茉莉花官吏伝8 三司の奴は詩をうたう /石田リンネ



茉莉花官吏伝 八 三司の奴は詩をうたう (ビーズログ文庫)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

前巻の感想はこちらから


評価:★★★★☆
2020年3月刊。
表紙の茉莉花の衣装が可愛すぎる・・・!
火種を抱えた異国を舞台にして、新章がスタート。
これまで様々な経験を積んできた茉莉花が、天性の記憶力と観察眼を駆使して次なるステージへ進むようです。
その様は控えめにいって怪物。そこにとてもゾクゾクしました。
本当に楽しいシリーズだ!

☆あらすじ☆
あるときは間諜、あるときは学者、あるときは愛人(候補)!? 茉莉花の立身出世物語(シンデレラストーリー)叉羅国編スタート!
叉羅(サーラ)国の高貴な客人ラーナシュに、王の証(コ・イ・ヌール)というとんでもないものを押し付けられた茉莉花は、視察と称して叉羅国に返してくるよう珀陽に頼まれる。
ところがその道中ラーナシュが命を狙われ、辛くも逃げ出した茉莉花は、あろうことかラーナシュと敵対中の家の当主シヴァンに助けを求めてしまう。
しかし、連れて行かれた邸でなぜかもてなされて——!?

以下、ネタバレありの感想です。

 

新章の舞台はラーナシュの故郷・叉羅国。
王と三司四将によって統治されたこの国は、三年交代の二重王朝制という歪な体質を抱えていた。
「国」よりも「家」を大事にする気質ゆえに内乱が絶えず、憎しみの連鎖の中で疲弊していく国家。
弱体化を察した周辺諸国から国を守ろうとするラーナシュによって、王の証コ・イ・ヌールを押し付けられようとした珀陽は、視察という名目で茉莉花を叉羅国に送り込み、なんとかコ・イ・ヌールを手放そうとするが―― というのが今回のお話。

 

新たな国で、様々な人と出会い、異なる文化に触れていく茉莉花。
今回の茉莉花は、素性を隠して他国で活動しているので、なんというか、行動がすごく「間諜」のようでした。

そんな人たちを相手に身元を偽っていることへ、罪悪感を抱いてしまった。
(やっぱり、嘘はつきたくないな。わたし、間諜には向いていないみたい)

そんなことを最初の方で考えていたけれど、いやいやいや、訓練なしでコレはむしろ才能ありまくりでは???

 

下働きをしつつ、親切な同僚たちをじっと観察し、真似し、その人生を「設定」として吸収する茉莉花。
スパイが現地の人間に溶け込む展開ってあるけれど、そのスパイが「設定」を練り上げてる段階の話って私はあまり読んだことがなかったので、今回のお話はとても新鮮でした。

 

時間をかけることなく、みるみるうちに「異国人」が「その国の人間」へと変わっていくのは、なんとも不気味。
同僚たちの仕草、表情、言葉づかい、生まれ、育ち、考え方。
それら全てを完璧にコピーしていく茉莉花を「怖い」と思うのはごく自然な感情ではないでしょうか。
だってそんなの普通はできないし、しないからね。気づいた人が彼女を異質だと見るのは仕方ない。
ホラーサスペンスに出てくる怪物みたいな扱いで笑ったけれど・・・!
内心が相変わらずの茉莉花だからギャップがすごくて。
ただ、茉莉花を知る読者の目からみても、楽しそうに歓談したあとに鏡で口角を調整する茉莉花にはヒェ・・・っとなったりしましたが。

 

そんな風に徹底的に「設定」を練り上げ、「叉羅国のジャスミン」を作り上げて、茉莉花は何をしようとしているのか。

その意図がわかった終盤のシーンで、ようやく「不気味な怪物」ではなく「主人公の茉莉花」が戻ってきたように感じました。
「完璧な再現」は相手を探るためではなく、相手を理解するためにある・・・・・・茉莉花は「間諜」ではなく「官吏」として、しっかりお仕事をしたんだなって。
子星さんの言ったとおりの仕事ぶりだったわけです。

 

さて、茉莉花の間諜っぽい潜入展開は面白かったけども、叉羅国編はまだまだ終わらない様子。
二重王朝制の解消まで持ち込めるかな?
そして茉莉花はシヴァン&ラーナシュと仲良しトリオになるのでしょうか(そこか?)(国に置いてきた「友達」がヤキモチ焼くぞ)

 

いや、その前に戦の気配が怖いんだけども・・・・・・
ラーナシュにもシヴァンにも愛着がでてきたので、叉羅国が酷いことにならないでほしいと思ってしまう。
茉莉花は全てを無事にすませて、今回の案件を国に持ち帰らないと。上の人と相談しないと!

 

続きもとても楽しみです。

 

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