超高度かわいい諜報戦 〜とっても奥手な黒姫さん〜 /方波見咲



超高度かわいい諜報戦 ~とっても奥手な黒姫さん~ (MF文庫J)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

評価:★★★★☆
2020年3月刊。
面白かった!
無駄に高度な諜報戦と心理戦を繰り広げるスパイたちによる三角関係ラブコメ。
優等生JKとぼっちDKと一匹狼少女。
それぞれの正体を隠したまま、それぞれが「なにが起こってるんだ・・・!?」と混乱する3人。
一人の少女の可愛い初恋が、やたら大きな騒動へと繋がっていき、予想外にスリリングなラブコメを楽しめる作品でした。
後半のシリアスな雰囲気は正直びっくりした。でもちゃんとラブコメでした。
ところで「とっても奥手な黒姫さん」の隣に「とっても頑張る部下の皆さん」って書いてあります?(幻)

☆あらすじ☆
“”一見普通””の高校生による緊張感MAXの「騙し愛」ラブコメがスタート!
「凡田君と、もっと仲良くなりたいの!」
高校生にして秘密諜報機関を指揮する天才少女、橘黒姫は初恋の真っ最中。
好きな人のために組織の力を濫用し、超高度な諜報技術で接触を図る。
「……誰かに監視されている?」
それに勘づいたのは初恋相手・凡田純一。
一見影の薄い平凡な男子生徒の彼は、実はある秘密を持っていて……?
「私が……凡田君と友達になるの!?」
そんな中、組織の命令で凡田と接触することになった暗殺少女・芹沢明希星。
友達の作り方なんて知らない彼女の行動は、とんでもない波乱を巻き起こす!
高校生の三角関係に裏社会の命運が揺るがされていく超本格学園スパイ・ラブコメ、開幕。

以下、ネタバレありの感想です。

 

冷戦の残滓として日本で暗躍する、主を失った諜報組織「御伽衆」。
そのトップである〈翁〉の正体は、生徒会役員も務める優等生な女子高生・橘黒姫
いま、彼女は密かな恋をしていた。
その相手は冴えないぼっちオタクの高校生・凡田純一
彼の全てを知るために「御伽衆」の力を濫用して超高度なストーキングを繰り広げる黒姫だったが、超奥手な彼女自身は好きな人に一歩も近づけないままなのだ――

 

という、有能ポンコツ美少女の脳内ハッピー(ただし部下は死ぬ)な恋模様から始まる本作。
部下は死ぬんですよ。いや、死んでないけど、彼らは死を覚悟しながら諜報任務に臨んでいるのです。

組織に対する詮索は、死あるのみ。

たとえこの任務の目的が「好きな人の写真を撮ってポスターにして飾るの!」というしょうもないワガママだとしても、詮索したら死ぬので、監視にあたる末端構成員は何も知らないのです。

 

なんという不条理!とってもブラックな御伽衆!

 

おかげで事態は更にカオスへと突き進んでいきます。

普通の高校生のふりをして日常に溶け込み、追手から逃げようとする元凄腕スパイの凡田。
凡田の徹底した潜伏スキルによる無成果に焦った諜報部隊は、組織から切り離された「スリーパー」の暗殺者・芹沢明希星を派遣。
これによって何かが激しく間違っているけれど、誰も間違いに気づけない三角関係が爆誕してしまうのです。

 

序盤は黒姫のポンコツ浮かれっぷりが可愛くて、中盤は突如構築された三角関係に笑い(あの女、誰!?ってなる黒姫さん面白すぎる。キミんとこの構成員だよ!)、その三角関係の中で激しく錯綜する心理戦と諜報戦が楽しくて楽しくて。

 

有能たちによるポンコツラブコメってすごく好きなんですよねー。
裏社会最高峰の頭脳をダダ下がりの知能で動かす黒姫も、
暗殺者なのにスパイの真似事をさせられて「私、割とイケてんじゃない??」となる明希星も、
「この女、諜報活動が下手くそすぎるのに動きがプロとは!?」と混乱する凡田も、三者三様に面白い。

 

外からみればコミカルな緊張感は、終盤にかけてシリアス方向に高まっていきます。
自分への失望感で暗い目をする黒姫という、心がヒュンッと冷え込むような展開もくるのだけど「いや、そもそもキミが原因なんだが??」というツッコミがずっと燻ってしまう、なんとも不思議な読み心地でした。
こんなの笑えばいいのか、ドキドキすればいいのか・・・!

 

この終盤は、ラブコメにしてはシリアスに寄り過ぎかな?とか、黒姫さん奥手すぎて明希星の方が凡田とマトモにラブコメヒロインしてるよな?とか、色々思うところがあったのだけど、最終的にちゃんと「黒姫さんと凡田くんのラブコメ」としてまとまったので満足しました。

 

だって途中までほとんど「明希星と凡田くんのラブコメ」だったじゃないですか。
凡田くんの外側を知り、正体を知り、本質を知る―― という段階の踏み方が完璧だったし、「何がが本当で何が嘘だったのか・・・」という衝撃の受け方とか、まさにヒロインの風格だったんですよ、明希星。
これは表紙とサブタイに反してメインヒロインが逆なのでは?と思わざるを得ない・・・・・・
黒姫さん、本当に凡田くんに近づかないから影がどんどん薄くなるんだよ・・・・・・奥手すぎ!

 

なので、そこらへんの引っかかりを黒姫が一気に覆したクライマックスはすごく良かったです。
どうして黒姫は凡田に恋をしたのか?という肝心要の部分を明かすタイミングがばっちり。
「かわいい」ものとして始まった黒姫さんの恋が、ちゃんと「かわいい」ものとして終わってくれたの、私はすごく嬉しかった。これぞラブコメ!

 

さて、あれだけの騒動を起こしながら、結局フェーズ2(知り合いになる)に移行しただけという、ノロマすぎる進行度合いに笑って読み終えた第1巻。
これはもしや全8巻を予定してます?
1巻ごとにフェーズを1つ進める感じ??
遅ッッッッ!

でもそれはそれで面白そうなんですよね。
特に「親友になる♡」のフワっと具合が可愛すぎたので、なんとしても見たいです。
続きも楽しみ!

 

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