いまはむかし 竹取異聞 /安澄加奈



いまはむかし 竹取異聞 (ポプラ文庫ピュアフル)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

評価:★★★☆☆
2013年9月刊。
新たな切り口と大胆な解釈で描く「竹取物語」。
かぐや姫の末裔と月守りの少年の冒険を描く和風ファンタジーです。
彼らを見守る武家の少年、その幼馴染の薬師の少女。
まつろわぬ民の長の息子。
5つの宝を探す旅のなかで偶然に出会った少年少女の冒険と友情、そして成長と恋。
後半が特に駆け足だったのが気になったかな。設定とキャラが良かっただけに、もう少し長い尺で読んでみたい作品でした。

☆あらすじ☆
武官となるのを拒んで家を出た弥吹が出会ったのは、ある目的のためにふたりだけで旅をしている「月守」の少年たち。彼らは「かぐや姫」の伝説に深く関係していた。興味をひかれた矢吹は、彼らと行動をともにするうちに、次第にかぐや姫にまつわる壮絶な運命の渦へと巻き込まれていく。ふたりはいったい何者なのか? 五つの宝とは?
「竹取物語」を大胆かつ自由に解釈した、瑞々しく清々しい和製ファンタジー!

以下、ネタバレありの感想です。

 

武人の息子でありながら虫も殺せぬ性格をもつ少年・弥吹
都にある実家を飛び出した弥吹は、心配してついてきた幼なじみ・朝香と放浪するなかで、不思議な二人組に出会う。
「かぐや姫」の末裔であるキヨと、その護衛である月守の少年・アキ
二人は「かぐや姫」が月の世界から地上に嫁入り道具として持ち込んだ5つの宝を探しており、人の世に争いを招く宝を天に返したいのだと言う。
興味をひかれた弥吹は二人の旅に付き合うことになるがーーというストーリー。

 

まず面白いのが、作中で語られる「かぐや姫の物語」と実際の「竹取物語」の内容が異なること。
無茶振り求婚譚ではなく、ロマンチックな異種婚姻譚になっているんですよね。5つの宝の位置づけも異なっているのがまた楽しい。
この「かぐや姫の物語」が、キヨたち少年少女の冒険へと繋がり、彼らの成長を経て、今に続く「竹取物語」へと生まれ変わる。
この一連の流れがめちゃめちゃ痛快で気持ち良い作品でした。そこで弥吹の語り手設定が活きてくるのも好き。

 

うっかりオチの感想を先に書いてしまいましたが、少年少女の冒険譚としても純粋に楽しむことができました。
思えば、キヨもアキも弥吹も、自分の生まれと自分が在りたい姿にギャップを抱える子どもたちなのかも。
用意された道を進むことには抵抗があり、自分の行きたい道を選ぶことには迷いがある。
矛盾した感情を持て余しながらも、「宝集め」という眼の前の目的に邁進するキヨたち。
その旅のなかで何度も障害と問題を突きつけられ、悩み苦しみながらも、自分たちの望むものを探し出していく。
そんな王道の成長物語だったと思います。なんだか懐かしき児童文学のような読み心地でした。

 

ただ、まぁ、物語自体は若干の駆け足なんですよね・・・・・・
序盤は文句なしに面白かったのだけど、不比等との対決以降の流れはザクザク進んでいくことに物足りなさを感じました。
特に求婚者に無理難題を仕掛ける展開はせっかく竹取物語を踏襲しているのに、なんだかあっさりで寂しい。
袂を分かったアキとキヨがもう一度絆を取り戻すという感動的なシーンではあるのだけど。
うーん、もう少しドラマチックに盛り上げてほしかった・・・!

 

そういう不満点はありつつも、先に書いたように新解釈竹取物語として粋な構成が良かったし、子供たちの成長と自立の物語としても面白かったです。
輝夜たちの旅は続き、弥吹はここからが彼の本当の戦いとなるのでしょう。
彼らが望む未来を掴めることを祈るばかりです。

 

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