廃墟の片隅で春の詩を歌え2 雪降らすカナリア /仲村つばき



【電子オリジナル】廃墟の片隅で春の詩を歌え2 雪降らすカナリア (集英社コバルト文庫)【Kindle】【BOOK☆WALKER】

前巻の感想はこちらから

評価:★★★★☆
2020年1月刊。
王位をめぐり衝突する三姉妹の運命を描くヒストリカル・ロマン第2弾。
なかなかに胃が痛い展開になってまいりました・・・・・・めちゃめちゃ面白かったけども・・・!
本当にどういう展開になるのかなぁ。かなり気になります。

☆あらすじ☆
王政復古を果たしたイルバス国・ベルトラム朝。だが、女王ジルダとその妹・ミリアムの反目が、いまだ脆弱な王政を揺るがしている。ジルダの意を受けた寵臣・エタンの手で廃墟の塔から救い出された末妹のアデールは、夫となった幼馴染みのグレンを愛することができず、また姉たちの争いを止められない自分の無力さに苦しんでいた。そんなアデールに、エタンは一時的に国を離れるようすすめてくる。行き先は、常春の国・ニカヤ。三人の兄弟が民を治めるというその国で、アデールが出逢う人々は? そして、アデールが不在のイルバスでは、二人の姉の思惑が交錯して――!?

以下、ネタバレありの感想です。

 

夫であるグレンの負傷を機に、自ら声を上げねばならないと覚悟を決めたアデール。
姉の言いなりになることをやめ、しかし姉の力にはなりたい。
国をより良くすることを考え始めたアデールは、常春の国・ニカヤに向かい、そこで様々な新しい知見を得ていくのです。

 

アデールが積極的に動き始めたことから、物語そのものも急激に変化しつつあるように感じました。
とは言え、国政に関わろうとするアデールに対しグレン含め周囲の目は冷ややかで、「足かせ」のようなものを感じるところは多々あり、今もまだ爽快な展開とは言えないのですが。
息苦しさ、生きづらさの描写が真に迫っている。

 

特に、グレンが未だにアデールを鳥かごに入れておきたい願望ダダ漏れなのがつらい。
彼にとってアデールの変化は望ましいものではなく、戸惑いだけが強く感じられる。
良き夫婦関係が築けているとは言えないし、この先で良き夫婦となれるのかも分からないんですよね。
「アデールの愛は瞬時にもえあがるものではなく、少しずつ与えられるものなのだ。」と分析されていたけれど、果たしてアデールがグレンを愛する日がくるのでしょうか。
そのためにはグレンがなぁ、、、現状ではお世辞にも魅力的な男性とは言い難く・・・・・・
グレンにとってアデールは唯一絶対の存在だけど、アデールにとってグレンは「大切な人のひとり」ですよね。それはなんとも非対称で切ない形だと思う。

 

姉たちとも他国の王とも堂々と渡り合うアデールの変化は私としては好ましいので、ぜひともグレンに変化してほしいな。
せめて、今のアデールをグレンが受け入れてくれたら良いのに。
唯々諾々と好きな女に付いていくのではなく、好きな女の未来を閉ざすのでもなく、アデールと対等な存在として並び立ってくれるといいのに・・・・・・と思わずにいられません。そういう夫婦が好きだから。

 

ただ、そもそも「夫婦」としての関係すら危うくなっているのが怖いところ。
まさかのNTR危機に震えました。ユーリ王子のことじゃなくて。
たしかにエタンの方がグレンよりもよほど少女小説ヒーローっぽいけども、いやいやいかんぞ、NTRはいかんぞ。
私はそれだけはダメなんだ・・・!超絶地雷なんだ・・・!!
土壇場で思い直してくれたから良かったけども、実際のところグレンの状態はどうなのでしょうか。
この環境において後継問題って大事だからね・・・・・・胃が痛いな・・・・・・

 

後継問題といえば、姉ふたりが抱えていた事情もようやく見えてきました。
うーん。。。これはもう愚かな母親の被害者といってもいいだろうけれど、母への反抗心とプライドから王統乗っ取りを企てているミリアムを見るに「まさに呪いじゃん・・・」となる。
まだジルダの方が正気だった。いや、王家の者としての役割を自覚して身を戒めているというか。それもまた呪いだけども。

 

エタンとの会話をみるに、ジルダは最終的に自ら破滅するつもりなんでしょうか。
揺れ動く彼女の真意はどこにあるのか。
ちょっとジルダに同情的な心境になったので、ふざけた手紙を送りつけたユーリ王子は小指の角をぶつければいいのに・・・と思いました。

 

うーん、この物語はどういう結末を迎えるんだろうか。さっぱりわからん。
続きも楽しみです!

 

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