後宮の烏4 /白川紺子



後宮の烏 4 (集英社オレンジ文庫)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

前巻の感想はこちらから


評価:★★★★☆
2020年4月刊。
後宮に閉じ込められた神秘の妃を描く中華ファンタジー第4弾。
寿雪の変化が更なる変化を呼び、物語が大きなうねりをみせてきたように感じます。
「烏妃」という存在の問題が浮き彫りになり、彼女の運命がどうなるのか目が離せません。

☆あらすじ☆
今宵も夜明宮には訪いが絶えない。泊鶴宮の蚕室で、大切な繭がなくなったという宮女……。一方、花娘を通じ城内での謎多き失せ物探しも舞い込んで!? 烏妃を頼る者は日に日に増え、守るもののできた寿雪の変化に言いようのない感情を抱く高峻。やがて二人は真実眠る歴史の深部へ。鍵を握るのは名もなき幽鬼か、あるいは――。
圧倒的中華幻想譚、待望の第四弾!!

以下、ネタバレありの感想です。

 

賑やかさを増す夜明宮の現状に戸惑いつつ、寿雪自身も九九や温螢たちの「主」としての覚悟を持ち始めた様子。
しかしその変化は先代・麗娘が遺した「烏妃はひとりであるもの」という言いつけから背くもの。
この変化が何を意味するのか。
麗娘のいいつけは何を危惧したものだったのか――
それが明らかになる第4巻でした。

 

恐ろしい話だったけれど、これまでの寿雪の活躍ぶりから納得しかない展開だと思う。

神秘的で浮世離れして近寄り難く、しかし助けを求めれば必ず手を差し伸べてくれる慈悲深い妃。

これは・・・・・・うん・・・・・・そりゃ確かに信仰の対象になるよね・・・・・・

 

これまでもその傾向はあったけれど、更に状況が加速すれば問題がくっきりと浮かび上がる。
「緇衣娘娘」と隠語をつかって烏妃を崇める様子自体が、空恐ろしい空気を帯びていたけれど、終盤で爆発した展開の怖いこと怖いこと。

寿雪に向けられていた温かな親愛と尊敬が、次第に膨れ上がって信仰へと変わり、もはや寿雪本人の意思とは関係ないところで狂信へと歪んでいく。
「緇衣娘娘」と「寿雪」は別物という、花娘の言う通り。
「寿雪」へ向けられた崇拝だったのに、いつの間にか「烏妃」への狂信にすり替わっている。

 

沙那賣朝陽によって引き起こされた今回の「緇衣娘娘」騒動。
しかし、彼が何もしなくてもいずれ起こったことだというのは、3巻までの内容からでも容易に想像がつく話だというのが本当に恐ろしいです。
だってそれは寿雪自身と切り離せない問題なのだから。
彼女が存在し続けるかぎり、ずっと燻り続ける火種なのでしょう?

 

で、これに更に不安を煽るのが、寿雪の正体が「前王朝の生き残り」であるということ。
火薬庫じゃん!いや、全て既出の設定ではあるんだけど、改めて思い知った。火薬庫じゃん!!!

 

ぶっちゃけ朝陽の諫言の方が正論なのでは・・・と思ってしまった。
皇帝の臣下としては取り除きたくてたまらないでしょ、こんな問題物件。
朝陽自身に何かしらの狙いがあるのは明らかなので、この人が正義というつもりは全くないけれど。

 

神話の解読がすすみ、烏漣娘娘から「烏妃」を解放できたとして、その先に寿雪の平穏な幸せはあるのだろうか。
割と状況が最初から積んでる気がするんだけど、何とかなるのか・・・?

なんとかしたいと頑張っているのが高峻なのだけど。
皇帝陛下は色々なしがらみがあるからね・・・・・・

 

あと、朝陽の長男が寿雪に一目惚れしたっぽいのも気になります。何につながる伏線なんだろうか、これは。
ていうか沙那賣家の人々、めっちゃ寿雪に絡んでくるね。

 

解決の糸口は白雷が握っているようだけど、烏妃への憎悪を燃やす男が協力してくれるのでしょうか。
というか彼も白亀に利用されてる感あるし。本当にもうどうなってるんじゃ。

 

色々と気持ちがやきもきしてしまいます。
この小説、今や夜明宮メンバーでのんきな会話をしている時だけが癒やしになってる。
無事に「烏妃」を辞めることができたら、夜明宮メンバーでのんびり田舎暮らしでもしてほしいなぁ(無理そう)

とにかく続きが楽しみです。

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集英社
著者 白川紺子 イラストレータ 香魚子

 

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