絶対城先輩の妖怪学講座12 /峰守ひろかず



絶対城先輩の妖怪学講座 十二 (メディアワークス文庫)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

前巻の感想はこちらから


評価:★★★★☆
2019年12月刊。
古今東西の妖怪の正体を、独自の視点から新たに描き出す妖怪学シリーズ第12弾。
まるでシリーズの軌跡を振り返るような展開で、最終巻にふさわしい内容だと思います。
派手に盛り上がっていた前巻ではなく、身近な存在である「猫」をテーマにした話がラストだったのは、『妖怪』という存在に向き合ってきた本作らしいなと思ったりして。

☆あらすじ☆
傍若無人な黒衣の妖怪博士・絶対城の活躍を描く伝奇譚、第12弾!
『真怪秘録』をまとめる中で、妖怪学の限界を感じたという絶対城。熱意を失った彼は、文学部の非常勤講師として妖怪学を教えてくれないか、という織口からの誘いも断ってしまう。
そんな中、礼音が何者かに狙われていることが発覚。大切な人を守るため、事件の調査に乗り出す絶対城だったが、一方で、その一件の解決をもって妖怪学徒を廃業するとも宣言し——。
猫また、猫ばば、五徳猫。事件の鍵を握るのは『猫』!?
絶対城阿頼耶、最後の事件!

以下、ネタバレありの感想です。

 

妖怪学の限界を感じ、モチベーションを見失ってしまった絶対城先輩。
妖怪学への興味から、学部の転向を考え始めた礼音。

進路について考えはじめた二人が、「もしかしたら最後になるかもしれない」という気持ちで挑むのは、不思議な「猫」の正体でした。

 

どこにでもいて、人々から愛される猫。
創作物の大半で癒やし要因として扱われるこの可愛い毛玉を、よもやここまで恐ろしく描かれるとは・・・・・・
ただ、すごく怖い雰囲気で語られるオチが「人類は猫さまの奴隷であり、猫さまは支配階級である」みたいなノリなので「知ってた!」と思ってしまう可愛い話でもあるんですけど(笑)

 

身近だからこそ怖い存在。すぐ隣にある未知の恐怖。
そういうのって、まさしく「妖怪」のことだなって思うんです。

前回の白鐸との壮大な戦いも面白かったけれど、もともと妖怪とは人々が普段営む生活の中に潜むもの。
人の生活の中に忍び込み、人の恐怖を煽り命を狙う「猫」の在り方は、まさに原点通りの「妖怪」なのではないか――

だから、すごく「絶対城先輩の妖怪学講座」らしい最終巻だなぁと私は感じていて。
こういう身近な怪異に挑み、そのおかげで妖怪学への情熱を取り戻すというのは、シリーズ全体のオチとして非常に綺麗だと思うのです。

 

さて、様々な妖怪の謎を解き明かし、多くの冒険を乗り越えてきた絶対城先輩と礼音、そして杵松さん。
礼音と先輩が恋人同士になっても、三人の仲良しな距離感は相変わらずで、それにすごく安心して和みます。
きっとこの関係はこれから先も続いていくだろうし、これからも3人でまだ知らぬ妖怪の謎に挑んでいくのでしょう。

そういう未来を感じつつ、楽しい気持ちで読み終われた最終巻でした。
峰守ひろかず先生、お疲れ様でした。次回作も楽しみにお待ちしています!

 

スポンサーリンク
 
0

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。