少女願うに、この世界は壊すべき 〜桃源郷崩落〜 /小林湖底



少女願うに、この世界は壊すべき ~桃源郷崩落~ (電撃文庫)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

評価:★★★☆☆
2020年4月刊。
第26回電撃小説大賞《銀賞》受賞作。
中華風と和風を足して2で割ってポストアポカリプスで味付けした楽しいファンタジーでした。
かなり込み入った設定で、そこに慣れるのが少し大変だったかな。でも読み応えはすごかったです。
あと最近では廃れた暴力系ツンデレヒロインに懐かしさを感じたり。全裸で始まり、全裸で終わる男がいかんのよ(違)

☆あらすじ☆
時空を超え目覚めた最強の霊術遣いが、残虐な妖魔を殲滅する!
こんな世界はぶっ壊してやる——
妖狐の因子を持つ少女・熾天寺かがりは、村を襲う天颶や心ない人間たちから迫害され、この世界の全てを忌み嫌っていた。
そんな彼女の願いに応じ、はるか昔に自らを封印した最強の聖仙・神津彩紀が覚醒する。五彩の覇者と呼ばれ、全能の薬神でもある彼の姿は——
全 裸 だ っ た 。
「間一髪だったな」流れるように神州刀を振り回し、敵を殲滅した彩紀は告げる。
「どうやら俺はお前の式神、平たく云えば奴隷になってしまったようだ。お前の願いはなんだ──」
最強のエロ聖仙と灼熱の狐耳少女による、世界変革の物語が始まった。
——人の祈りは、天の法則を書き換える。

以下、ネタバレありの感想です。

 

空中に存在する浮塊・榮凛島に住む妖狐の少女・熾天寺かがりは、迫害された孤独のなかで世界の破滅を願っていた。
村を襲う寇魔への憎しみを燃やすかがりの前に現れたのは、島で祀られる守り神にして仙人、そして1000年前には日本政府所属として寇魔を討伐する部隊を率いていた男・神津彩紀だった―― というお話。

 

序盤でSF設定が明かされてテンションがあがりました。これポストアポカリSFだ!
この序盤、理屈をすっ飛ばして雰囲気だけを先に伝えてくる「彩紀登場シーンの自己紹介」がとても良かった。
最初は軍人仕様に所属を明かして、ぽかーんとされたから仙人仕様に訂正するところなんだけど。
あの風変わりな自己紹介のおかげで、要するにこれは人間が神話・伝説の役割を下敷きにして、そういう「設定」で動く人たちの話(ロールプレイ的?)なのかと、薄っすらとイメージを受け取ることができたし、あの自己紹介のノリ自体が楽しくて好きでした。

 

とはいえ、雰囲気は受け取れても設定が理解できるかは別の話。
OLI因子については分かるような分からんような・・・・・・
「日本人の心の原風景」である「集合文化意識」が世界を改変して、なぜか中華っぽい世界になるのも分かるような分からんような・・・・・・

 

いや、これは私が少女小説の和風FT世界に馴染みが強いせいでもあるのかな?
「和風」といえば平安・奈良・飛鳥あたりがベースだったり、古事記日本書紀の世界観で神道が下地にありそうな作品をイメージしてしまう。
というか、私がそういうのを好んで読んできた人間だから「日本の原風景」と言われて中国神話を持ち出されてアレ?となってしまったのかも。

 

そんな個人的事情から不思議な気持ちになったものの、これはこれで新鮮な世界観なので面白かったです。
こういうオリジナリティを追及した世界観・設定はとても好き。あと和風FTも中華FTも大好きだから一粒で二度美味しい感!
中国の神様(炎帝神農)と神社の巫女(神降ろし)のコンビとか楽しくて良いやん!

 

設定だけでなく、彩紀とかがりのコンビ自体がとても魅力的でした。
暴力系ヒロイン特有のストレスも少しあったけれど、運命に傷つけられても闘志を燃やすかがりの強さは憧れます。
無敵に見えて間が抜けていて、達観しているようで諦めている彩紀の連れ合いとしても相性ぴったりだったし。
終盤にかけて燃え上がるように絆を深める二人の戦いぶりは見応えがありました。

 

ただ、個人的には腑に落ちない部分が結構あって。
特にバトルパート。
「精神力が物をいう世界」というのは理解できるんだけど、戦闘やピンチでそれをやられると論理も説得力もなくなってご都合主義に落ちるような・・・・・・
宗旨変えしたから攻撃無効とか、偶然にも便利な因子を持っていたから死者蘇生とか、正直あまり好きじゃない展開でした。
特にかなめ復活の件は「もうダメだ」→「これで助かる!」の展開を作中で何度も繰り返した結果なので、正直またかと思ってしまった。
因子のおかげって言えば何でもありなのかなぁ。

 

設定に読み応えがあって面白い!と思う気持ちと、その設定が都合よくて納得できない・・・という気持ち。
それがちょうど半々なので評価が難しいです。どうしようか。

とりあえず、続きを読んでみたいです。

 

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