不思議の国のハートの女王 世界の強制力で毒吐きまくり!? おかげで破滅ルートに入りそう……!/長月遥



不思議の国のハートの女王 世界の強制力で毒吐きまくり!? おかげで破滅ルートに入りそう……! (ビーズログ文庫)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

評価:★★★★☆
2020年2月刊。
乙女ゲームの悪役女王に転生したことから始まる、処刑エンド回避物語。
言葉がすべて暴言に変換される呪いを抱えたまま、なんとか破滅の運命を乗り越えようとする主人公の奮闘を描いたファンタジーです。
「不思議の国のアリス」をベースにした世界観は可愛かったし、強制ツンデレの主人公と助っ人翻訳機のヒーローの掛け合いも楽しかった。
1冊で綺麗に話をまとめつつ、もう少し続きが読みたいなぁ〜と思わせてくれる感じです。
ぜひシリーズ化してほしい!

☆あらすじ☆
「妾にたてつく者は、死刑だ!!」喋る言葉が全部毒舌!? ——悪役女王、爆誕(したら困ります)!!
国王夫妻の不在により、急遽女王の座に就くことになった私——エリノア。
そのお披露目の場で
「これよりは妾が貴様らの主となる。喜びに打ち震え、跪け!」
って、前世でプレイしてた乙女ゲームの暴言ばかり吐く悪役女王になっちゃった!!
ヒロイン・アリスが現れる前に、攻略対象の帽子屋を味方につけて処刑エンドを回避しようとするけれど……!?

以下、ネタバレありの感想です。

 

国王夫妻である両親が失踪したことにより、ハートの国の女王となった少女・エリノア
その瞬間、彼女は自分が乙女ゲーム「四印(スート)のアリス」の悪役女王に転生していたことを知る。
衝撃を受けたものの、自分は自分。ゲームのシナリオも覚えている。
これならきっと大丈夫!と思い直したエリノアだったが、なんと口が勝手に動いて「エリノア」らしさ満点の暴言を吐き散らしてしまう。

 

これはゲームの強制力なのか、それとも別の何かなのか。

 

表現しようとした意思を、悪意をもって捻じ曲げて吐き出されるエリノアの言葉。
語尾が「死刑だ!」のせいで、これまで信頼を結んでいた臣下たちにも恐れられてしまう始末。

このままでは破滅まっしぐら。
焦ったエリノアは、ゲームの攻略対象であり、この世界の「ジョーカー」でもある帽子屋・フェデリに協力を求めようと決意するのです。

 

まず、エリノアとフェデリの関係性がとても好みでした。
毒々しいエリノアの言葉でも、フェデリはしっかりと本音を汲み取ってくれる。
序盤でエリノアを襲う焦燥にドキドキしていただけに、フェデリの与える安心感がすごく沁みるんです。セーフティゾーンみたいだった。
エリノアにかけられた呪いを解くために二人で動く間も、信頼できる安心感と微妙に艶を帯びていく距離感がすごく楽しくて。

 

特にフェデリの変化は良かったなぁ〜。
彼の「ジョーカー」という宿業、かなり闇が深い案件だと思うので、続刊が出たらモリモリ掘り下げてほしいものです。
だって、「個」を持たないフェデリが、エリノアへの想いのために「ジョーカー」の運命を乗り越えたらめちゃめちゃロマンチックじゃない??
冷えた世界をハートの女王に温めてもらおうよ!そこまで読みたい!

 

そんな感じでエリノアとフェデリ(というかフェデリからエリノアにのびる矢印)がすごく好きだったんだけど、クライマックスがまた最高だったんですよね。

わたしが愛するハートのスートと、そして最高の協力者に。

この一文のエモさよ。
めちゃめちゃ胸アツな展開してくれるじゃん。好きぃ・・・って唸りました。こういうの弱い。

 

キャラの話ばかりしてしまったけれど、ストーリーや設定も面白かったです。
「不思議の国のアリス」になぞらえたエピソードの数々が楽しかったし(小麦粉の使いみちに笑った)、個人的には「なぜ乙女ゲームの世界に転生したのか」をちゃんと説明しようとする意気込みを買いたい。
そういうものだから、でスルーしないのポイント高い。
フェデリの「ジョーカー」という役割と絡めつつ、そこらへんをしっかり説明してくれたのは本当に良かったと思います。

しかしこれ、一応は話がまとまっているけれど、続けられますよ

ね?
エリノアの呪いの件とか、押しかけペット(!)の問題とか残ってますし。ハートの国以外の国の話も読んでみたい。
あと乙女ゲームヒロインの代わりに出てきたアレフとか(突然のBLゲー疑惑に笑った)、なんだか負けヒーロー的美味しさを匂わせてくる騎士ジャックとか(王女時代からエリノアを見守り続けてきた彼のモノローグすごく好きだった)、そのへんも続刊で更に掘り下げてほしい感じ。

 

ポテンシャルはばっちりです。あとはシリーズ化するだけ!
応援しています〜!

 

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