糸森環はいいぞ糸森環を読むのです ― 少女小説家・糸森環先生のオススメ作品を紹介する


突然ですが、糸森環先生の小説が大好きだ!!(記事タイトルの敬称略すみません)

糸森環先生は、ia名義のオリジナル小説サイト「27時09分の地図」(http://ash-map767.riric.jp/index.htm)で作品を公開されている作家さんで、現在は少女小説・ライト文芸のレーベルから多くの作品を発表されています。

 

そんな糸森環先生の作品が持つ魅力といえば、

・独特の感性によって細部まで作り込まれた、奥行きのある世界観
・セリフ回しやネーミングセンスに感じる「言葉遊び」の妙技
・主人公と読者を容赦なく痛めつけて甘やかすストーリー展開
・個性的すぎて底なしの魅力を発揮するキャラ造形 

など、個人的に推したいポイントはこのあたりでしょうか。

 

・・・・・・いや、全然足りない。

素っ頓狂で変人揃いの美形たち(男女問わず)とか、
人間の理屈なんかサッパリ通じない魅惑の人外とか、
章タイトルまで徹底して凝りまくる遊び心とか、
天国と地獄を紙一重の場所に置くような物語性とか、
どれだけ愛し愛されても一瞬で裏切られる油断できないドラマとか、

本当に色々あるんです。いっぱいある!
何もかもが好きすぎてたまりません。大好きだ。本当に好き。

 

でもこんな短くて拙い説明では1ミリも伝わらない気がします。
それぞれの作品にそれぞれの魅力があり、こんな抽象的な総括で語り尽くせるわけがないのです。

そういうことにしておこう。一番足りないのは私の語彙力だ。

 

前置きはこのへんで。
以下では、糸森環作品の中で特に私がオススメしたい作品を紹介していきたいと思います。

 

 

私が一番好きな作品『恋と悪魔と黙示録』


ツイッターで「みかこさんが一番推してるのはどれですか?」と聞かれてウンウン悩みつつ返した答えがこちら。

人に害をなす「名もなき悪魔」の名を書に記すため、様々な場所に調査官として潜入していくゴシック・ファンタジー。
天涯孤独の少女レジナと、彼女が契約した魔物アガル。
意図せぬ召喚から始まった二人の物語は、様々な波乱や事件を乗り越え、まるで神話のように壮大な運命を描いていきます。

仕事に真面目で優しいレジナと、頬を赤らめもじもじしながら乙女思考を炸裂させるアガル。
二人の恋はふわふわと可愛いけれど、時折ゾッとするような落とし穴が待っていたりして・・・・・・
そこが楽しい作品なんです。

あらすじ
「あなたは特別。契約して差し上げる」
悪魔の名を記した書を複製する森玄使であるレジナ。ある日、彼女は教会内で美しい獣型の高位の魔物を召喚してしまう。慌てて自室に獣を匿うけれど、聖祭の“神の花嫁”候補が悪魔に襲われる事件が発生!レジナは囮役として花嫁の身代わりをすることに―。そんな中、彼女の危機に美青年に姿を変えた獣が契約を迫ってきて…!?
一途な魔物と乙女が織りなす、悪魔召喚ラブファンタジー。

 

 

はじめて糸森環作品を読むなら『椅子職人ヴィクトール&杏の怪奇録』


直近の糸森環作品の中で、老若男女問わず全ての人にオススメしたい作品がこちら。
糸森環作品の魅力はそのままに、現代日本が舞台なので他作に比べて読みやすいと思うのです(他が読みにくいわけじゃないです、念のため)

椅子を偏愛するオーナー・ヴィクトールと、霊感を見込まれて雇われたバイトの女子高生・杏。
なぜか怪奇現象が多発するアンティーク椅子工房を舞台に、ヴィクトールと杏が幽霊騒動に巻き込まれていくオカルト・ミステリーです。

椅子の薀蓄と、幽霊の恐怖と、人の愛憎。
そこに本作の魅力があると思います。

なぜ幽霊は椅子に取り憑いたのか、その椅子にはどんな歴史があり、どんなドラマを秘めているのか。
二人揃って怖がりなヴィクトールと杏が、怯えて青ざめながらも解き明かした真実を、ぜひ見届けていただきたい。

杏とヴィクトールの微妙な距離感にも注目。
これぞ糸森環印のヒーロー!って感じに変人を極めているヴィクトールが最高なんです。
椅子だけが大好きで、人類のことはすごく嫌い。でも杏のことは・・・?

あらすじ
霊感体質の女子高生・杏は呼ばれるように入ったアンティーク椅子工房「TSUKURA」で霊を祓い、請われてバイトを始めることになった。たまのアレさえ出なければ良い職場で、極悪人顔揃いの職人たちはみんな心優しく親切だ。そして店のオーナーの、死にたがりで人類嫌いで変人美貌のヴィクトールに、杏は不意にときめいたりもしている。そんな時、杏がある椅子に座ってから店にはポルターガイストが頻発するようになり……?
椅子談義も楽しい、ふんわりオカルト&ほんのりラブ開幕!!

 

 

いま一番面白い和風ファンタジーはこれだ!『お狐様の異類婚姻譚』


誑かそうとする狐の元夫・白月と、誑かされまいとする人の元嫁・雪緒。
麗しくも残酷な怪の世界を舞台に、再婚をかけた元夫婦の攻防を描く和風ファンタジーです。

今刊行中の和風ファンタジーのなかで、私が知る限りにおいて最も面白い作品だと思います。大真面目に断言する。
日本の民話や童謡をベースに世界観が構築された本作は、糸森環先生の個性とセンスが余すところなく発揮された傑作なのです。

怪が支配する世界における、土着の信仰や風習にまでこだわった設定。
その設定は物語のなかで、後から後から意味を重ねていきます。この構成が秀逸なんだ。

鮮烈な存在感を放つキャラ造形がまた素晴らしい。
誰も彼もが表と裏の顔をもち、油断ならない者ばかりなんですよ。
そこが愛しくて憎らしい。

この物語のなかで、白月と雪緒は何度も「嫁に来い」「いやです!」の掛け合いを繰り返していきます。
痴話喧嘩だと思うでしょ?私も思ってた。でもちょっと違うんです。

ひとつ秘密が明らかになる度に、くるくると変化していく白月と雪緒の想い。
ラストのモノローグが最高なので、ぜひ1巻だけでも読んでみてほしい。

あらすじ
「嫁いできてくれ、雪緒。……花の褥の上で、俺を旦那にしてくれ」
幼い日に神隠しにあい、もののけたちの世界で薬屋をしている雪緒の元に現れたのは、元夫の八尾の白狐・白月。突然たずねてきた彼は、雪緒に復縁を求めてきて――!? ええ!? 交際期間なしに結婚をして数ヶ月放置した後に、私、離縁されたはずなのですが……。
薬屋の少女と大妖の白狐の青年の異類婚姻ラブファンタジー。

 

 

もふもふと偏屈の可愛さに癒やされる英国ロマン『階段坂の魔法使い』


産業革命期の英国を舞台とするフェアリーテイル。
ひねくれ者の魔法使いのところへ、呪いを持った少女が嫁入り―― するはずが手違いで「鳥獣郵便」の工房で働くことに。
雇用主と従業員の関係となった二人のすれ違いを、コミカルに可愛く描くラブコメ・ファンタジーです。

時には恐ろしい魔法使い、時には凛々しい銀狼、時には口の悪い紳士。
一人で何役もこなしながらヒロインの周りをウロウロする、偏屈で素直になれない魔法使いの挙動不審がみどころです。

鳥や動物が手紙を配達する「鳥獣郵便」という童話的な設定も素敵なんですよ。もふもふは良いものだ。

あらすじ
ジュディは触ったもの全てを眠らせる。そのせいで養父に疎まれ悪名高い“階段坂の魔法使い”と婚約することに!なのに魔法使いから結婚するつもりはないと拒絶され、帰る所のないジュディは彼のもとに居座るが…?
「花神遊戯伝」の著者が贈る、悪い魔法使いと少女のフェアリー・テイル!!

 

 

手加減なしのセンスが爆発!和風異世界召喚物語『花神遊戯伝』


私が初めて糸森環作品に出会った、記念すべきシリーズがこちら。

日本の神話がお好きな方に是非ともオススメしたい。
日本神話の世界観を彷彿とさせつつ、オリジナリティあふれる設定と尖ったセンスによって作り上げられた極上の和風ファンタジーです。

異世界に召喚され、女神の如く祀り上げられ、麗しい護衛たちに慕われる女子高生・知夏。
異世界召喚で、巫女で、逆ハーレム。
そんな設定から繰り広げられるのは、鞭・鞭・鞭に次ぐ鞭展開。
そこまで心を折らなくても!?と叫びたくなるほど、知夏を待つ運命は過酷で残酷。まさに苦難の連続なのです。

与えられた役割の重さに震え、信じた人に裏切られ、神代のしがらみにとらわれ、嘆き苦しみ、それでも立ち上がって前に進む知夏。
はじめは騒がしさばかり感じるヒロインなのだけど、終盤は彼女の幸せと安寧を祈ってばかりでした。

正直、『花神』はとてもクセが強い作品だと思っていて、特に序盤は読みづらさを感じる方もいるでしょう。少なくとも私はそうでした。
なので万人にはオススメしにくいのだけど、刺さる人にはめちゃくちゃ刺さるはず。そして沼に沈むのだ。

あらすじ
「流血女神伝」の須賀しのぶ推薦!! 閲覧数750万の人気WEB小説家ia(イア)初登場!!
どこにでもいる、ごく普通の女子高生だった。昨日までは──目を開けたら異世界だった主人公、知夏(ちか)。そこで知夏を助けてくれたのは、格好いいのに暴君的で、体罰上等な美青年、胡汀(こてい)だった。現代っ子でヘタレな知夏だけど、なぜか呪いの式陣(しきじん)も簡単に解いてしまって!?
「この阿呆鳥、それほどまでに調教されたいか」神様にだって立ち向かう、常識外れな少女の伝説開幕!!
WEBで750万PVの大人気作家ia、新ペンネームでビーンズ文庫初登場!!

 

 

美しくて残酷な海賊の物語は好きですか?『she & sea』


異世界に迷い込んだ女子中学生・笹良は海賊王ガルシアに拾われ、なぜか初対面から異常に気に入られてしまう。
「冥華」と呼ばれ彼に保護された笹良だったが、そこで彼女は海賊たちの陽気な残酷さを目の当たりにする―― という異世界海洋ファンタジー。

言葉の壁があるタイプの異世界トリップものです。
あっちの言葉は分かるけれど、こっちの言葉は通じません。
泣きながら叫んでも、必死に訴えても、通じないのです。

『花神』の紹介で散々「鞭だ鞭だ」と書いたけれど、鞭展開の残虐さで言えば『she & sea』の方が上かも?どうだろう。こちらは飴がそのまま鞭になるからな・・・・・・

物語が進むにつれて、ギラギラとした輝きを増していく残酷で美しい海賊たち。
彼らに怯えながらも、彼らに惹かれていく笹良。

私は彼らの物語を書籍版で読みたかったのだけど、4巻はどこに??
いい加減諦めるべきなのか。悲しい。WEBでも読めるけれど私は書籍版がほしかった!

あらすじ
水恐怖症女子・笹良は、スクリーンから溢れ出た波に飲まれ、気づくと幽霊船の上にいた。海賊が海を支配する世界に飛ばされた笹良は、絶対的な海賊王ガルシアの船に拾われ、船の守り神「冥華」と祭り上げられるが!?

 

 

終末世界で二人きりとなった主従を描く乙女戦記『F -エフ-』


主人公・三島響が連れてこられた異世界エヴリール。
そこは呪いによって人々が生きる屍(幽鬼)に変えられ、滅びに瀕している世界だった。
生き残っていたのは騎士・リュイのみ。
神の加護をうけた響は、幽鬼と化した人々を元に戻し、エヴリールを救うため、リュイを伴い運命に立ち向かうことになるが―― という異世界召喚ファンタジー。

終末的世界観と、ヒロインの役割、そしてヒロインに依存するヒーローが最高に楽しい作品です。
結構グロテスクな物語だし、薄暗さが似合う雰囲気だし、ヒーローは心がやられてヤンデレ気味。
これはね、倒錯的な主従関係が楽しめるんですよ。好きな人は大好きなやつですよ。

あらすじ
春休みに突如異世界に召喚された、三島響。“フォーチュン”と名乗る存在は、響を後継者候補に選んだと言い放ち、荒廃した世界エヴリールへとばす。神々の加護を受けた響は、そこで騎士・リュイを助ける。彼は、幽鬼が跋扈する世界で、ただ一人の生き残りだった。
「あなたを必ず守る。俺は変わらぬ忠誠を捧げよう」
運命に選ばれし、世界を救う二人―孤高の異世界トリップ・ファンタジー!
大人気WEBサイト公開作、書籍化!!

 

 

地上から天へ昇った少女が竜神の心を紐解く――『竜宮輝夜記』


空に浮かぶ「天の都」に住まう貴人と、危険が多い地上「山月府」で生きる身分の低い里人たち。
人が天地に分かれて生きる世界で、都を支える竜王の奴隷として天都に連行された里人の紗良。
地に生きる里人は天上では数年で死ぬと知りながら、彼女は親身に竜王たちの世話に勤めるのだが―― という和風ファンタジー。

人に対して複雑な感情を抱く四竜と、死を覚悟して竜の世話をする少女。
彼らの出会いや設定は重いけれど、コミカルで騒がしい日常が軽快に描かれていく作品です。

心にもない意地悪ばかり言う竜たちが可愛いんですよ。
デレ丸出しのツンデレ人外。振り回される薄幸少女。
彼らの関係はとてもほのぼのしていて、見ているだけでも心が和みます。

糸森環作品を紹介する際「鞭展開」とか「残酷」とか書きがちなのだけど、本作は比較的厳しさも緩め。
ただちょっと「死」が近いだけです。夢見心地で死を待つ少女のお話です。

あらすじ
あなたのために生きる──少女は竜王に全て捧げると決めた。
「おまえは神の皮をかぶった怪獣にはべる」──黒竜・由衣王にそう告げられ、世話係として人間の娘・紗良は召し上げられることに!?
神竜が人を護る世界で、運命の少女と竜王が織りなす和風ファンタジー恋絵巻!

 

 

奴隷少女と青年貴族の男女入れ替わり物語『六花爵と螺子の帝国』

糸森環作品の中でも、特にラブコメとして楽しく笑えた作品がこちら。

厳格な身分制度が敷かれた世界で、奴隷の少女アオと上級貴族の青年ジーンの身体が入れ替わってしまう。
問題だらけの入れ替わり生活(しかも頻繁に戻る)に戸惑いながらも、バカップルのような距離感で斜め上に暴走していく主人公二人の非日常が描かれる学園ファンタジーです。

背景には暗い事情が見えるものの、テンションの高いラブコメで可愛くコーティング。
読み応えも笑いも糖分もばっちりですよ!
バカップルな主役二人の掛け合いがめっちゃ楽しい作品です。

あらすじ
奴隷の少女アオは、精霊王の攻撃から青年貴族ジーンをかばい死亡した…はずだったのに、目覚めたらなぜか二人の身体は入れ替わっていた!?魔導学院でも“六花爵”と呼ばれる特権階級のジーンに、畏れ怯えるアオだったけれど―。「おまえの身体が気に入ったからくれないか」って、ジーン様、それは無理です!全寮制の学院に強制入学させられた少女と無自覚天然青年貴族の、逆転学院ラブ!

 

 

以上です。
まるで信者のように語ってきたけれど(自分では信者のつもり・・・信仰心はある・・・糸森環先生は神様だと思ってる・・・)、私は糸森環作品の全てを読んでいるわけではなくて。
特にサイトの小説には手が回っていません。お恥ずかしい。

勢いでこんな記事を書いたことだし、良い機会なので読もうと思います。
特に書籍版でずっと続きを待っていた『F』と『she&sea』を・・・・・・

本記事に付き合ってくれた皆さまも是非どうぞ。糸森環作品はいいぞ!

27時09分の地図(http://ash-map767.riric.jp/index.htm)

 

スポンサーリンク
 
3

「糸森環はいいぞ糸森環を読むのです ― 少女小説家・糸森環先生のオススメ作品を紹介する」への2件のフィードバック

  1. いつも楽しく読んでおります通りすがりです。
    心に刺さるキーワードや文章でおススメされているのでまんまと何冊か買って読みました。
    糸森先生の作品はまだ読んだことがないので挑戦してみようと思います!

    1. 藍さん、コメントありがとうございます。

      大変光栄です。本当に嬉しいです。
      拙い文章力ながら、なんとか語彙を捻りだして誰かに気持ちを伝えたいと思っているので、そう仰っていただけるとやる気がみなぎります!

      糸森先生の作品はどれも大好きなので、藍さんにも楽しんでいただければ幸いです(^^)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。