魔女の花嫁 seasons beside a witch /空伏空人



魔女の花嫁 seasons beside a witch (LINE文庫エッジ)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

評価:★★★★☆
2019年12月刊。
死にたくないと願う少年と、彼を弟子にした魔女の物語。
陽気で、ひょうきんで、構いたがりで、少しだけ影がある。そんなミステリアス美女は好きですか?大好きです!
このお姉さんに、生意気で陰気で皮肉ばっかり言うような少年がセットなんですよ。最高。とても良い組み合わせのおねショタでした。
油断ならない魔術の世界で師弟になった二人の、優しさと欺瞞が折り重なる不思議な距離感が楽しかったです。

☆あらすじ☆
ひとつ屋根の下、綺麗な魔女のお姉さんと暮らしてみませんか?
不治の病に罹った少年・桑折冬至ははずれの森に住む変わり者の魔女・ミーズに出会う。
その魔女は対価を払えば、どんな願いでも叶えてくれるが、願いの対価は彼女の気分次第。
珈琲を淹れることから、心臓を取られることまで、何を要求されても文句は言えない。
冬至の願いを聞いた魔女が伝えた対価は――。
「ふふっ、今日から君は私の弟子だ」
「へ?」
これは『僕』と『魔女のお姉さん』の季節をめぐる物語。

以下、ネタバレありの感想です。

 

実在しない麻峯三丁目。そこに棲む魔女は、代償と引き換えにどんな願いでも叶えてくれる。

そんな噂話どおりに、魔女・ペトロニーラ・ディ・ミーズに出会った桑折冬至は、悪意に満ちた死の呪いをかけられた少年だった。
呪いを弱体化させるためにミーズの弟子となった彼は、名前を「ハル」と改め、彼女とともに不思議な魔術の世界で暮らし始めることなるのです。

 

ふざけたことばかり言って、何かあればすぐにハルにぺたぺたと触り、何かと師匠ヅラするのが楽しそうなミーズ。
もうね、めっっちゃめちゃ可愛いお姉さんでした。
師匠っぽく振る舞う度にハルから「できてないよ」的なツッコミを入れられるんだけど、そんなこともなくて。
なにげに過保護で、ハルのことをとても大切にしている。ハルの言動からミーズさんの教えがぽろりとこぼれる瞬間もあって、「師匠」としてすべきことはしっかりできている感じ。こういうクセ者っぽくて弟子に甘い師匠キャラ大好きです。

 

一方、そんなミーズさんの弟子となったハルは、どこか生気が薄くて皮肉屋で小生意気な少年。
ハルは「死」に対して過剰なまでの恐怖を抱えているんだけど、その割に生きることにガッツがあるわけでもなくて、そこが歪で陰気な雰囲気も醸している少年でした。
「生きていたい」という願いと「死にたくない」という願いは別物だという話、ハルを見てると納得できるんですよね。
ハルは死にたくないと怯えているけれど、「でも死んでも仕方ないかな」という考えも常に併せ持っている。
その生命力の薄さが、彼自身の存在感の儚さに繋がっていて、この子に対する不安を煽るんです。大丈夫かいなって。

 

でも、ハルが死に怯えて、恐怖で吐いて、前後不覚に陥ると、後ろからふわっとミーズが抱きしめてくれる。
不安になるほど儚い存在感のハルを、ミーズが現実に繋ぎ止めているかのよう。
普段はニヤニヤとハルに構い倒すミーズが印象的なだけに、ギャップがあるんですよね。そこが良い。

 

ただ、これは、不幸な少年を優しいお姉さんが癒やして救う話ではなくて。

 

むしろ本当は真逆のお話で。

 

隠している情報、隠している感情、見えるもの、見えないもの、そういう様々な要素が組み合わさることで、行動の意味は簡単に裏返る。
でも、そうやって裏返った意味すら、別の見方をすることで更に裏返る。

 

何が正しいのか、何が悪いのか。善意とは、悪意とは、誰にとっての感情なのか。

 

色々と考えてしまうラストでした。
ミーズさんはそんなつもりはなかったにしても、ハルが救われたならそれで良いじゃないかと思ってしまう。
善意も悪意も、受け手次第なところがある。それだけではないけれど、そこも忘れてはいけないはず。

 

あと、師匠だの弟子だの言いつつ、どことなく気乗りしないごっこ遊びみたいな関係が、最終的に本物の絆になったのも良かったです。
ここからが本当の師弟のはじまりなんですね。

 

師弟・・・・・・・・・

 

師弟・・・?

 

「いつまでも巣から離れぬ我らは番」って・・・・・・(そしてタイトルを確認する)(ときめく)

 

綺麗に終わってるけど続きも読みたいなー!シリーズ化を楽しみに待ちたいと思います。

 

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