【WEB小説感想】ルクトニア領百花繚乱円舞曲 /武州青嵐(さくら青嵐)


◎ルクトニア領百花繚乱円舞曲(カクヨム)
https://kakuyomu.jp/works/1177354054883311781

書籍化された子ども世代編の感想はこちらから

12月に刊行された『ルクトニア領繚乱記 猫かぶり殿下は護衛少女を溺愛中』(角川ビーンズ文庫)が面白かったので、カクヨムで連載されていた親世代編も読んでみました。
なんでも角川ビーンズ小説大賞を受賞したのはこちらだったとか。
『ルクトニア領繚乱記』内で語られたヒーロー両親の話が好きな感じだったので(どこまでも追いかけていくパパ・・・!)、ちゃんと読めて嬉しい。こちらも面白かったです。
「ぶさいくな女どもを(俺の美貌で)蹴散らしてくれる!」とか宣言しちゃう系性格最悪傲慢女装男子が素敵。

☆あらすじ☆
アレクシア・フォン・ヴォルフヤークトは、父の死去に伴い、「働く」か「嫁に行くか」の選択を迫られていた。
嫁ぎ先がなかなか決まらず、焦って就職した先は、先王の遺児ジュリア・オブ・ルクトニア姫の家庭教師。
ところが、この姫君。実は『女装男子』だった。しかも、性格が少々……。あいたたたたた。
政敵・政変・災害が次々に襲いかかるけれど……。
負けるな、アレクシア。頑張れ、アレクシア。
いつか、運命の王子様に出会えるまで!

以下、最終話までのネタバレあり感想です。
書籍版の内容を踏まえた感想ですので、ご了承ください。

 

異国の亡命貴族だった父を亡くし、後ろ盾もないまま就職先を探していた主人公・アレクシア
そんな彼女の前に突如飛び出してきて、そのまま雇ってしまったのが前王の遺児であり、ワケアリの女装王子ジュリアだった。
彼こそが、『ルクトニア領繚乱記』では「早々に退位してルクトニア領に封ぜられた先代の賢王」として紹介されたいたユリウスなのです。

 

子供世代の書籍版を読んでいるので、アレクシアとユリウスが最終的にどんな結末を迎えるのかは知っていたわけだけど、それを踏まえても面白い身分差ラブロマンス(女装付き)でした。

 

というか、まず「この父にしてこの子あり」だったんだなって。
息子は女装して貧民街を駆け回り、父は女装して王位継承争いから身を守っていた。と書くと、この父子の女装の経緯はだいぶ違うんだけど、女装した自分に対する自信満々っぷりはそっくりなんですよね。
上にも書いたけど「ぶさいくな女どもを蹴散らしてくれる!」のセリフは笑った。傲慢〜〜〜!(可愛い)

 

とは言え、自主的に女装していた未来の息子とは違い、ユリウスの女装は強制されたもの。

男であるのに女の名で呼ばれ、女の衣装に身を包み、女としてダンスを踊らなくてはならない。

そんな自分に対する葛藤と嫌悪がこぼれる瞬間の、ユリウスの切ない感情に心が痛くなります。
男としてのアイデンティティを抑圧された結果、自己評価が損なわれ、勝ち気で生意気な性格の割に従順という歪な人物像になってるのがね・・・・・・それはとても息苦しい生き方なんだろうな、と思うのです。

 

そんなユリウスの心のうちに少しずつ触れていくアレクシア。
アレクシアとユリウスの、気安くて雑な掛け合いがとても好きです。
王位継承争いとも無関係で、ユリウスに対してもあまりかしこまらないアレクシア。
彼女といるときのユリウスは、とても楽に息ができているように見える。
そんな素のユリウスに対してアレクシアはどんどん惹かれていくのだけど、このあたりの彼女の心の動きは可愛らしくて繊細。けれど、途中から徐々に儚いものへと変わっていくのです。

 

『ルクトニア領繚乱記』でも思ったけど、叶わぬ恋に心を痛める女の子の心情描写がとても丁寧ですよね。思わず感情移入してしまいます。
ハッピーエンドだと知っていたから落ち着いて読めたけど、これは知らずに読むのも楽しかっただろうなぁ〜

 

さてさて、このWEB版を読むにあたって何を期待してたってアレですよ。父が母をどこまでも追いかけてきたっていうエピソード!
期待は裏切られませんでした。めっちゃ満足!

 

特に逃げたアレクシアを追いかける決心を固めた瞬間のユリウス視点が最高なんですよ。
戦場の水中でそんなことばかり考えていたとは、煩悩の達人すぎない?
でも女装を強いられる自分を嗤うユリウスよりは、性欲剥き出しでアレクシアに逆ギレするユリウスの方が大変好ましかったです。
「許せん・・・・・・っ」とか笑うでしょ。執着心が高まりすぎてアレクシアなしでは生きられなくなったユリウスが楽しすぎました。

 

そしてちゃんと子供世代編へと繋がるハッピーエンド。
でもエピローグは「ルクトニア領繚乱記」と設定が少し変わってますね?あちらでは幼馴染は1歳差でしたし。
もう一度「ルクトニア領繚乱記」の方を読むと、色々細部の違いやら小ネタを拾えたりして楽しめるのかもなぁ。

 

 

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「【WEB小説感想】ルクトニア領百花繚乱円舞曲 /武州青嵐(さくら青嵐)」への2件のフィードバック

  1. 初めまして。さくら青嵐(武州青嵐)と申します。
    突然のご連絡、申し訳ありません。

    このたびは、『ルクトニア領繚乱記 猫かぶり殿下は護衛の少女を溺愛中』の感想を掲載していただいたにも関わらず、『百花繚乱』まで……。

    楽しんで頂けたのなら、これ以上の喜びはありません。
    ありがとうございます。

    みかこ様に、ルクトニアからの良い海風が届きますように。

    1. さくら青嵐先生、コメントありがとうございます。

      この度は受賞おめでとうございます!とても楽しく拝読いたしました。
      ルクトニア領の親子2世代カップル、どちらも恋愛面は切なくも可愛く、成長・冒険面はもどかしくも痛快で、本当に面白かったです。

      さくら青嵐先生の、益々のご活躍をお祈り申し上げます。
      本当に微力ですが、私もネットの隅っこから応援いたしますね!(๑•̀ •́)و✧

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