雲神様の箱 /円堂豆子



雲神様の箱 (角川文庫)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

評価:★★★★☆
2020年1月刊。
面白かった!
古代日本を舞台にしたファンタジーというと『勾玉三部作』や『銀の海 金の大地』を思い出す私ですが、それらの作品と並べて語りたくなる魅力的な古代ファンタジーだと思います。

朝廷から生命を狙われる、聡明で可能性に満ちた若き王。
災いの子として忌まれ育った、神秘の一族の孤独な少女。
二人の出会いは、古代世界を揺るがす壮大な物語へと変貌していくことでしょう。そんな予感に高揚する第1巻でした。

だがしかし、面白いけど怖い話だとも思う。
この男を信じてもいいの?と何度も自問する主人公の姿に不安が煽られるんですよね。
悪い男に騙されてる女にしか見えないよ〜〜〜怖いよ〜〜〜その男について行った先に待つ未来が怖いよう!

続きがとても楽しみです!

☆あらすじ☆
異能の少女と若き王の反逆の旅路——壮大な古代日本ファンタジー誕生!
薬毒に長け、どの地の支配も受けず霊山を移り住む古の民、土雲の一族。一族の少女・セイレンはある日、『山をおり、雄日子(おひこ)という若王の守り人となれ』と里を追い出される。双子の妹という出自ゆえ「災いの子」とされてきた彼女は、本来求められた姉媛(あねひめ)の身代わりにされたのだ。
怒りと孤独を抱え里を飛び出したセイレン。しかし、類い稀な技を持つ彼女と、大王への叛逆を目論む雄日子の予期せぬ邂逅は、倭国の歴史を大きく変える運命の出会いとなるのだった……!
第4回カクヨムWeb小説コンテスト、キャラクター文芸部門特別賞受賞!
古代日本の美しい風景、豪族たちの渦巻く野望、そして『土雲の一族』というファンタジー要素が融合し、胸躍る壮大な物語が誕生したーー!!

以下、ネタバレありの感想です。

 

常人には毒でしかない霊山を浄化する役目を負う、土雲の一族
一族の長の家に生まれながらも、双子の妹であるため「災いの子」として捨てられた少女・セイレン
姉・石媛の身代わりとして湖国の若王・雄日子に仕えることになったセイレンは、「守り人」として自分が守らねばならない存在が何者であるのかを、無垢なまなざしで見定めていくことになるのです。

 

大王の血をひき、腐敗した中央政権を打倒して国を平定することを期待される雄日子。
そんな男に「まつろわぬ民」の少女が仕えるんですよ?やばい予感しかしない。

 

神秘的な技を使い、神代から地続きの場所で生きる土雲の一族。
強力な毒を使う土雲の技に下界の人々は太刀打ちできず、味方としては心強くても、敵に回せばこれほど恐ろしい存在はないでしょう。

セイレン自身も雄日子のもとにきて初めて「土雲の異質さ」を思い知り、己の恐ろしさに怯える姿が印象的なんですよね。
でも、これが本当に怖い話になるのはこれからなんじゃないかな・・・・・・

 

だって彼女を使役する雄日子は油断ならない男だから。

 

序盤からさっそくセイレンに呪いをかけるシーンで「あっ、信じたらダメな男だ!」と察するんだけど、この男の怖いところは裏切りを繰り返しながらも「もしかしたら信じて良いのかもしれない」と思わせるところですよね。

 

この男を信じていいのだろうか。
この男についていったらなにが起こるのだろうか?
この男は、何者なんだろうか。

 

幾度となくセイレンの心を踏みにじり、彼女に疑惑と不信感を植え付けていくのに、それでもセイレンは雄日子という存在にどんどん取り込まれていきます。まるで逃げられない運命に足を掴まれたかのように。

雄日子は常に笑顔の鎧で本心を見せない胡散臭い男なんだけど、同時に彼の言葉には優しさも感じるんです。
その優しさを信じると裏切られるんだけど、優しさ自体が嘘だと言い切ることもできなくて・・・・・・

 

この男と一緒にいったら、なにが起きるんだろう?
この男は、わたしにどんな世界を見せてくれるんだろう?

 

雄日子に対する不信感と、彼という存在への好奇心。
ここにいてはマズいのではないかと警告を鳴らす心と、どこにも行けないならここに居たいと泣く心。

割れて衝突するセイレンの心はあまりにも幼気で頼りなく、彼女の選択のひとつひとつが何を呼び起こすのかとドキドキしてしまいました。

 

だってだって土雲(土蜘蛛)だよ?まつろわぬ民だよ?
その神秘を雄日子に暴露したシーンとか、彼の内心が分からないせいで怖すぎたんですけど。本当に何を思ったんだろう。

土雲にとっての「災いの子」が、大王の一族に取り込まれて何が起こるかなんて、想像するのも怖くないですか?
セイレン自身もその予感に震えているようだけど、果たしてこの先で彼女に待つのはどんな運命なのか。

 

いやぁ、もうぶっちゃけ悪い男に騙されてる感すごいよね!
無防備な寝顔で信頼を勝ち取るシーンとかあざとすぎて「ひえっ」と声が出たし、石媛との関係を問い詰められて「なにもなかった」と返したときも「うっそやろ」となった。
姉妹揃って騙されてるようにしか見えないんだけど、雄日子がセイレンの前で見せる寂しげな素顔が彼を非難することを躊躇わせるんです(いや、それもまたあざといんだけど!)(読者もまとめて騙されてる感倍増だな!笑)

 

あ〜〜〜怖いな〜〜〜〜〜

 

でも楽しいです。
これから中央に反旗を翻す雄日子の戦いは面白くなりそうだし、その中でセイレンと雄日子の関係がどうなっていくのか、その先で土雲の一族はどうなっていくのか、気になって仕方ありません。

土雲の一族自体が最後まで無関係というのは無いでしょうしね。
だってこれ天の神と大地の神の代理戦争っぽい様相を呈してきているし。
こういうの大好き。神代の終わりを感じさせる・・・・・・

 

カクヨムで続きを読んでもいいけれど、せっかくだし書籍版の続きを待ちたいと思います。

created by Rinker
KADOKAWA
著者 円堂 豆子 カバーイラスト 苗村 さとみ

 

スポンサーリンク
 
2

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。