パソコン持ち転生令嬢ですが、推しキャラと永遠の独房生活を満喫中です。 /和泉杏花



パソコン持ち転生令嬢ですが、推しキャラと永遠の独房生活を満喫中です。【特典SS付】 (一迅社ノベルス)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

評価:★★★☆☆
2020年3月刊。
表紙買いです。綺麗な星空に惹かれまして。
乙女ゲー転生もので、冤罪によって謎空間に閉じ込められた主人公が謎能力で引きこもりライフを満喫するお話。
正直とても都合が良い設定が多く、特に深く説明もしない仕様なので、そのへんは微妙かな、と思いました。
ただ、主人公とヒーローがふたりぼっちの空間で互いの孤独を癒やし合う姿はとても良かった。
特にヒーロー側の、一度絶望を味わった心から生じる執着は大変にエモくて・・・・・・

☆あらすじ☆
監獄で、ふたりっきり。ゆっくりとした時間が、ふたりの傷ついた心と体を癒していく――。
昔から嫌われていた実の姉と元婚約者から裏切られ、真っ白な部屋に幽閉された撫子。彼女はそこで……笑みをこぼした。
「大成功、ってね」
ここは撫子が転生前にハマっていた和風乙女ゲームの世界。前世でGETした宝くじの当選金と、通販ができる不思議なパソコンで、自由な生活を満喫しよう!と思った矢先。心底好きだった、あの初期シリーズのキャラ蘇芳が目の前に現れる――。ずっとひとりぼっちだった彼の震える手を握って、たくさんの時間をいっしょに過ごした。家庭用のプラネタリウムで、星を眺めた。
「ねえ蘇芳さん」「ん?」「これから先どうなるかなんてわからないけど、ずっと一緒にいてね」「……ああ」
そんな中、撫子に“監獄の外に出られる”と綴られた手紙が届いて……。ふたりぼっちの監獄生活の行きつく先とは――?
※電子版はショートストーリー『白の牢獄での日常【蘇芳視点】』付。

以下、ネタバレありの感想です。

 

姉が仕掛けた冤罪を信じ込んだ元婚約者によって、永遠の幽閉の罰を与えられることになった主人公・撫子

それは何もない真白の空間で、年を取ることも死ぬこともできず、気が狂うまで閉じ込められる残酷な罰。

しかし撫子の手には、ネットショッピングが可能な、前世で愛用していたノートパソコンがあった。

注文すれば好きな商品が現れ、部屋のリフォームも自由自在。アニメも見れるし、ゲームもできる。

前世で当てた宝くじを資金にして快適空間を作り出した撫子は、そこで一人の青年・蘇芳と出会う。
百年前に幽閉され、正気を捨てきれずに彷徨っていた蘇芳は、実は撫子が前世でプレイした乙女ゲームのラスボスキャラだった―― というお話。

 

これはあまり深くは考えてはいけないタイプの作品なのでしょうか。
なぜ撫子がPC持ってるのかとか、なぜネットショッピング(しかも独房にちゃんと届く)できるのかとか、そういう不思議な現象について説明は一切ありませんでした。
「パソコン持ち転生」とタイトルで謳われている以上は、ある程度のご都合主義でも受け入れようと考えていたのだけど、うーん、個人的にはもう少し説明というか、突っ込んだ設定がほしかったな。
あれは撫子自身にもよく分からない不思議能力、ということで良かったの??

 

(理屈は謎だけど)そういう訳で、撫子の生い立ちや状況は不幸でも、投獄後の彼女に憂鬱な雰囲気は全くありません。
むしろ「満喫」という言葉に偽りなくめっちゃ楽しそうでした。タイトル通り。そこに詐欺がないのはとても良かったと思います。

 

ただ、正直に言えば、話の展開は私の好みではなかったです。
撫子を陥れた姉の対処も撫子の救出も、全部「ゲーム主人公」である親友・桔梗が担っていて、撫子自身は独房から事の成り行きを傍観して救出まで待機していただけ。
私、物語を動かさない主人公と、そういう構成の物語はあまり好きになれないんですよ・・・・・・

 

でもそれは作中ずっと大人しく「囚人」していたということでもあり、ある意味とても徹底した物語だと言えるのかもしれません。
つまりこれは、とても快適で居心地が良い空間で、傷ついてメンタルが弱ってる推しを励ましつつ、仲良くイチャイチャと暮らすお話なんですよ。
完全にタイトル通りだ。それ以上でもそれ以下でもないし、そこに魅力がある作品なのだと思います。

 

姉への嫌悪と父への失望を抱えた撫子と、百年彷徨った蘇芳。
他に誰もいない、どこにも行けない場所で、二人ぼっちの日々が描かれる本作。
不安定な蘇芳は撫子に執着し、撫子はそれを柔らかく受け入れ、そうして二人は少しずつ互いの心を癒やしていくのです。
この撫子と蘇芳の心の交流はとてもエモくて良かったです。似た傷を持った者同士ってなんか好き。

 

特に蘇芳はキャラクターも素敵でした。
撫子への依存心が少しずつ恋情に変わっていき、そこから暗い独占欲が滲んでいく感じ、たまらなく好きなやつ。
蘇芳は終盤にかけてどんどん魅力的になっていった気がします。

「ここにいてくれ、外になんて行かずに。ここで、俺と一緒に・・・・・・永遠とも呼べる長い時間をかけて、絶望の待つ未来へ進んでいってくれ」

これとかね。匂い立つメリーバッドエンドへのお誘い。
「閉鎖空間に二人ぼっち」というシチュエーションの締めくくりとして最高のセリフでした。

 

まぁこれ問題なくクリアできたんだけど。
この問題のなさも正直ご都合主義的ではあったのだけど、そこはまぁ、ハピエンだから良いのです。

 

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