ツンデレ悪役令嬢リーゼロッテと実況の遠藤くんと解説の小林さん /恵ノ島すず



ツンデレ悪役令嬢リーゼロッテと実況の遠藤くんと解説の小林さん (カドカワBOOKS)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

評価:★★★★☆
2019年4月刊。
楽しかったー!
「神の声」という名目の実況と解説を手がかりに、ツンデレな婚約者の可愛さに目覚めていく王子。
乙女ゲームの中のキャラクターに声が届いたことに驚きながらも、ハッピーエンドを目指して実況と解説に励む2人の高校生。
乙女ゲームの世界と現代日本の世界が不思議な形で繋がったことから始まる、最高に可愛いツンデレ悪役令嬢を愛で倒すラブコメディです。
悪役令嬢本人ではなく「婚約者の王子」の方に解説が届く、という設定が絶妙でした。
こんなの一緒になってニヤニヤしちゃうに決まってるじゃん〜〜!

☆あらすじ☆
隠したい本心がゲーム実況のせいでダダ洩れ!? 今最もカワイイ悪役令嬢!
王太子であるジークは突然聞こえた神の声に困惑した。
神曰くジークの婚約者・リーゼロッテは【ツンデレ】で、【破滅】を迎える【シナリオ】らしい……?
彼女のキツめの言動は、全て照れ隠し!? 神が解説する彼女の本心が可愛くて一人悶えるジークは、知る由もなかった。
実は神の正体が、ゲーム実況をするただの高校生だと……。
神託(※ゲーム実況です)を頼りに婚約者を救え! 隠したい本音がダダ洩れな悪役令嬢、バッドエンド回避なるか!?

以下、ネタバレありの感想です。

 

ある日聴こえた【神の声】によって、婚約者の言動の裏にある本音を知った王太子ジーク
一見すると傲慢で嫌味なリーゼロッテの言動も、神の実況と解説にかかれば本音が丸裸にされてしまうのです。
意地っ張りで素直になれなくて、でも優しくて照れ屋のリーゼロッテ
それを逐一目撃していくジークは、「私の婚約者が可愛すぎる・・・」と天を仰ぐしかなくて。

 

乙女ゲームの攻略対象であり、悪役令嬢の婚約者である王子。
そういう立場のキャラクターに実況と解説を聞かせるという設定がまず最高ですよね!
「なんだそれ、かわいすぎるだろう」と悶えて唸るジークは、私の心と完璧にシンクロしていました。
これは一周まわって真顔になるのもわかるし、さらに一周まわってニヤニヤが止まらなくなる。
婚約者に対するジークの愛で心は高まるばかりで、糖度も加速度的に上昇していきます。
終盤とか甘々の甘々でめちゃめちゃ楽しかったです。羞恥心の限界に挑戦しているよ、この王子様!

 

ツンデレの可愛さというものを徹底的に教示してやろう!という意気込みを感じる実況と解説も素晴らしい。
危うくシリアスな雰囲気になりそうな時でも、実況の遠藤くんが陽気に割り込み、解説の小林さんが懇切丁寧に真相を暴露していくので、残されるのはリーゼロッテの可愛くて不器用な本音だけ。
これがもう本当にキュンとしてしまう愛らしさなんです。
あと私、ツンデレ女子の涙目だいすきだわ。ゾクゾクする。
真っ赤な顔で目がうるうるしてツンが不発する女子、可愛すぎるよね・・・・・・

 

また、ジーク×リーゼロッテ以外の恋も楽しい本作。
特に実況の遠藤くんと解説の小林さんのカップルがめっちゃ好き!
なぜか異世界と繋がってしまった高校生2人の物語もしっかり描かれていて、高校生の青春恋愛ものとしても非常に良作だと思いました。

遠藤くんが小林さんに恋した気持ちとか思わず共感してしまうんですよね。それは好きになるわ〜!って。
野球を捨てた遠藤くんを救った小林さんの言葉とかね。視野狭窄の絶望感を、笑顔でこじ上げて吹き飛ばしてくれる感じが爽快で実に良い。
あのシーンの小林さんの自然体な優しさ、ほんと好きなんですよねぇ。

そんな小林さんに対する遠藤くんの「小林さん泣かせ上手だわ」って言葉も好き。
相手に感じる包容力や優しさを、気恥ずかしさと照れくささでコーティングして、懸命に茶化してる感。遠藤くんも負けないくらい可愛いな。

 

で、そんな遠藤くんの片恋の原風景が、彼らがリーゼロッテたちを「完全なハッピーエンド」に導こうと奮闘する原動力になっている、というのが更に良いのです。
「死んだらダメだ」というシンプルな気持ちを、ゲームのキャラクターに向ける。
こんな状況になっている理由は分からないけれど、見ず知らずのキャラクターのために「神」としてベストを尽くそうと祈る少年少女とか、めちゃめちゃ熱いなって思いました。
実況と解説はあんなに陽気なのに、真面目に真剣に「神様」をやろうとしてる。人の恋路に一喜一憂して、全身全霊でハピエンクリアを目指す二人に好感しか持てませんでした。

 

そして、その対象であるリーゼロッテがまた、本当に救われてほしいと願わずにいられない少女。
この巻のラストで特にそれを痛感しました。

今までは「ツンデレ悪役令嬢」としての(ある種の記号的な)可愛さに終始していたのに、最後の最後で「リーゼロッテ」自身の可愛さを描くのが上手い。
幼い頃に抱いた恋心を、貴族の義務感とプライドの奥底にしまいながらも、大切に抱えてきた一途な少女。
そういうリーゼロッテの内面を、彼女視点で描かれることの破壊力よ・・・・・・

あと、お父さんの「この子は、夢を叶えたのだな」のセリフに涙腺がゆるみました。
幼い娘の無邪気な恋心に水を差したこと、このお父さんなら、きっとすごく辛かったに違いない。
それでも恋を諦めきれなかった娘を、ずっと見守ってきた人なんだなっていうのも伝わるんです。こういう不意打ちの親子愛は泣いちゃうでしょ!

 

悪役令嬢のフラグ回避物語を実況解説で合いの手入れつつ陽気に突き進むコメディでした。
そのくせ、ふとした瞬間にキャラが発する言葉が優しく心に響く物語でもありました。
こういうの、本当に良いなぁ。

引き続き2巻を読みたいと思います。

 

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