Babel 1 少女は言葉の旅に出る /古宮九時



Babel I 少女は言葉の旅に出る (電撃の新文芸)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

評価:★★★★☆
2020年6月刊。
面白かったー!
『Unnamed Memory』と同じ世界、違う時代に迷い込んだ少女の旅を描く異世界トリップファンタジー。

かつて電撃文庫で2巻まで刊行された作品ですが、電撃の新文芸にてリブート。
結局WEB版の続きを読めずにいたので、書籍版で再び読む機会を得られて嬉しかったです。
そしてリブート版は旧版よりも読み応えが大幅にアップ。こちらの方が格段に面白かったです。

元の世界に戻るために旅に出た少女。
彼女を助けながら、彼女から「文字」を学ぶ青年。

少しずつ違和感をにじませていく物語は、どのような全貌をみせてくれるのか。

とても楽しみです。続きは秋!

☆あらすじ☆
WEBで読者を熱狂の渦に巻き込んだ、珠玉の異世界ロードファンタジー
現代日本から突如異世界に迷い込んでしまった女子大生の水瀬雫。剣と魔法が常識の世界の辺境に降り立ってしまい途方に暮れる彼女だったが、魔法文字を研究する風変わりな魔法士の青年・エリクと偶然出会う。
「――お願いします、私を助けてください」
「いいよ。でも代わりに一つお願いがある。
僕に、君の国の文字を教えてくれ」
日本に帰還する術を探すため、魔法大国ファルサスを目指す旅に出る二人。その旅路は、不条理で不可思議な謎に満ちていて。――そうして、運命は回りだした。
これは、言葉にまつわる物語。二人の旅立ちによって胎動をはじめたばかりの、世界の希望と変革の物語。

以下、ネタバレありの感想です。

 

「虫食い穴」から異世界に迷い込んだ女子大生・水瀬雫と、異邦人たる彼女に興味をもった魔法士の青年・エリク
元の世界に戻る手がかりを探す旅のなかで、雫とエリクは様々な事件に遭遇し、また、少しずつ互いの知見を分かち合っていきます。

 

1巻の基本的な流れは電撃文庫版で既読だったけれど、新文芸版はとても新鮮でした。
記憶がおぼろげというのもあるんだけど、こんなに厚みのある話だったのか?と思って。分量的にも内容的にも。

雫が遭遇するトラブルの数々、姉妹への劣等感をにじませる雫の心情、雫とエリクが語り合う「言葉」の話。

どれも丁寧かつ繊細に描写されていて、それがとても面白いんです。

 

この物語を読んでいると、少しずつ、異世界の深みに足を踏み込んでいく気分になります。

エリクの世界と雫の世界。
二つの世界はどのような違いを持ち、その違いは何をもたらすものなのか。
自分の世界との違いを目の前にして、「異邦人」たる雫は何を思うのか。

旅のなかで見る景色、事件、そしてエリクとの問答。
雫はその一つ一つから小さな違和感を積み上げていく状態なのだけど、まだそれが何に結びつくのかは分からないんですよね。
これがすごく焦らされてる感じでして好奇心をくすぐってくる。
そももそもタイトルは「バベルの塔」からきているわけで・・・・・・
私は2巻までの展開しか知らないから本当に何もわからりません。楽しみすぎる。

 

あとやっぱりキャラが良いよなぁ。
雫とエリクのローテンションな会話がとても好きです。
ゆるゆると温度の低い掛け合い漫才って感じで、対話の中から互いへの理解を重ねていくところがすごく理性的だなって。
穏やかで小規模な異文化交流(世界が異なるのは小規模か?)が繰り広げられるのは読んでいてすごく面白いです。
そこからこちらの世界の言語の多様性に思いを馳せるのも楽しい。ちなみにドイツ語選択でした。私。ドイツ語学習の大変さを思い出すなど・・・・・・

 

常識も信仰も価値観も全く異なる世界で生まれ育った二人なのに、非常に理知的に知識を分かち合っていく雫とエリク。
そこに摩擦が生じないのは二人の性格の為せる技だろうし、地味にすごいことだよなとしみじみ思う。
異世界知識の混入を明確に拒否したエリクとか、風景を前にカメラをしまった雫とか、踏み込んで良いラインか否かの判断を柔軟にしているからなのか。
二人だけなら可能でも、関係者が増えればどうなるのか。
異邦人の知識を持ち込まないというスタンスや判断が今後どのように変化するのか、あるいは影響するのか。
そのあたりにも注目していきたいです。

 

あと雫と謎の本の関係も気になるところ。
大量に出血しても傷を塞いだらピンピンしてた雫、どういうことなんだ・・・?(世界移動の際に別人になってる説を思いついた瞬間におまけ短編であっさり潰された)

 

今後の期待が高まるリブート版第1巻でした。続きがとても楽しみです。
2巻は秋とのことだけど、何月くらいになるのかな〜?

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著者 古宮 九時 イラスト 森沢晴行

 

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