鬼恋綺譚 流浪の鬼と宿命の姫 /沙川りさ



鬼恋綺譚 流浪の鬼と宿命の姫 (角川文庫)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

評価:★★★☆☆
2020年5月刊。
ロミジュリ×和風ファンタジー。
喰うものと喰われるものの関係になった二つの領の対立と、その領主筋に生まれながら惹かれ合ってしまった男女の恋を描いた物語です。
思ったよりグロとホラー要素があった気がする。
そして切ないお話でした。

☆あらすじ☆
願いは、ただひとつ。——共に生きたい。許されるなら。
薬師の文梧は、記憶を失った白皙の青年・主水と旅をしている。
30年前、平穏なこの地は一変した。青山領の民が突然変異して「鬼」となり、小寺領の民を襲い血を吸って殺すようになったのだ——。
彼らは、故郷から逃げ出し、身を潜めて暮らしている小寺の民を救うべく、山々を巡っているのだ。
一方、今から3年前。小寺の若き領主・菊は、屈託なく笑う勇敢な少年・元信に窮地を救われる。
青山の餌食となっている領民を護るため、もっともっと強くなりたいと願っていた菊は、元信に願い出て剣術を教えてもらうことにした。
やがて惹かれ合う2人。けれどそれは、禁忌の恋に他ならなかった……。
——旅の途中、文梧と主水は竜胆という少女と出会う。
竜胆はかつて仕えていた領主・菊を捜していた。菊は3年前、青山領に捕らわれたのだ。
旅を共にすることになった3人だが、やがて文梧は「一枚、二枚——」と何かを数える謎の声をしばしば聞くようになる。
心にこびりついて離れないその声を聞くたびに、文梧の胸はざわついて……。
出逢ってはならない者たちが出逢う時、物語は動き始める。待ち受けるのは、如何なる運命か——。
第5回角川文庫キャラクター小説大賞〈優秀賞〉受賞作!
選考会でも「筆力がある」「作り込まれた世界観でぐいぐい読んでしまった」「熱量を感じる」と絶賛を受けた作品がついに刊行!

以下、ネタバレありの感想です。

 

本作は原題が「隙間の棲人―異説・播州皿屋敷―」だそうで、播州皿屋敷が下地となっています。

ここで自分の話になりますが、去年の夏頃に姫路城を観光したんですよね。お菊井戸も見たし皿屋敷の解説も読んだ。
なので本作を読みながら、皿屋敷オマージュの作品とかタイムリーだなぁと思ったりして(1年前の話はタイムリーか?)

そして皿屋敷のことを念頭において読むなら、文悟が聞いた謎の声の正体を察し、彼女の末路を思って不安な気持ちになった読者は、きっと私だけではないのでしょう・・・・・・

 

物語は二つの時系列によって描かれていきます。

現在―― 鬼と化した青山領の民から逃れる小寺領の者たちを救う薬師・文悟と謎の青年・主水
3年前―― 偶然出会い、恋に落ちてしまった小寺領領主・と青山領の青年・元信

文悟は何者なのか、菊と元信の恋はどうなるのか、青山領と小寺領の紛争は何が原因で、どうすれば終わるのか――

 

その真相に、二つの時間を交錯させつつ迫るストーリーなのだけど、演出が面白いなぁと思ったのはロミジュリ要素でした。
というか菊のキャラクターが良いよね。

滅亡寸前の領民たちを守り抜こうとした、誇り高い少女。
そして、恋に殉じた乙女。

彼女の結末はとても悲しかったけれど、死してなお元信を導き、領民たちを救うラストシーンは感動的でした。
元信が菊の血を無理やり口に入れられるシーンは辛すぎて「しんどいしんどい悲恋むりしんどい」ってなってたんだけど、彼女が彼の一部になったと思えば・・・・・・二人で掴み取った勝利だと思えば・・・・・・いや、でもやっぱしんどいな・・・・・・

 

お菊の名セリフ(?)もそうだけど、ロミジュリと皿屋敷のストーリーが綺麗に噛み合ってるんですよね。
個人的には「好き!」とまでは言えないんだけど(ハピエン厨なのだすまん・・・)、物語自体は面白かったです。
悲恋だけど、色んな問題は解決したし、残された人々は前へ進んでいけたし、悪くない結末ではあったと思う。

 

ところで、青山と小寺の確執の原因、おじいちゃんの所業はマジなの?
おじいちゃんが鬼畜&間抜けすぎて序盤の爽やか有能領主エピソードとのギャップが・・・!

 

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