突然ですが、聖女になりました。〜世界を救う聖女は壺姫と呼ばれています〜 /六つ花えいこ



突然ですが、聖女になりました。~世界を救う聖女は壷姫と呼ばれています~ (アリアンローズ)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

評価:★★★★☆
2018年12月刊。
面白かった〜!
助けを求める声に応えた女子高生が、異世界で「聖女」として魔王討伐の旅に出る王道異世界召喚ファンタジー。
王道。王道です。主人公は壺だけど。事前に聞いてはいたけれど、なるほど、これは壺・・・!
あと、この主人公とても好きです。
天真爛漫なお人好し。そしてパワフル。
苦しいことも辛いことも沢山味わうけれど、その度に彼女の芯の強さを感じました。ぶっちゃけ序章で恋に落ちました。私が。

ちなみに本作は『聖女の、妹』と同じ聖女シリーズの3作目(と言っても書籍化は2作目)。
単独でも面白い作品ですが、『妹』を先に読んでいたおかげでニヤニヤできる箇所もあり、とても楽しかったです。

☆あらすじ☆
「我が世界をお救いくださいませ、聖女様」
桜が舞う春のある日、虎屋笑美は異世界の魔法使い・サイードに声をかけられた。
幼い頃から異世界に憧れを持っていた笑美は、ふたつ返事で承諾したけれど、彼女が期待されていたのは、“異世界を救うための聖女”ではなかった!?
「ねえサイードさん、謝ってくれてもいいのよ?」
聞いていないことだらけの異世界を救う旅の中で、壺姫と呼ばれるようになった聖女が贈る、涙と笑顔の異世界トリップストーリーが大幅加筆で登場!

以下、ネタバレありの感想です。

 

桜が舞い散るなかで、突如現れた魔法使いサイードによって世界を救ってほしいと頼まれた女子高生・虎屋笑美
それに対する笑美の答えは、満開の笑みでの「よし来た!どんと来い!」だった――

 

この冒頭のシーン、めちゃくちゃ良くないか!?!?

 

挿絵の笑美の笑顔がまた素敵で破壊力抜群。こんなの惚れちゃう!ってなりました。
だってこれは惚れるでしょ。

自分たちだけではもう世界が救えないと嘆き、現れた勇者の無茶振りにも疲れて、大事な師匠の生命はかかっていて、身勝手は承知で他の世界の人間を呼び出し、更には死地へと連れて行く。

そういう後ろめたさとか葛藤が少しでもあれば、なおのこと余計に、あの綺麗で快活な笑顔に惚れちゃわないだろうか。
聖女としても、少女としても、あまりにも魅力的すぎるもの。
ああ、ここらへんのサイードの気持ちをインタビューしたい・・・!

 

というわけで、序盤でがっちり笑美にハートを掴まれてしまった私。

しかし、そこから始まる笑美の異世界冒険譚は、あまりにも、奇妙奇天烈で珍妙なものでした。

だってまず壺だからね。
あんなに可愛かった美少女フェイスが壺に!嘘でしょ!笑
「ツボ」を「壺」に訳して「壺姫」にするって・・・・・・なんという・・・・・・

しかも、笑美が聖女として召喚された理由も次々と判明。
あれだけ意気揚々と救世を決意した子になんというむごい仕打ちを!と震えずにはいられませんでした。
サイードは謝るべきだし、笑美はもっと怒っていい。

 

でも、笑美は強いんです。
悲惨な仕打ちに傷ついてるし、たくさんの嘘にも傷ついている。
それでも彼女の根っこはいつだって明るく、自分の名にふさわしく生きようと頑張っているんです。その気高さがとても素敵で、ますます惚れる。
顔が見えなくても、声が届かなくても、それは笑美にとって大した障害ではなくて(いや大問題ではあるんだけど!)、彼女の本質を曇らせるものではないのでしょうね。

 

そんな笑美を召喚したサイード。
こんな惚れずにいられない美少女(壺だが)を相手にして、そんなツンツンした態度は逆にあやしいぜ!!とか思っていたので、サイードがどれだけ毒舌を吐こうが吹雪を巻き起こそうが、私のニヤニヤは止まりませんでした。
だってさぁ、壺の梱包材がわりに抱いて寝るって「えッッッ!?」ってなるじゃん。
匂いに慣れきって安心してしまう距離感って!?ってなるじゃんか。
途中、笑美が「いつも通りで平常通りのサイード」に落ち込むシーンがあったけれど、いやいや待ってくれ、果たしてそれは世間一般でいう「平常」なのだろうか。ちょっと落ち着いて考えてほしいなぁ(笑)

 

はー、なにこれ楽しすぎでしょ。距離感狂ってる両片思い、最高ですね!

 

で、そんな笑美とサイードの微妙な関係を中心に描かれていく魔王討伐の旅。
癇癪持ちの冬馬が立派な「勇者」に成長したり、幼馴染年の差ラブが予想以上に濃厚にぶっこまれたり、サイドストーリーもたっぷりと楽しめる内容でした。
「壺」になった笑美の活躍ぶりも良かったですしね。とてつもなくシュールな絵面だったけれど。

 

なんというか。思わず口もとが歪む滑稽な笑いと、全く笑い事じゃない緊張感ある状況によって、個性的で独特な空気をつくりだす作品だと思いました。
コメディとシリアスの配分って物語を読む上で結構注目する要素なんだけど、ここまで混然一体となっていると感情が度々迷子になってしまいます。
笑えばいいのか、戦慄すればいいのか・・・・・・そうか、同時にやればいいんだ!(迷子)

あ、とても褒めてますよ。すごい楽しかった!
シュールでコミカルな壺姫の活躍と、悲惨でシリアスな異世界の冒険。
どちらも徹底したからこその面白さだったと思います。でも魔王戦のオチは笑ったよ!

 

オチといえば。
笑美が乗り気で召喚に応じた理由ってサイードへの恋ありきだと思っていたんですが、それだけじゃないんだよというどんでん返しにびっくりしました。
いやぁ全然気づかなかった。笑顔ね。そうか笑顔か。
笑美の美少女フェイスとか、元気なのに気品のある振る舞いとか、由来を知れば納得しかありません。
恋のために世界すら渡るパワフルさは父譲りだったんですね。こちらも納得!

 

もはや聖女様というより無敵のお姫さまだったラストの展開も最高に楽しかったです。
異世界召喚女子高生はセーラー服じゃないと!という分かりみ深いこだわりも達成できて満点満点!
まぁ問題をクリアしなきゃいけないサイードは大変そうだけど・・・・・・姫で聖女でJKを嫁にすることを考えれば仕方ない苦労でしょう。うんうん。それくらい頑張らないと父の壁が高そうだ。

 

楽しかったなぁ。
聖女シリーズはあと1作、未書籍化の「聖女の、遺産」という作品があるようなので、こちらも読んでみようと思います。

◎聖女の、遺産(小説家になろう)
https://ncode.syosetu.com/n8760dp/

 

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「突然ですが、聖女になりました。〜世界を救う聖女は壺姫と呼ばれています〜 /六つ花えいこ」への2件のフィードバック

  1. でしょう!でしょう!?と記事を読みながらニヨニヨしてしまいました!

    笑美が本当に魅力的でパワフルで、愛されて真っ直ぐ育ったんだなぁ感が可愛すぎますよね!異世界召喚に応じた理由も凄く納得しました。美少女フェイスと虎屋という苗字で察せなかったのが悔しい…!(笑) 六つ花さんの作品は色々ちょっとずつ繋がっているので知っているとニヤニヤさせて貰えるところがとても気に入っています。
    サイードの苦労は仕方ないですよね。高過ぎる父の壁を越えられないようじゃ笑美はあげられない(笑)

    1. ゆりさん、コメントありがとうございます。

      壺姫もめっちゃ面白かったですー!!!
      笑美、愛されて育ってる感じがあるの分かります!捻くれたところが一切なくて、のびのびとした健やかな精神性が素敵でした。

      彼女のルーツに私も全然気づけなかったので、ラストで「あーーーーッ!!!」ってなりました(笑)くやしい〜〜!

      新規読者に引っかかりを与えない程度で、既存読者にサービスする感じですよね。上手いなぁと感嘆しちゃいました。これは他の作品を読む楽しみが増していく・・・!

      笑美の「全部捨てない方法を一緒に考えて!」というおねだり、ナチュラルにお姫様!って感じがして最高に可愛かったです。あれはサイードも無茶ぶりに全力で応えざるをえない。
      父の試練も兼ねてそうですしね。でもその後に義父子になることを考えるとサイードの苦労は尽きませんね!笑

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