山神よろず相談所 /梨沙



山神よろず相談所 (角川文庫)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

評価:★★★★☆
2020年5月刊。
面白かった!
よろず屋を営む山神家の日常を描く、ホームドラマ×お仕事ファンタジー。
食いしん坊な少女を中心に、和気あいあいと仲良しな家族。
しかしそれぞれが少しずつ「普通」ではないのです。
そんな規格外な一家が、様々な依頼をこなしながら、「家族」という形を見つめ直す物語。
家族愛ものだけど、同居ラブコメ要素もほんのりと。
これ続いてほしいな。好きな子にいちいち反応してしまう純情美少年が可愛いんですよ。彼の恋の行方が気になるのだ。

☆あらすじ☆
見目麗しい兄弟に愛され、本日も元気にやってます!
高校1年生の結は、3人の兄たちに囲まれて楽しく暮らしていた。友人に誘われたお祭りで美少女と出会うが……。ちょっと不思議な山神家で過保護すぎる兄たちと送る、女子高生の忙しい日々とは!?

以下、ネタバレありの感想です。

 

山神家の家族は次の通り。

父親・山神様 ・・・・・・ 山神サマ!?と思いきやヨウと読む。でも山神様である。この時点でワクワクしちゃった。

長男・山神斎 ・・・・・・ 台所をあずかる家事手伝い。しかし料理はあまり美味しくない。弟妹を平等に溺愛するのがウザ可愛くて良し。

次男・山神縁 ・・・・・・ 不在がちのヤンキー。なにげに結と一番「普通の兄妹」らしい距離感なのは縁兄な気がする。

三男・山神匠 ・・・・・・ よろず屋を営み、山神家の家計を支えるしっかり者。家計簿にらみつけてるイメージ。

末妹・山神結 ・・・・・・ 常に腹ペコの末っ子。トラブル巻き込まれ体質。高校生だけど小学生並みの幼女体型(その理由が重すぎ・・・)

四男・山神千 ・・・・・・ 結のクラスメイトの龍神の子。結が好きだったのに「結の双子の兄」になって頭を抱える。

 

この最後ですよ、最後!!

 

千くん、こうやって書くと不憫すぎて笑顔になってしまう。可愛いな〜〜!!女装男子(強制)なのもポイント高い。
好きな子と一つ屋根の下な義兄妹ラブコメという定番に美味しいシチュなんだけど、神様パワーでガチの兄妹にさせられるっていう実態が哀れ。
誰がそこまでしろと言ったのか。父神さまは加減を知らぬ。でもそこが楽しくて良いと思います。
ところで千くん、最初はぐいぐいと距離を詰めてくる結に対して顔真っ赤で逃げ腰だったのに、最後は自分からデートに誘ってるあたり、かなり成長しましたね???
いいぞもっと距離を詰めていけ!

 

そんな感じで開始時では四兄妹だったはずが、1話終了時には五兄妹になっていた山神兄妹。
父神さまはあんまり出てこないけれど、兄妹は協力しあって(?)よろず屋の仕事をこなしていくのです。

 

この事件の数々が面白かった。
最初の龍神の話のような現代伝奇のような話があると思いきや、誘拐事件に巻き込まれてしまったり、姉妹を狙うダメ男を成敗したり。
「神様が拾ってきた子どもたちの家」という設定の割には、そこまでファンタジー要素にとらわれていない感じ。
霊感体質の匠とか結の「夢」とか、超常の能力を持つ者もいるけど、それを毎回バリバリと駆使する感じでもない。
「よろず相談所」に持ち込まれる仕事のなかに非現実的な事件もあれば、ひどく現実的な事件もあって、あくまで兄妹が「人」として力を合わせて解決を目指していくんです。
不思議な家族なのに、やり方は泥臭くも地道で、そこが好みでした。

 

様々な事件を通して、兄妹たちの内面にも少しずつスポットが当たっていきます。
彼らが抱える「家族」というものに対する複雑な感情が、徐々に明らかになっていくのです。

 

「ねぇ、家族って仲がいいのが一番だよね!」と結が聞いたときに、斎や匠が「仲がいい家族ばかりじゃないからね」「仲がいいのが理想です」と返すシーン、質問した結も答えた斎や匠も、彼らの背景を考えると重いどころの話じゃない。
あの場にいる全員が、壊れた家族というものを知ってるんだよな。いや、千はそもそも家族を知らないんだけど・・・

 

本来の家族がパズルみたいにバラバラになって、孤独なピースが寄り集まって、新たな「家族」を描いていく。
結が絵柄のない一色のパズルを好むのがなんとも示唆的です。
彼らは新たに生まれた家族だから、絵が決まっていないということなのかも。
絵柄がないから繋ぎ合わせるのが難しくて、でも苦労して繋ぎ合わせた巨大な白は、どんな絵でも描ける可能性と未来を感じさせるんですよね。ラストの締めの一文も素敵だったなぁ。

 

妹を過保護に見守るお兄ちゃんズは可愛かったし、なにげにお父さんも良いポジションにいたし、うん、面白かったです。
よろず屋事件簿も各ストーリーがそれぞれ読み応えがあったし、家族ものとしても楽しかった。
あとは千の恋の行方が気になるところだけど・・・・・・そこはシリーズ化に期待しましょう。

 

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