マフィアの落胤、異世界ではのんびり生きたいのでファミリーを創る /殻半ひよこ



マフィアの落胤、異世界ではのんびり生きたいのでファミリーを創る (ファミ通文庫)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

評価:★★★☆☆
2020年2月刊。
マフィアの後継者として生きるはずが、暗殺されかけて異世界へ。
ようやく手にした平穏な日々が壊されたとき、少年は大切なものを踏みにじる「秩序」への反逆を決意するのです。
孤独な少年が薄幸の少女と出会い、彼女を守るために戦いを繰り広げる物語としては、展開がすごく好みだったし、要所要所でケレン味もあって楽しかったです。

ただ、マフィア×異世界召喚の異色ファンタジーを期待して読むと、やや物足りなさを感じるかも。
特にマフィア要素はもっと悪どい部分が見たかったかなぁ。

ちなみに表紙とタイトルでスローライフを想像して買ったんですがスローライフではありません(あらすじを読め、私)

☆あらすじ☆
目には目を歯には歯を、悪しき法には“正しき悪”を——。
伝説的なマフィアの後継として育てられた安納辰己は、跡目争いで暗殺され……たはずが、とある女神によって異世界へ招かれた。瀕死のところを助けてもらった少女シーパとともに、今度こそ平穏な人生をすごせると思ったのも束の間、貴族の圧政によりシーパが神への生贄として連れ去られてしまう。辰己は彼女を守るため、女神からもらった魔眼の力と身に染みた “”マフィアとしてのやりかた “”を解禁する——!! 異世界ゴッドファーザー物語、開幕!

以下、ネタバレありの感想です。

 

唯一の肉親だった祖母を亡くした七年前、顔も知らない祖父の正体がマフィアの伝説的なゴッドファーザーであることを聞かされた少年・安納辰巳
祖父の後継となるべくマフィアの英才教育が始まったものの、突然の暗殺と、異世界の女神・ミハテによって、辰巳の運命は大きく変化することに。

異世界で自分を救ってくれた少女シーパと、自分をあたたかく受け入れてくれたミハテ村が抱える裏の事情を知った辰巳は自らの持つ「武器」をふるい、彼らを虐げる「秩序」を壊そうと決意するのです。

 

その武器とは、祖父譲りのカリスマ性と、7年間受けてきたマフィアの教え。
そして、女神によって与えられた血を媒介として運命を動かす能力。

生まれと教育と異能。その3つの力を武器に、辰巳は強大な敵へ苛烈に立ち向かっていきます。
この設定はとても良かった。特に、普段温厚な辰巳が意識を切り替えるためのルーティンが格好良いんですよね。
「屈辱には報復を。侵略には赤き血を。我らの掟は是即ち、魂の反逆である」
呪文を唱えれば片目から血を流し、その盟約によって運命を突き動かしていく―― 正直、めっちゃ好きです。格好良い・・・・・・

 

辰巳が敵対するのが「秩序」だというのも良い。
腐れ果てた秩序への反抗。
レジスタンスとして様々な工作を行いつつ、果てしなく遠い敵に牙を向けていくわけです。
反逆の物語としてはかなり好みな部類でした。特に反逆の理由が「少女を守るため」というのが大変に私のツボでした。

 

話のテンポもすごく良かったと思うんだけど、駆け足に感じる部分は結構あって。
うーん、エピソードの取捨選択が、いまいち私の期待からはズレてたんですよね。完璧に好みの話なんですが。
個人的には辰巳が「マフィアのやり方」で力を蓄えていく過程が見たかったんです。
落陽民を「ファミリー」にして裏社会を牛耳っていくくだりが正に期待していたソレだったんだけど、ここはファミリー結成後のエピソードがザックリと切られていて。
二つの商会を裏から手を回して強制的に和解させた話、詳しく読みたかったなぁ・・・・・・
その代わり主人公じゃない女性キャラ2人の因縁が深く描かれていたりして、それ自体は面白いんだけど「そっちを重視するのかー・・・」というモヤモヤがあったりしました。

 

まぁレジスタンスものとして読むなら十分に面白い作品なんですけどね。
私はもう少し辰巳が悪どいことをしてるエピソードが欲しかったけれど、「秩序」側が悪すぎて主人公が悪になる暇がないというのもある。
なんだかんだ言っていたけど、辰巳はひたすら善行しかしてないような??

 

色々引っかかりはあれど、辰巳自身のキャラクターは魅力的でした。
敵へのハッタリと、周囲へのハッパのかけ方が特に好き。
そういう辰巳のセリフとか、この作品のマフィアものを意識したような気取った言い回し(褒めてる!)がとても楽しかったです。

 

一応最初のボスを倒して終わったけれど、残す敵はまだまだ山盛り。
さっそく2番めの敵が登場しましたが、果たして無事にシリーズ化できるのか。楽しみに待ちたいと思います。

 

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