廃墟の片隅で春の詩を歌え3 女王の鳥籠 /仲村つばき



【電子オリジナル】廃墟の片隅で春の詩を歌え3 女王の鳥籠 (集英社コバルト文庫)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

前巻の感想はこちらから


評価:★★★★☆
2020年4月刊。
面白かった・・・!
ヒストリカル・ロマンとして、素晴らしい作品でした。
冬の廃墟から始まった王女の物語。最終巻はまさに動乱の一言でした。

☆あらすじ☆
革命で倒れたイルバス国・ベルトラム王朝は、女王ジルダの即位で甦った。しかし、イルバス国内はいまだ疲弊し、宮廷も混乱のなかにあった。そんな中で、王家の三姉妹のひとりであるミリアムが、謎の死を遂げた――。混乱する宮廷では、女王ジルダが「ある理由」からアデールを夫グレンと離婚させようと画策していた。主の手で妻を奪われようとしていることを知ったグレンは、アデールを愛するあまり、次第に常軌を逸した行動をとるようになる。果たしてイルバスの未来は――!? 激動のクライマックス!

以下、ネタバレありの感想です。

 

第二王女ミリアムの死から始まる最終巻。

ミリアムは死ぬし、ジルダは追い詰められ、グレンもおかしくなって、まさに混乱渦巻くような有様。
様々な人の胸中に嵐が吹き荒れるなか、アデールはグレンの執着に押しつぶされそうになっていて・・・・・・

 

グレン、ここまで狂ってしまうとは。
個人的には、政略結婚であっても最初に結ばれた夫とのハッピーエンドを期待していたのですが、グレンの愛はアデールに寄り添えなかった段階でもう詰んでいたんですね。
グレンのモラハラはドン引きするレベルでひどかったし、理想の押しつけは醜悪だったけれど、彼なりに足掻いていたことも描かれていたので、ううむ、、、、良い形で変われる日がくればと願っていたのだけども。
そんな夫婦が、グレンの死によってようやく寄り添えたというのは、あまりにも哀しい。
その直前に歩み寄れた姿があっただけに・・・・・・

 

姉を失い、夫を失い、ついには国を失いかねない危機にたたされたアデール。
廃墟から連れ出された王女は、様々な試練を乗り越え、ついに王冠を手にすることになります。
多くの痛みと別れが彼女を成長させ、強くし、そうして生まれた真の女王が国に春を呼ぶ。
冬の廃墟から始まった物語が、春の詩が響く廃墟でクライマックスを迎える。
大変に粋ですね。タイトル回収もお見事でした。

 

そしてエタンとの関係にも答えが。
何度も「恋を知らない」と描かれてきたけれど、アデールは自分の中で芽生えていた恋の存在を知らなかっただけなのか。
誰も彼もがアデールに「自分にとっての理想のアデール」を押し付けていたように私には見えたけれど、その中でもエタンのなかのアデールが一番彼女そのものに近かった気がする。だからこの結末は納得できるものでした。
エタンの口にアデールが干しレモンをつっこむシーンが好きです。逆転してるのが良い。
彼女が理解できなかったグレンの愛の激しさを、エタンに対して抱くことで理解するというのが、なんかもう胸が痛くてしんどかったけども・・・・・・愛は残酷だ。
アデールの物語は、エタンで始まり、エタンで終わる。
二人のこれまでには様々な罪としがらみがあったけれど、それだけに、穏やかな春の日を二人で歩む姿に感慨深くなりました。

 

面白かったです。とても満足。
全3巻ですが、読み応えのある良質なヒストリカルロマンでした。
これが電子限定ってやっぱり勿体ないよなぁ。

 

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