呪われ陰陽師 賀茂斎の千年越しの憂鬱 /藤崎都



呪われ陰陽師 賀茂斎の千年越しの憂鬱 (富士見L文庫)【BOOK☆WALKER】

評価:★★★☆☆
2020年1月刊。
非モテ陰キャ陰陽師(ただしイケメン)という、なんだそれ???なヒーローのキャラが楽しい現代ファンタジーでした。
前世で結ばれなかった元恋人が現世で再会する話でもあるんだけど、本人たちは転生の事実は知っていてもあくまで別人格の扱い。
ただし振られた女が男にかけた呪いだけは持ち越しているので、なんだか他人の修羅場の尻拭いをしているような雰囲気が。
その前世の話は期待していたほど掘り下げられなかったので、微妙に消化不良ではありました。
陰陽師ならぬ「まじない師」のお仕事ものとしては結構面白かったので、続刊での掘り下げに期待したいです。

☆あらすじ☆
前世の呪いで陰キャになった陰陽師。「大事なもの」を代償に望み叶えます!
毎夜悪夢にうなされていた女子大生・楓。十二単の姫が「憎らしい……」とさめざめ泣く夢だった。
あるとき友人の恋愛相談で、変わり者だが腕利きと噂のまじない屋を訪れると、出迎えたイケメン陰陽師・斎から「今度はどんな呪いを掛けるつもりだ!?」と追い返されてしまう。初対面でそれってどういうこと!? それは連日のあの夢が関係しているようで——?
前世の呪いで陰キャになった残念陰陽師が、大事なものを「代償」に望みを叶えてくれるとしたら!?非モテ陰陽師と呪いをかけた張本人(?)の奇妙なまじない事件帖!!

以下、ネタバレありの感想です。

 

友人の付添で、まじない師・賀茂斎のもとを訪ねた女子大生の緒川楓
流れでそのまま「まじない屋」の蔵書整理のアルバイトをすることになるが、当の斎は楓に対して警戒心むき出し。

その理由は二人の前世にあった。

愛していた男の裏切りに怒り嘆き、来世の彼が誰にも相手にされず自分だけのものになりますように!!と呪いをかけた巫女・夕星
その呪いを受けた男・秋行の生まれ変わりである斎は、見事な非モテとなり、女子にキモがられ心の傷を負って陰キャ化。
そんな彼の前に現れた楓こそが、夕月の生まれ変わりなのです。

 

なんかもうこの時点で斎の不憫さがすごい。
そもそも秋行が夕星を振った理由は時代的に仕方ないことだろうし(まぁヒーロー的にはもう少し頑張れよって感じだし、夕星の恨み節に対して「ありがとう」はないだろうって思ったけど)、生まれ変わりといっても斎は秋行ではないのです。まったく別の人間。
斎自身は夕星に対しても楓に対しても「呪いをかけた厄介な女」以外の感情はないっぽいし。
他人の色恋の不始末を押し付けられて陰キャ化するとか可哀想でしょ・・・・・・

 

まぁそれは楓にも言えることなんだけど。
楓は楓で「前世のこととか言われても知らんがな」って感じなので、もはや呪いの件に関して二人で空回りしているような感じすらあります。
夕星もそんなに怨念込めるくらい好きだったんなら、ちゃんと互いの人格を引き継げるようにしとけよな!話が進まないじゃないか!

 

そういうわけなので、「前世の悲恋でこじれた転生カップルの話」を期待して読むと、若干の拍子抜けをしてしまうかも。
しかも結局非モテの呪いについては進展ゼロだったので、うーむ、この点はあまりにも消化不良。
斎と楓の話として読んでも、二人の間に何か盛り上がりがあるわけでもないので、ここでも物足りなさがあるんですよね。

 

それはさておき。

 

お節介な楓とやる気のない斎がコンビを組み、「まじない屋」に持ち込まれた依頼を解決していく物語としては面白かったです。
「まじない」と称しつつも、陰陽師として様々な術を行使する斎の活躍が楽しく、現代陰陽師ものとしても読み応えがありました。
結婚詐欺師退治とか、うじうじした年上男を攻略する女の子の話も面白かったけれど、個人的に一番好きだったのは愛犬の最期を看取るお話。
必死で延命を願う少年を諭す斎の姿がいつになく優しくて素敵だったし、その裏に彼自身の過去と心の傷が垣間見える構成がとても良かった。非モテの呪いの辛さを一番感じたエピソードでもありました。

 

この非モテの呪い、本当にどうするのかなぁ。
夕星の恨みっぷりが尋常ではないし、斎の被害者ぶりにも心が痛い。
斎がこういう陰キャになったのは要するに楓のせいなわけで、前世のことを言われてもな〜という態度に少しモヤっとする気持ちもある。

そこらへんをうまく解消しつつ、斎と楓として新たな関係を築くことはできるのでしょうか。
とりあえず次巻を待ちたいと思います。

 

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