて結構好きなんだよねぇ。
マリエラと仲良くなってると思いきや、「他の女を口説いたようにマリエラの心も掴めるはず」と無意識に考えていたところとか。そういう自分に気づいて混乱するところとか。
奴隷という身分ゆえの打算的な感情を持ちつつ、マリエラへの感謝と恋情があるのも本当だから、余計に心がめちゃくちゃになってしまうんでしょう(その恋愛感情はストックホルム症候群的なアレでもあるが)
私こういう醜い弱さに振り回される人、好きなんだよな・・・・・・

 

そんなジークに対するマリエラの反応も良い。
ジークの醜態をみて「わかってる大丈夫」と返したところ、テキトーな対応だったのかと思いきやジークの内面をしっかり理解していたとは。
その上で、「そんなの当たり前」と受け入れるマリエラの自然体が良い。いい意味で肩の力が抜けている。
まぁマリエラ自身も自分のために奴隷のジークを買ったわけだし、お互い様なんですよね。
だから変に恩着せがましくもせず善人ぶることもないマリエラの対応は読んでいてストレスがない。
まぁジークの恋情面には気づいてないから、そこは、、、今後に期待ということで(笑)

 

1巻はマリエラ&ジークの関係から目が離せなかったんだけど、2巻は割と落ち着いた関係になっていました。
ジークが泣いて一山越えちゃったのか?それともまだ何か波乱があるのか?(今も隷属関係なのは間違いないし)
マリエラとジークの関係がどうなるのか注目していきたいです。

 

主人公コンビが落ち着いたのと入れ替わるように、2巻では迷宮攻略の描写が本格化。
マリエラ自身は平和な街の薬屋としてスローライフしつつも、ポーション類を提供できるアイテム屋として迷宮攻略の影の立役者となっているのが面白い構造でした。
おつかいクエスト発注側なんだよなぁ、マリエラ。本人は攻略自体には参加しないのに、ちゃんと話の中心がマリエラになってるところが良くできている。
物語としても静と動の切り替えが効いていた2巻の方が読んでいて楽しかったです(マリエラとジークのドラマという点では1巻が面白かったけど)

 

迷宮攻略の描写が増えてくると、「ポーションが希少アイテムになっている」という事の重大さも理解できるようになってくる。
錬金術師が存在しないこと。それでも迷宮を攻略しなければいけないこと。
そんな世界で、唯一の錬金術師であるマリエラは何を為すのか。
2巻で彼女自身もそれを考え始めたことから、今後どうなっていくのか気になります。

3巻以降も買ってあるので、続きも読んでいきますねー!

 

冒頭で少し触れたんだけど、この作品とても設定の説明が多いです。
錬金術師のお仕事風景の一部として素材の説明があったり、迷宮内の階層について細かい描写があるのは読んでいて楽しい。世界観に奥行きを感じてワクワクします。
一方で、話のテンポを犠牲にしてまで設定を説明しようとする傾向があるようにも見える。例えば巨大スライムに襲われるシーンでサブキャラが持つスキルの由来を悠長に説明するところとか。
そこは、正直、私は好ましく思えませんでした。。。
せっかく素材は良いのだから、もう少し情報の取捨選択をしてほしいなぁ。
こういう感覚、WEB小説の書籍化作品でよく当たる。作者さんが書きたいことを全部書いてるんだろうなって。
その楽しさは伝わってくるし、それが個性となり魅力でもあるから一概に否定できないし・・・・・・なので、まぁ、私の好みの話でしかないんだけど。うーん、難しい。

まぁでも面白かったからヨシ!

 

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