ぼくたちのリメイク 1〜3 /木緒なち


ぼくたちのリメイク 十年前に戻ってクリエイターになろう!(MF文庫J)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

評価:★★★★☆
1巻、2017年3月刊。2巻、2017年7月刊。3巻、2017年11月刊。
人生にくじけた28歳が10年前にタイムスリップ。
分岐点となった芸大入学の道を選び、そこからクリエイターの卵たちと共に創作に励む大学生の青春ものです。
芸大の個性的な授業風景が面白かったし、男女四人一つ屋根の下で創作に没頭する主人公たちの青春ぶりはとてもまぶしい。
ストレートに刺さる台詞が多くてドキッとしたりも。
そして、(1巻2巻は話に乗れない部分もあったのだけど)3巻の展開で思わず「おおっ・・・!?」と前のめり。
「共通ルート終了」という3巻のサブタイ通り、4巻からが本番なんでしょうね。
どんな形で話が進むのか楽しみです。続きも読んでいこうと思います。

☆あらすじ☆
あなたの人生〈ルート〉、作り直しませんか?
ゲーム会社勤務だった橋場恭也は夢破れて実家に帰ることになったのだが、目が覚めるとそこは10年前だった……。なぜか諦めたはずの芸術系大学に通っていて、しかも憧れだった後のクリエイターたちが同級生に!?

以下、3巻までのネタバレあり感想です。

 

ゲーム作りの夢が忘れられずに入ったゲーム制作会社でひどい目にあった結果、無職になった28歳の橋場恭也
突如起こったタイムスリップによって芸術大学に入学する道を選び直した恭也は、将来有名なクリエイターとなる3人の男女とシェアハウス生活をすることになる。
彼らとともに芸大の授業を受け課題をこなす一方で、彼らの問題に関わっていく恭也。
やがて3人は同年代と思えないほど優れたスキルを持つ恭也に信頼を寄せていくが・・・・・・という内容。

 

10年後の未来からきた人間が、10年分のノウハウや知識を携えて、未熟な時期のクリエイターたちを引っ張っていく。
1巻2巻はこれで非常にうまくいくんですよ。あれこれとトラブルに突き当たっても、恭也が頑張れば全部なんとかなる。
それがあまりにもスルッと上手くいくから物足りない気持ちにもなってしまい・・・・・・物語のヤマ場を盛り上げるためのドン底部分があっさり気味かなぁ、と。
その代わり話のテンポが良くてスイスイ読めるという一面もあるんですけどね。うーむ、良し悪し。
(でも2巻のステージ成功の裏事情を最後に明かす構成は、やりたいことはわかるけど、仕掛けが上手くいってるようには思えなかったな・・・・・・恭也のナナコに対する一方的な試練の押しつけが唐突すぎるし、時系列に沿ってナナコの努力が結実していく様を見せてくれたほうがシンプルに楽しめた気がする)

 

そんな感じもあって、正直、2巻までは私には合わない作品かもなぁ、と思ってました。

だけど3巻は面白かった!!

元々の未来では業界のトップを走るような才能あるクリエイターを、10年のアドバンテージを利用して恭也が導こうとすること。それが何を引き起こすのか。

ずっと燻っていた違和感が、強烈なパンチと化して襲いかかってきた気分。
この展開を待ってた。そこが読みたかったんだよ〜〜〜〜!!
だってこれだけ過去に干渉して物事ぜんぶ上手くいくとかおかしいじゃん!恭也がいなくても彼らはちゃんと未来で輝けていたのに!

 

恭也自身の立ち位置も良い感じに爆弾化していて楽しい。
クリエイターの手綱をにぎる「製作」というポジション。
彼が動かなければ作品は完成せず、しかし彼が動くほど理想から遠くなる。

その功罪が如実にあらわれた3巻の展開、とてもゾワゾワして面白かったです。
恭也が妥協を求めて薄っぺらい言い訳を繰り返す度にフラストレーションが蓄積されたんだけど、それだけに「本当にこれで良かったの?」の台詞の不穏さが際立つ。その後の展開にも効いてたなぁ〜

 

「本気でやる」が2巻のテーマだったのに、3巻で「妥協も仕方ない」に舵を切った恭也。
本気の創作と現実の進行の間で道を間違えてしまった彼は、ここからどんなリメイクをみせてくれるのでしょうか。
理想と現実の釣り合いをとる苦しみは理解できるけれど、せっかくなら外野すらも巻き込んで熱くなれる創作活動を見せてほしいものです。

 

更に時間がとんだことで、タイムリープものとしても楽しくなってきました。
このタイムリープの秘密も明らかになったりするのかな?
恭也が割と無頓着に過去をエンジョイしてたので、「そういうこともあるよね」的なゆるいノリでいくのかと思ってたんだけど・・・・・・どうも雲行きが変わってきたね?
ラストのケーコさんの登場にテンションがあがりました。何者?曲者?正体が気になります。

 

あと1巻2巻は心情描写に物足りなさを感じていたんだけど、その点も3巻はかなり良くなっていたように感じました。
でもシノアキの内面掘り下げはほしいかなー。この子はイマイチよくわからなくて。

 

個人的に、登場キャラのなかでは河瀬川がダントツで好きです。
自分の特性と進みたい方向のギャップに悩む等身大の大学生って感じで、作中最も人物造形がしっかりしてると思った。
登場シーンはそう多くないのに、キャラ立ちがはっきりしてるから目を引くんですよね。どうしてこの子がメインヒロインじゃないんだ・・・?

 

まぁ、そのへんは今後に期待するとして。続きがとても楽しみです。

 

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