豚のレバーは加熱しろ /逆井卓馬



豚のレバーは加熱しろ (電撃文庫)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

評価:★★★★☆
2020年3月刊。
第26回電撃小説大賞《金賞》受賞作。
公式PVにめちゃめちゃ笑ったので買いました。癖が強い!

豚になったオタクと底抜けに優しい少女の出会いから始まる異世界ファンタジー。
予想外にしんどくて、思った以上に面白い作品でした。

オタクの思考をもつ以外は正真正銘ただの豚。
そんな主人公は一人の少女のために何ができるのか。

終わり方が終わり方だから絶対にシリーズ化してほしい。続きを待ってます!

☆あらすじ☆
転生したら豚だった!美少女にお世話されるなら、こんな冒険も悪くない?
豚のレバーを生で食べて意識を失った、冴えないオタクの俺。異世界に転生したと思ったら、ただの豚になっていた!
豚小屋で転がる俺を助けてくれたのは、人の心を読み取れるという少女ジェス。
ブヒッ! かわいい! 豚の目線なら、スカートの裾からチラリと純白の……。
「あの、心の声が聞こえていますが……」
まずい! 欲望がだだ漏れだ!
「もしお望みでしたら、ちょっとだけなら」
え、ちょっ……!?
まるで獣のような俺の欲望も(ちょっぴり引き気味ながら)受け入れてくれる、純真な少女にお世話される生活。う〜ん、豚でいるのも悪くないな?
これはそんな俺たちのブヒブヒな大冒険……のはずだったんだが、なあジェス、なんでお前、命を狙われているんだ?
さあ魔法もスキルも持たぬブタよ、過酷な運命に囚われた少女を、知恵と機転と嗅覚で救い出せ!
第26回電撃小説大賞《金賞》受賞作、豚転生ファンタジー!

以下、ネタバレありの感想です。

 

豚の生レバーを食べたことで壮絶な痛みに襲われ、気づいたときには異世界の豚小屋にいた主人公。
なぜか豚の姿に変わっていた彼は、人の心を読める種族「イェスマ」の少女・ジェスと出会う。
現存する唯一の魔法使いである王様なら人の姿に戻せるかもしれないと聞いた豚は、丁度王都に向かう予定だったジェスと共に旅立つことになるが―― というストーリー。

 

人だった頃の名前は明かされず、ただ「豚」とのみ呼称される主人公。
その中身は「萌え豚」という死語(?)を連想させる古式ゆかしいオタクなのだけど、お前豚でも幸せそうじゃん・・・と思わずにいられないほど、異世界豚ライフをエンジョイしている豚でした。
まぁ分かる。ジェスがセットだと思えば分かる。豚には豚の幸せがあるんだと知った。

 

とは言え、彼は豚ではなく人なので。
スペック的にはただの豚でも、中の人は割と賢い理系オタク。
考える頭がある豚は、意外なほど上手に立ち回り、道中の様々なトラブルを乗り越えていくのです。
このあたりの主人公の活躍の仕方がとても楽しかったです。
魔法もチートもないけれど、豚の特技を人が活かす。
豚なのに格好良いんですよ!そして豚だから地の文でどれだけブヒブヒしてても挿絵のおかげで可愛く見える不思議。

 

そんな豚さんを、親身になってお世話するジェス。

底抜けに優しく善良な少女であり、大きな首輪も心ない差別も、全てをただ受け入れる少女。
彼女は一体何者なのか。彼女を待つのはどんな運命なのか。

可愛い少女に拾われた幸せな豚は、やがて彼女が何を抱えているのかを思い知ることになるのです。

 

これがねぇ、もう、予想外にしんどかった・・・!
イェスマってイエスマンからきてるんですね。
隷属させられ、決して抗わず、死ぬ確率が高い旅でも黙って進む、被差別の種族。
粛々と運命を受け入れる姿は見ていて苦しくなるほどで、イェスマの少女たちを襲う運命の残酷さに憂鬱な気分になりました。
特に打ちのめされたのが、イェスマの少女・ブレースの末路。
あれはもう吐きそうだった。
「この身体で人を惑わせた私が悪い」っていう述懐も辛いし、監禁下にあった彼女に何があったのか想像するのもきつい。
不犯のルールなんてイェスマ狩りは守ってないしね・・・・・・殺せばバレないって感じだったよね・・・・・・(腹無しって何だよ・・・)
それでも最期まで他人のために祈り続けたブレースの姿に、なんだか自分が加害者になったような罪悪感に襲われてしまいました。純粋に善人すぎて逆に歪んでる。

 

あまりにも哀しいイェスマの性質。
歪みを感じるほど、極端に善性に振られた少女たちの性格。

それが何に由来するものなのかが明らかになると、さらに胸糞悪さが倍増するんです。
豚と美少女がイチャイチャする話だよ〜で釣っといてコレか!!!と思った。

 

しかもこの胸糞悪い話を、この世界がそういう仕組みなら仕方ないね・・・で一旦閉じるんですよ。
びっくりしました。
このラストに至るまで、豚とジェスが少しずつ信頼と絆を積み上げていく様子を丁寧に描いてきたじゃないか。
それなのに、こんな誰も味方のいない場所でジェスの手を離す選択とかあり得るの・・・?
ていうか、この社会構造を良しとする王様は本当に味方といえるのか???

 

あまりにも受け入れがたい結末。
おかげで現代に戻り紡がれるエピローグを「いや、マジで終わるのか?」とドキドキしながら読む羽目になりました。
イェスマ狩りから逃げるシーンよりもドキドキした。
個人的に、この作品を好きか嫌いかの評価を分けるポイントだったので・・・・・・

 

でもこの引きなら良し。
あの終わりを本当の意味で受け入れず、豚がもう一度豚になるのであれば、きっと次こそ胸糞悪さをふっ飛ばしてくれるはず。
向こうはかなり面白い状況になってるようだし、この続きがとても楽しみです。

 

あと私はNTRダメ絶対の人なので、そのへんもよろしくお願いします・・・・・・何卒・・・!

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著者 逆井 卓馬 イラスト 遠坂あさぎ

 

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