神招きの庭 /奥乃桜子



神招きの庭 (集英社オレンジ文庫)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

評価:★★★★☆
2020年5月刊。
面白かった!

恐ろしい神々を招き、もてなし、荒ぶることがないよう鎮める神聖な場所。
そこで起こった殺人事件の真実を知ろうと飛び込んだ主人公は、神と対峙する人々が抱える苦悩を知り、そこに潜む陰謀に巻き込まれていくことになるのです。

平安と古代を足して2で割ったような神秘的な世界観が読み応えあり。
駆け引きと信頼の間で揺れる主人公と王弟の関係も良かったし、切ない友情の物語としても楽しめました。

良い和風ファンタジーだったから、これは続きがほしいな!

☆あらすじ☆
兜坂国の斎庭(後宮)は、神を招き、もてなす場。実体を持つ神々は豊穣と繁栄を招く半面、ひとたび荒ぶれば恐ろしい災厄を国にもたらす。地方の郡領の娘・綾芽は、親友の死の真相を探るため上京した。そこで偶然、荒ぶる女神を鎮めてみせた綾芽は、王弟の二藍に斎庭の女官として取り立てられる。だが、それは国の存亡を揺るがす事件の幕開けに過ぎなかった……。

以下、ネタバレありの感想です。

 

十三の邦からなる島国・兜坂国
そこは、人が人を治める外庭(とつにわ)と、人が神をもてなす斎庭(ゆにわ)の二つの場によって成り立つ国である。

2年前、その斎庭で、嫉妬に狂った采女が太子・春宮の寵姫を殺し、その首を神への供物に混ぜるという事件が起こった。
事を起こし、自殺した少女の名は那緒
親友である那緒の凶行に疑問を覚えた主人公・綾芽は、王弟・二藍の協力のもと、斎庭に潜入して真相を解き明かそうと奮闘するのです。

 

この二年前の事件といい、冒頭の荒ぶる女神に突き殺される舞女たちといい、「神々を招き、もてなす場所」という設定から連想する神秘とは裏腹に、めちゃめちゃ血なまぐさい物語でした。

 

いや、むしろ逆に、これこそが原始の神事であるようにも思える。

 

神と対峙するには人はあまりにも矮小で、生贄なんて当たり前だし、数人の命で国の安寧が得られるならば安いものだという発想を前提に動いている。
でもそれは神に翻弄される人の悲劇というわけでもなくて。

 

神とは自然そのもの。神の暴威は天災のようなもの。
人の力ではどうにもならない自然災害を前に、話が通じるだけマシって発想がふるってる。

神をもてなして時間を稼いでいるうちに、人は人が取れる対策を取る。
それは、犠牲を払ってでも前に進もうとする人の強い意思の現れなんですよね・・・・・・
その、現実主義と神秘思想の合間にあるような、あるいは混じり合うような、不思議な価値観が面白いと思いました。

 

さて、そんな世界において、神と対峙する最前線である斎庭。
そこで起こった事件の真相を追うなかで、綾芽は、自分の親友に何があったのか、協力してくれる二藍は何を隠しているのか、斎庭に一体何が起こっているのか―― という一連の謎に迫ることになります。

 

ミステリーのような雰囲気がある物語なのだけど、そこで描かれる二藍と綾芽の関係がとても良かったです。
協力し合う関係というには隠し事が多く、利用し合う関係というには心が近い。
素朴な気性である綾芽は、二藍の秘密を気にかけつつ、彼を信じてしまう心が止められなくなり、
「神ゆらぎ」として孤独を抱える二藍は、綾芽を利用する一方で、彼女の存在に安らぎを覚えてしまう。
そういう微妙な関係性が切なくて、二人がどのような形で真実に辿り着くのか最後までハラハラしてしまいました。

 

あとね、予想以上に良かったのが綾芽と那緒の友情!
那緒の人柄を信じた綾芽も、綾芽が来ることを待ち続けた那緒も、それぞれ親友への情の深さが泣けるんです。
那緒ちゃん、もしや生きてる可能性もあるのでは・・・?とか期待してしまった。結果はもっと切ないもので更に涙がこみあげる。
那緒の「ほらね、大丈夫じゃない」というセリフのあったかさよ・・・・・・生きていてほしかった・・・・・・

 

神の気まぐれに翻弄され、人の陰謀をくぐり抜け、そうして何とか国家の存亡の危機を回避できた綾芽と二藍。
しかしこれは、、、どうにも序章っぽい??
今回はあくまで斎庭の中で起こった、神と人の問題ではあったけれど、どうも外庭の世界も絡んできそうな雰囲気ですね。
二藍との関係の行方も気になるし、ぜひ続きがほしいです。シリーズ化希望!

created by Rinker
集英社
著者 奥乃桜子 イラストレータ 宵マチ

 

スポンサーリンク
 
1

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。