異世界拷問姫9 /綾里けいし



異世界拷問姫9 (MF文庫J)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

前巻の感想はこちらから


評価:★★★★★
2020年2月刊。
醜悪で美麗なダークファンタジー完結巻。
まるでクライマックスのような苦難を、繰り返し描いてきたシリーズでした。
いったい何度「あれよりも酷い地獄があったのか?」と震えたことか。
そしてこれが本当のクライマックス。
一気に駆け抜けた最終巻でした。最後までとても面白かったです。

☆あらすじ☆
至高のダークファンタジー、終劇。
「どうか、皆、みーんな、一緒に死んでください」
最愛の父・ルイスを失い、【異世界拷問姫】アリスは世界を壊し始める。
かつて最愛の従者・瀬名櫂人を失った【拷問姫】エリザベートは世界を守り続ける。
それは鏡映し、共にあり得た可能性。
それ故に決定的に交わらない二つの道。
だから二人の拷問姫は“彼ら”の遺志を継ぎ、各々に世界へと立ち向かう。
「どうして、私だけお父様を失うの? 『瀬名櫂人』のエリザベートは生きているのに!」
「この【拷問姫】が全てを賭けるのだ──【異世界拷問姫】が受けずして、どうする?」
これが神話に至る物語。
綾里けいし×鵜飼沙樹で贈る至高のダークファンタジー、最終巻。

以下、ネタバレありの感想です。

 

愛する者の願いによって、世界を滅ぼそうとするアリス。
愛する者に救われたから、世界を守ると決めたエリザベート。

二人の拷問姫の衝突は最終局面へと向かい、エリザベートは絶望的な戦いへ身を投じていくのです。

 

最後の最後まで緊張から解放されない最終巻でした。
一手間違えれば世界は滅ぶ。そのギリギリの駆け引きのなかで、あっさりと消えていく数多の命。
誰も彼もが世界を守るため凛々しく立ち上がり、そして虚しく散っていく。
これが滅びの美しさなのでしょうか。そのあまりに無情な結末が深く心に残りました。

 

特に涙なくして読めなかったのが、イザベラとジャンヌの最期。
もうね、めちゃめちゃ泣いた。
二人の間に悲壮感はなくて、あくまでもいつも通りで、どこまでも愛に満ちていて、余計に泣いた。
病めるときも、健やかなるときも、・・・・・・たとえ犬死にするときも。
二人は共に在り、共に戦い、共に死ぬのです。
それはあまりにも美しく、どこまでも残酷で。
その鮮烈な姿が心に焼き付いて消えないんだけど、本当にどうしてくれるんだ?思い出してまた泣くんですけど!

 

戦った人の命があっさりと消え、それを悼む暇もなく突き進む最終決戦。
敵であるアリスが憎みきれたらまだ良かったのに、それすらも迷わせる作者のドSっぷりよ。
アリスはあくまでも悲運の子どもであり、どこまでも不幸な娘にしか見えなくてね・・・・・・
かと言って、はっきりとトドメが刺されなかったのが救いかと言われると「いや、どうかな・・・」となるんです。
壊れてしまったアリスは、きっとあの世界でひとりぼっちだよ。それが彼女が受けるべき報いなのかもしれないけれど。

 

このアリスの顛末、割と唐突だったんですよね。
でもそれがこのシリーズらしいな、とも感じました。
突如として理不尽に始まった地獄は、突如として理不尽に終わるのです・・・・・・これこそがまさに神の所業なのかもしれない。

 

決死の覚悟で戦い抜き、多くの仲間を失って、ようやく阻止できた世界滅亡。
個人的に一番肝心なのは、エリザベートは救われるのか?という点だったのだけど、これに関しては大満足の結末でした。
時間はかかったけれど、とても納得できた。そして安心しました。本当に良かった。本当に。

 

あと、何気に生き残っていたリュートの姿にはホロっと涙が。
死にそうで死なないキャラかと思っていただけに中盤のショックが半端なかったのだけど、やはり彼は死にそうで死なないキャラでした。大好き。死んだ人々の分まで長生きしてほしい・・・!

 

最後の最後まで残酷で美しく、心に残るダークファンタジーでした。
とても面白かったです。綾里さんの次回作もめちゃくちゃ期待しています!

 

余談。
この最終巻のカラーイラスト、最高すぎません??
表紙の部分だけでも素晴らしいエモさ(読む前から嫌な予感をプンプンさせる美しさ)だったんだけど、中を開いてみたら更に凄い一枚絵がでてきて感動しました。
みんな安らかに眠っている・・・・・・とても安らかに・・・・・・

 

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