マルタ・サギーは探偵ですか? /野梨原花南



マルタ・サギーは探偵ですか? (富士見ファンタジア文庫)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

評価:★★★★☆
『マルタ・サギーは探偵ですか?』2003年12月刊。
『マルタ・サギーは探偵ですか? a collection of s. 』 2004年7月刊。

野梨原花南先生といえば、私にとっては『ちょー美女と野獣』。
愛嬌たっぷりでクセが強いキャラクターと、ほどよい抜け感と優しさのある台詞回しが魅力的で、大好きなシリーズでした。

だから『マルタ・サギーは探偵ですか?』もいつか読みたいとは思っていたんですよね。
でもズルズルと積んでいたので、Twitterでオススメ本を交換する話がなかったら、また後回しにしていたかも。良い機会をもらえました。

でも、でも、もっと早く読んでおけばよかった・・・!

すごく好きです、この設定!
推理はできない『名探偵』が、人間以外にも様々な種族が存在する街で、神出鬼没の怪盗に立ち向かう。
決してミステリーではありません。推理をすっ飛ばして事件を解決するのでロジカルを求めてはいけない。
それでも、独特な語り口が楽しいし、異邦人マルタをはじめとするキャラクター陣の魅力が素晴らしくて。

あとなんだか昔のコバルト文庫っぽいんですよね。個人的に。
初めて読むのに懐かしい気持ちになる。そりゃそうか野梨原花南先生だもの。

ラブコメパートもばっちり好みです。探偵と怪盗の絶妙な距離感が最高!

続きも読んでいきたいと思います。

☆あらすじ☆
彼の名前はマルタ・サギー。本当は少し違うけれど、オスタスに来てからはそう呼ばれている。職業は『名探偵』。けれど推理はしないし、できない。マルタにあるのは“事件を強制的に終結”させる力だけ。彼がその力を行使すると“世界の法則さえ捻じ曲げて事態が解決”してしまうのだ。「だってどんな世界でも働かなきゃ、生きていけないし。僕にできるのは『名探偵』だけだし」完璧な探偵であり、同時にまったく探偵でないマルタ・サギーは、如何にして『名探偵』になったのか? 彼の“秘匿されている”過去が、そして宿命の好敵手、怪盗ドクトル・バーチとの出会いの顛末が、今初めて明らかになる! マルタは、へらりと笑う。「不安なのは、どこでだって一緒だ。だから新しい世界で、僕はどんな僕になろうか考えたのさ」

以下、ネタバレありの感想です。本編1巻と短編集1巻の感想をまとめて書きます。

 

学校をやめた日、ふらりと立ち寄ったコンビニで謎のカードを引き当てた鷺井丸太
その場に居合わせた青年アウレカによって、様々な世界で行われる『カード戦争』の存在を知った丸太だが、そのプレイヤーから見ても丸太の持つ『名探偵』のカードはイレギュラーなのだという。

 

訳が分からないままアウレカと行動する丸太だが、紆余曲折を経て、ひとり見知らぬ街・オスタスに投げ出されてしまい―― というお話。

 

中盤の急展開にびっくり!
てっきりマルタとアウレカがコンビを組んでカード戦争に挑むのかと思ったんですよ。違った。
様々な「ワールド」を渡り歩く設定もあったのに、物語の舞台になるのはどうも一つの街みたい?
何が何やらという感じですが、物語はまだ始まったばかり。今後の展開に期待したいと思います。

 

でもなー・・・・・・アウレカ途中退場はちょっと寂しかった。
だってめちゃめちゃ気のいい悪人じゃない!この絶妙な性格付け、大好きなやつですよ。

「だってお前なんだかんだ言って言うとおりにすんだもん。まぁ俺でもそうするけどさ。俺ならもうちょっと運はいいね。俺みたいなのはそうそういないもん」
「そうだね!」

この台詞が大好きです、アウレカ。
腹が立つけど微妙に嫌いになれない。ふてぶてしさが魅力まである。
マルタも割と図太いキャラなんだけど、彼はお人好しですからね。
アウレカは人の良さに付け込む方だから、コンビを組んだら面白い組み合わせだった気もする。
・・・・・・・アウレカ、惜しい人を亡くした(死んでない)(たぶん)

 

それはさておき、ひとり異世界の街に放り込まれた丸太改めマルタ・サギー。

生きていくためには金が必要。そしてマルタの手元には、偶然や人心に支配を及ぼすことにより事件を強制的に解決できる『名探偵』のカードがある。

そんな彼がオスタスで探偵事務所を開く経緯が描かれるのが第1巻、開いた後の日常を描くのが短編集1冊めでした。

 

マルタ・サギー最初の事件『スレイリードラゴン誘拐事件』。
割とエグい事件を最初に持ってくるんだな〜と思って読んでいたので、マルタとトーリアスの会話がすごく心に残りました。

「名探偵。我々、警察官は、毎日そんな事件に対しているのだということを忘れるな。だから、お前はいい。我々が、するから。・・・・・・大人の男になって、その痛みが堪えられる様になったら、共に戦え。・・・・・・今は、我々が、年若い君の代わりに犯罪と向き合おう。そして大人になってもその胸の痛みを、どうか忘れないでくれ。辛いとは思うが、・・・・・・みんな、そうしている」

マルタが持つ名探偵のカードは、不条理なほど簡単に事件を解決できる。
でもその事件が持つ闇をマルタが受け止められるとは限らない。
とはいえ、犯罪が凶悪であればあるほど、治安を司る警察には欲しい力であるはず。
でもトーリアス警部は待ってくれる。マルタを叱咤するわけでも懐柔するわけでも突き放すわけでもなく、ただ待ってくれるんだなって。彼の心が成長するまで。
マルタを子どもと認識しつつも、過保護にならず一人の人間として適切な距離を保つ姿がとても大人だと、その渋い格好良さに惚れ惚れしました。

 

マルタはこれからどんな事件に挑むのかな・・・・・・
彼の心を傷つけたクレイとの対決はどんな形になるのだろうか。

 

と、少ししんみりとした気持ちのまま短編集1冊めを読んだら、テンションがぎゅーーーーーーんと変わっていて笑いました。ラブコメの始まりだ〜〜!

 

本編1巻の最後で関わりを持った名探偵マルタ・サギーと怪盗ドクトル・バーチ

探偵と怪盗が好敵手の関係になるやつ、大好きです。お互いに相手の一番の理解者であるかのような。良いよね。
でも怪盗が探偵の追っかけファンになるのは予想外でした・・・・・・なんだこれ楽しい!

 

いやぁ、バーチ可愛すぎでしょ。このミーハー娘め。完全にファンじゃん。
マルタの知らないところでマルタをうっとり見つめつつ、ひとりドタバタラブコメを繰り広げる女怪盗。
と、それを呆れ顔でツッコミ続ける有能従者。この主従とても良い。
恋愛感情的なものは無自覚みたいだけど、これどうなるのかなぁ。楽しみすぎる。

 

短編集と言えば、マルタの助手になった少年リッツも良キャラ。
世話焼きな弟と世話のかかる兄みたいな距離感。兄にちょっかいかける怪盗を苦々しく思いつつ、でも金づるとしては重宝するリッツ、すごく好き。
いや別に兄弟じゃないんだけど。でも兄ぶりたいマルタと、そんなマルタの気遣いをツンデレしながら受け止めるリッツの構図が最高でした。コートのくだり好き。

 

気持ちが盛り上がってきた!続きもどんどん読んでいこうと思います。
とりあえず富士見ミステリー文庫版で読んでるけど(買ってたので)、全部読み終わったら富士見L文庫版も読んでみたいな。

 

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