異人館画廊6 透明な絵と堕天使の誘惑 /谷瑞恵



異人館画廊 透明な絵と堕天使の誘惑 (集英社オレンジ文庫)【Amazon】

前巻の感想はこちらから


評価:★★★★☆
2019年12月刊。
人を狂わせる図像術を用いた絵画。
現代では失われた技術を研究する少女と、彼女を見守る画商の青年。
微妙な距離感にある二人と、様々な技能を持つ仲間たちが、図像術にまつわる謎に挑む絵画ミステリー第6弾。
なにげに2年ぶりの新刊です。
待ちに待ったシリーズ。ようやく色々と動きが――!

☆あらすじ☆
千景のもとに「―もうすぐ僕は、絵を完成させる。見た人を不幸にする絵だ…」と脅迫めいた手紙が届いた。消えた図像術の研究者、有名な心霊スポット「切山荘」、四つの絵…点と点が線となり、やがて千景の過去へと繋がっていく。誘われるように、自らの失った記憶に向き合おうとする千景を透磨は案じ、守ろうと二人の距離は近づいて―?
待望の第六弾!!

以下、ネタバレありの感想です。

 

まず表紙がやばいよね!
1巻表紙なんて視線も合わせず距離も遠く、互いに意識してることは伝わるけど緊張感が半端なかった千景と透磨。
それが徐々に表情が和らいでいって(まぁどっちも基本的に仏頂面なんだけど)、千景が透磨をちらちら見るようになって――

 

そして今回!

手を繋いで・・・・・・・・・ない!(帯で隠された状態の表紙見てドキドキしてた)
でも掴んでる!透磨が千景の手を掴んでる!

あえて千景との距離を一定に保っていた透磨が千景の手を、チャームがついているほうの腕を掴んでる・・・!
千景も困り眉だけど嫌そうじゃないし、なんだこの空気は、何が起こってるんだ・・・・・・

 

というわけで、6巻本編を読み始める前からテンションが上がっていた私です。
この表紙は本当に良いですよね。内容を読んで更に強くそう思いました。

 

千景を繋ぎ止めるかのように、あるいは道を示すかのように、もしくは縋りつくように。
彼女の腕を掴む透磨の姿がとても想像力を刺激するし、本編の彼の心境を思い出してしまうんです。
今回の透磨は、いつものポーカーフェイスがうまくいかず、焦りと困惑を抑えきれなくて本音がボロボロこぼれてましたから。いまだかつてないほど素直だったのでは??

 

千景から透磨との記憶を奪った、かつての誘拐事件。
その真相に導こうとするかのように現れた、図像術を操ると自称する謎のアーティスト・真柴安吾
千景を自らのもとへ誘惑する真柴の存在は、付かず離れずの距離にいた千景と透磨を否応なしに刺激し、誘拐事件の真実を暴露させていきます。
これまで匂わせられてきた様々な伏線が回収され、物語が一気に進んだように感じました。

 

千景自身にとっても、見知らぬ自分を突きつけられる試練の回。
自分がどんな人間なのか分からないというアイデンティティの危機でもあったわけだけど、そこを透磨や仲間たちの存在を支えに乗り越えるというのは熱い展開ですよね。
きっと帰国直後のハリネズミ状態だった千景だったら耐えられなかったんじゃないかな。たとえ自分を危険視しても、自分がいなくなれば解決とか思いそう。

 

千景が自分と向き合うなかで、透磨に対してもどんどん素直になっていくのが、なんだか可愛くて面白かったです。
図像術を本格的に学ぼうと考えた理由とか。
透磨は千景に奪われたとか言っていたけれど、千景にとっても透磨が全てだったわけじゃないですか(そこに無自覚なのが、千景のたちが悪いところなんだけどw)

 

なんだかんだ衝突しつつも、誰よりも身近で、信頼し、存在を預け合える関係だった千景と透磨。
あまりにもエモすぎるんだよなぁ・・・・・・
今までは記憶喪失がネックになっていたけれど、今回でそれも乗り越えたし、彼らの関係はここから劇的に変わっていくんじゃないだろうか。
みんな大好きショック療法口封じキスというアレも済ませちゃいましたからね!!(ああいうシチュのキス何ていうの?)

 

久しぶりの新刊だったけど楽しかったです。
ところで色々と謎が明かされたんですけど、これって続くんでしょうか。父とも和解じゃないけど穏やかにまとまった感じだし。
どこにも最終巻とは書いてないから続くのかな?
次も間があきそうですが、楽しみに待ちたいと思います。

 

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