今はまだ「幼馴染の妹」ですけど。せんぱい、ひとつお願いがあります / 涼暮皐



今はまだ「幼馴染の妹」ですけど。 せんぱい、ひとつお願いがあります (MF文庫J)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

評価:★★★★☆
2020年1月刊。
面白かった!
あらすじ的には小悪魔後輩に振り回される高校生の日常を描いた学園ラブコメなんだけど、うーん、これはジャンルに偽りがちょっとアリでは?ラブコメなのは間違いないけれど。

星に願いを。その祈りの先にあるものは何か。
街で噂される都市伝説をめぐる少年と少女の不思議な関係は、可愛くて優しくて痛々しくて身勝手。
ままならない感情を正面衝突させる二人の姿に、すごく青春を感じました。

ほんとこういうの好き。続きも楽しみです。

☆あらすじ☆
こんなに素直な女の子に慕われて、まさか一ミリも嬉しくないんですかっ!?
双原灯火。幼馴染の妹で、同じ高校に入学してきた後輩でもある。自称・あざとい小悪魔系。自称・温もり大好きスキンシップガチ勢。そして「自称・先輩を慕う美少女」だそうだ。そんな小悪魔系(?)美少女後輩は、今日も早朝からわざわざ僕を迎えに来ている。ポイント稼ぎに余念がないな。
「せんぱい! 手! 手繋ぎましょう! 温もりくださーい!」
けれども僕は、僕だけは知っている。灯火が本当は照れ屋な子犬系で、手が触れるだけで赤面し、僕をからかいながらも内心テンパっていることを。小悪魔キャラは演技でしかなく、僕に近づく口実でしかないことも。そして——今はまだ、僕を好きではないことも。

以下、ネタバレありの感想です。

 

空から落ちてきた《星の涙》に願いを託せば、なくしてしまったいちばん大切なものを、二番目に大切なものと引き換えに取り戻すことができる――

そんな都市伝説がある街に暮らす高校生・冬月伊織
氷点下男という悪評を背負う伊織の前に突然現れたのは、今では疎遠になった懐かしい幼馴染、の「妹」である双原灯火だった。

 

願ってはならないことを《星の涙》に願う誰かを止めるために、その「誰か」を探し続けている伊織。
本当の狙いを見せないまま、不器用な小悪魔後輩ムーブで伊織に付きまとう灯火。

突如始まった二人の日常は、ラブコメ調に話を進めつつも、なにやら不穏な気配を強めていくのです。

 

前半のラブコメパートも可愛くてよかったんだけど、《星の涙》が起こす超常現象がはっきりと描かれ始める後半以降がめちゃくちゃ面白かったです。

今まで伊織が一緒にいたのは誰なのか。
「双原灯火」とは何者なのか。
彼女は何を星に願い、それによって何が起きたのか。

足元から崩れていくような不安感がたまらない。
ここでようやく《星の涙》に対して伊織が常々見せてきた敵意のような感情が、何に由来するものなのか見えてくる感じ。こういう展開は楽しくて好き。

 

《星の涙》という、メルヘンなアイテムに込められた悪意もまた良いですよね。
いやこういうのに善も悪もないんだけど、やってることが猿の手っぽくて「触れてはいけないもの」感がひしひしと伝わってくる。これぞ都市伝説。
願いを叶えることは悪意まみれの解釈で実行するくせに、実際に起きる現象が大規模なのもタチが悪いですよね。むしろ良い〜〜

 

問答無用で願いを叶えようとする《星の涙》に立ち向かおうとする伊織。
「氷点下男」であろうとする彼の事情もそこで分かっていくんだけど、過去の失敗をひとりで背負い、今なお自己犠牲の方が安いと考えるような馬鹿野郎っぷりが最高でした。
自分の身だけで帳尻を合わせようとする、優しい身勝手男め。どんどん助けてガンガン怒られろって思う。

 

まぁそういう伊織だから辿り着けた結末なのでしょう。
ラストシーンの灯火のぶちゃいくな泣き方がめちゃくちゃ可愛かったです。
小悪魔ムーブして即テレるあざとさも好きなヒロインだったけど、あそこでようやく思いっきり感情を吐き出せたんだなぁって。
大事なものを取り戻そうと頑張って、別の大事なものを見つけることができたなら、これは間違いなくハッピーエンドだと思うのです。すごく良い結末だった。

 

うんうん、楽しい作品でした。
やっぱりこういう不思議現象の中で青春を描くラノベって大好きです。
《星の涙》は他にも残ってるし、伊織自身はまだ完全に救われてないし(シリーズが続けば陽星回きますよね?)、今後もっと面白くなっていきそうな気がします。

期待しよう。続きも楽しみです。

 

スポンサーリンク
 
0

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。