骸骨王と恋するいばら姫 引きこもりの私に暗殺命令が出ました! /梨沙



骸骨王と恋するいばら姫 引きこもりの私に暗殺命令が出ました! (一迅社文庫アイリス)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

評価:★★★★☆
2020年1月刊。
面白かった〜!
「美女と野獣」ならぬ「美女と骸骨」といったシチュエーションから始まるラブファンタジー。
冬に覆われつつある世界。
その脅威を退けるために、生贄になる覚悟で「死の王」のもとを訪ねたのは「呪われた姫」。
骸骨の姿をした恐ろしくも優しい王との出会いによって、主人公は世界を一変させた百年前の真実に迫っていくことになるのです。
御伽噺そのものの雰囲気で綴られる、良いファンタジーでした。
骸骨王とヒロインのずれた掛け合いと、芽吹き育っていく純愛がすごく素敵だった。大満足です。

☆あらすじ☆
百年をかけ一つの国を滅ぼした死の王。芽吹きの国の塔の姫イベリスは、その進行を止めるため雪に閉ざされた冬の王国を訪れた。しかし、早々に侍女とはぐれて遭難し、骸骨姿の化け物に拾われてしまう。生け贄として彼に美味しく食べてもらおうとするけれど…。「私を召し上がってください。食べ頃です!」「さっさと出ていけ」骸骨王と奇妙な共同生活をはじめたイベリスは、やがて「冬の王国」の閉ざされた過去へと迷い込んで…? 呪い持ちの引きこもり姫と骸骨王のラブファンタジー!

以下、ネタバレありの感想です。

 

世界が雪に侵食される恐怖に襲われるなか、「この冬を止めなければ」と冬の王国に出向いたのは、芽吹きの王国の王女イベリスだった。
魔女に呪われ、茨によって誰も近寄らせない「塔の姫」イベリス。
それは厄介払い同然の扱いだったものの、イベリスは決死の覚悟で死の王に呪いを止めるよう懇願します。
そんな彼女の願いに対し、死の王は「ならば自分を殺してみるがよい」と告げてきて―― というストーリー。

 

サブタイやあらすじはコメディな雰囲気ですが、どちらかと言うとシリアス寄りなお話だと思います。
ラブコメ要素もちゃんとあるから詐欺とまでは言わないけども。

 

さて、「殺してみろ」と言われたものの、ポロッと頭部が落ちても平気な不死の骸骨相手にどうしたら良いんだろうかと困惑するイベリス。
なし崩しで始まった死の王や城に棲む動物たちとの生活は、呪いのせいで孤独に生きてきたイベリスには新鮮で、彼女の心を優しく癒やしていくものでした。
そんな日々のなか、イベリスは夢の中で100年前に存在した少年王ウィリアムに出会い、彼と恋に落ちていくのです。

 

100年前、ウィリアムに何が起こったのか。
彼が治めていた「深緑の国」は、なぜ「冬の国」へと変わってしまったのか。
何も覚えていないという死の王は、何者なのか。

死の王の正体はともかく(この手の話で別人オチはまずないからね)(いやある意味別人オチか・・・?)、ウィリアムに何が起こったのかはとても気になりました。
全てが明かされたとき、彼がどうなるのかも。

 

たった数度の短い邂逅で急速に惹かれていくウィリアムとイベリスの恋はハイペースなんだけど、状況が状況だけにすごくドラマチックに感じました。
幼少期の柔い心に強烈に焼き付けられ、数年単位で焦らされまくり、会えたと思ったら幻のように消える女―― っていうウィリアムの視点から考えたら、イベリスの存在って魔女もびっくりの魔性の女だったのでは。
お前はなんなんだよ!って気になりすぎて運命を感じてしまったのか。

ウィリアムの恋が、会えない間に恋愛小説でがっつり勉強して、会える時間でガンガン攻め落としていく方針だったのも楽しかったです。
ずいぶん手が早い王子だな!って思ったら、そういうことか。
彼が参考にしていた小説の内容(というか男性キャラ)がどんなものだったのか気になります。たぶん一迅社文庫アイリスだったんじゃないかな?

 

雪に覆われた穏やかな現在と、次第に暗雲が広がる100年前。
夢を介して2つの時間軸を描いていく物語は、やがて一つの真実へと集束していきます。
この終盤の盛り上がりもすごく面白かった。色々と設定が込み入っていて、読み応えがありましたし。
そして、雪が広がる世界で空中に浮かぶもうひとつの城――というのも、なんとも幻想的な光景ではないですか。できれば挿絵で見たかったな・・・・・・

 

孤独な生い立ちゆえに、身体以上に心が未発達だったイベリスの成長物語としても良かったと思います。
「私を食べてください」っていうズレた掛け合いも楽しかったですけどね。
ぼんやりしたイベリスの分まで騒ぎまくる侍女・マーベラのおかげで、静かな世界観なのに物語が賑やかだったのも好バランスでした。

 

あとモフモフが良かった!可愛くて!
・・・・・・ただ、このもふもふ達については、電子版SSが切なくてちょっと泣けるんですよね。
白クマたちに、記憶があったわけじゃないのか。
てっきり彼らには記憶があるものだと思いこんでいました。
だからずっとそばにいて、ひとりぼっちの王様に世話を焼いて、いもしない敵から必死に守っていたんだと、そう思っていたのに。
でも「死の王」と同じように、自分が何者なのか、なぜそこにいるのか、彼らは何も覚えていなくて。
元凶がいなくなっても彼らが元に戻るわけじゃないんだと電子版SSを読んで気づき、どうしようもなく切なくなりました。
でも今の彼らは幸せそうなんだよな。ああもう心がギュッとなる・・・・・・

 

せめてこれからは幸せに暮らしてくれると良いな。
しんみりしてしまいましたが、それでもこれはハッピーエンドと言えるでしょう。
綺麗に終わっているし、とても満足です。
梨沙さんの次回作も楽しみにしています。

 

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