日和ちゃんのお願いは絶対 /岬鷺宮



日和ちゃんのお願いは絶対 (電撃文庫)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

評価:★★★☆☆
2020年5月刊。
普通な彼氏と普通じゃない彼女の恋を描く、セカイ系ラブストーリー。
大枠のストーリーはとても好みでした。日常と非日常が交錯するなかで恋が動いていくお話大好き。
世相のリアタイ感もすごい。これは、まさに今この時に読むべき小説ですね。
個人的には消化不良な部分もあったんだけど、そのへんは続刊があれば掘り下げに期待したいところ。

☆あらすじ☆
まるで、世界が終わりたがっているみたい——それは。最後の恋物語。
「——わたしのお願いは、絶対なの」
どんな「お願い」でも叶えられる葉群日和。始まるはずじゃなかった彼女との恋は、俺の人生を、世界すべてを、決定的に変えていく——。
ほんわかしていて、かわいくて、どこかちょっと流されがちで。
それなのに、聞いてしまえば誰も逆らう気になどなれない「お願い」の力を持つ日和と、ただの一般人なのにその運命に付き添うことになってしまった俺。
「——でも、もう忘れてください」
世界なんて案外簡単に壊れてしまうのに、俺たちの恋だけが、どうしても終わってくれない——。
これは終われないセカイの、もしかして、最後の恋物語。

以下、ネタバレありの感想です。

 

クラスメイトの葉群日和に告白され、彼女の「お願い」の秘密を聞いた上で付き合うことになった主人公・頃橋深春

日和の「お願い」とは、その願いを他者に強制することができるという、言霊のような異能。
「天命評議会」という組織を立ち上げた日和は、「お願い」を駆使して世界の様々な紛争や問題に関わっていて・・・・・・というお話。

 

カラーイラストの「・・・内緒だよ?」のシーン、非日常への切り替わりが凄絶で実に良かったです。
こういうタイトルバックの演出って良いよね〜〜。
電撃文庫はこういうの得意なイメージ。『エイティシックス』とか『錆喰いビスコ』とか。楽しいからもっとやれ。

 

日和のキャラクターも底知れない感じが良かったと思います。
平和な日常の中でしか生きていけないような、ふわふわと可愛くて泣き虫な女の子。
でも彼女は同じ顔のまま血と脳髄を貼り付けて笑うんですよね。
彼女自身に大きなギャップがないのが逆に強烈な違和感を生んでいて、日和という存在に不気味さや不穏さを感じてしまいました。この子、めちゃめちゃ怖くない・・・?って。

 

で、そんな日和の彼氏となった深春。
日和の「お願い」や正体を知っても、深春は「彼氏」として日和に関わっていこうとするのです。

 

深春って、すごく「日常の中にいる人」なんですよね。
最初の「俺も世界に関われる人物になりたい」と考えながらゲームのコントローラーを握ってるイメージが強い。
日和の(恐ろしい)非日常性に触れていても、どこか未知の冒険にワクワクする小学生みたいな雰囲気を感じる。
結局、深春はどこまでも日常の中から非日常を見つめる側の人間で、非日常の中に身を置く日和とは立場が違いすぎるのかも。そこに二人のどうしようもない断絶を感じる。
その断絶を乗り越えて日和に手をのばす深春の活躍を期待して読んだし、終盤の展開はまさに期待通りと言えるものでした。

 

あと記憶が失われても恋だけが残ったという展開はベタだけど良いよね。
「日和ぃぃぃ」って脱力しながら名前を呼ぶところも好き。本当に、彼にとってはどこまでも日常の延長線上にあるみたいだ。

 

ただ、個人的にはイマイチ深春の恋に乗りきれなかったんですよね・・・・・・
色々と考えてみて、たぶん私は「日和の能力に抱いた恐怖」をちゃんと彼自身に消化してほしかったんだと思います。
なんだか記憶喪失を挟んだことで有耶無耶にされた感があるというか。
最終的に恋心が恐怖心に勝つのだとしても、もう少し真正面から心情を掘り下げてほしかったなー、と。好みの問題ですけどね。

 

好きな系統の話だけど、大事なところで微妙にしっくりこないという、悩ましい感想になってしまいました。
でも、続編があるなら読みたいです。
どこまでも日常の中にいる深春は、非日常の世界にいる日和の隣に居続けることができるんだろうか。

 

ところで、あとがきに書いてあるのはやっぱり『最終兵器彼女』のことでしょうか。
そう思えばキャッチコピーもオマージュっぽい?私も『最終兵器彼女』好きです。

 

スポンサーリンク
 
0

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。