お狐様の異類婚姻譚3 元旦那様と鬼の嫁入りに巻き込まれるところです /糸森環



お狐様の異類婚姻譚: 3 元旦那様と鬼の嫁入りに巻き込まれるところです (一迅社文庫アイリス)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

前巻の感想はこちらから

評価:★★★★★
2019年11月刊。
お狐様と薬師の少女の甘くてこわい攻防を描く和風ファンタジー第3弾。
3巻を読み終えてふと思ったのですが、この作品面白すぎませんか??本当にめちゃんこ面白くない???

あやかしが支配する世界の風習にまでこだわった設定、
その設定が後から後から意味を重ねていく物語の構成、
そして鮮烈な存在感で心を惹きつけるキャラクターの裏表。

完璧なんですよ。求めるものを最高水準で与えられている実感がある。
和風ファンタジーで面白いものを読みたければコレを読め!ってところまできた。
このシリーズに対する愛が最高値に達して頭がバグッてる自覚はあるけど、それにしたって面白すぎるんですよ・・・!

そしてコミカライズ連載開始おめでとうございます。
コミカライズ担当の方の絵柄が原作担当の凪さんの雰囲気に近くて嬉しい。こちらも応援せねば!

☆あらすじ☆
神隠しにあい、もののけたちの世界で薬屋をしている雪緒の元旦那様は八尾の白狐・白月。婚姻してすぐに離縁された雪緒は、彼が信用できず復縁を断り続けていた。そんなある日、鬼の嫁入りの祭儀の混乱の中、雪緒が鬼にさらわれてしまう。白月は、雪緒を取り返そうとするが――。え? このままだと私が鬼の嫁にされてしまうってどういうことですか!? 大人気異類婚姻ラブ第3弾!

以下、ネタバレありの感想です。

 

水無月の祭事である「鬼の嫁入り」に備える雪緒。
白月が連れてきた半神半人の少女薬師・伊万里の存在に心を揺らしつつ、雪緒は祭事の準備を粛々と進めていきます。
しかし肝心の祭事当日、何らかの手違いによって鬼に攫われてしまいーー という第3巻。

 

もうね、冒頭の鍋をつついてるだけのシーンから面白いのがズルい。
白月と宵丸が喧嘩しながら仲良くカニ鍋を食べてるの可愛すぎるでしょ。この脱力感最高かな??
そこからの料理の隠し味の話も楽しいんですよね。(好きですよ、ばかばか)って心で愚痴る雪緒が可愛すぎなんだよなぁ。

 

さて、今回の本題は「鬼の嫁入り」。
民俗的かつ幻想的な「鬼の祭事」は、設定を読むだけでもワクワクと胸が高鳴りました。
鬼と水神、花嫁行列と水分の神事。
それはどういう形で進行し、そこで何をすれば良いのか。
風習の意味にも、言葉の意味にも、徹底的にこだわっているからこその読み応え。まさに神は細部に宿る。
ベースとなる設定・世界観に強度を感じるから、そこで紡がれる物語に安心してどっぷりと浸れるんです。こういうところが好きなんだ。

 

しかもその設定は、話が進むにつれて意味を重ね、深め、増していくわけで。
表面的なことを知っていても、そこから一歩進まないと裏に潜むものまで掴めない。
まだ知らない事実や隠された事情もあれば、信じていたものが偽りだったりもする。
奥が深くて恐ろしいほどで、それはまさに怪や妖の世界にふさわしい。
「あれはそういう意味だったのか」という驚きで、何度心を殴られたことか。
もう本当に惚れ惚れしちゃう構成です。

 

ちょっと抽象的な感想になってきたな。切り替えます。

 

さてさて、新キャラの登場ですね。鬼の三雲さん!!
キャラデザがめちゃ麗しい。それでいて内面は可愛さ全振りの一途キャラとか。これは推せる・・・!
鬼の愛が恐ろしいのは死後だけだと思えば(それも逆にエモい)、これまで登場した誰よりも雪緒に優しくしてくれそう。
まぁ誘拐犯なんでアレですが(誘拐犯ばかりだな)
でも夢と現が混ざり合う時間に、鈴の音と共に切なく雪緒を呼び続ける三雲はとても素敵で・・・・・・鬼さんこちら、手の鳴る方へ・・・・・・
あのへんの御伽噺というか怪異譚っぽさは最高でした。そのまま連れ去られそうな危うさが特に良かった。

 

まぁ三雲がどれだけ誘惑しようと雪緒の心は白月のものなのですが。
そもそも三雲は腹芸ができるタイプではなさそうだし、それだけで雪緒の好みから外れそう。
あれだけ狐に化かされて謀られて苦労してるのに「自分を振り回してくれる人が好き(意訳)」とかいうのがね。呆れるほど筋金入りの恋心です。

 

そんな雪緒の好みド真ん中をいく白月は、雪緒を救おうと何度も必死に動いていたのが印象的でした。
てかなんか普通にヒーローみたいでしたね!びっくり!
救出作戦3回目あたりで思わず笑ってしまったんですけど(白月さま健気かよ・・・)、あのシーンこそ今回の裏モチーフ・花一匁
狐の一族が鬼の一族の前に立ち塞がって指差して、あの子が欲しい。あの子じゃわからん。相談しましょ。そうしましょ・・・・・・(童歌モチーフ好きすぎる)(今回の章題も良かった)
花一匁のシーンは白月たちの動作もセリフも芝居がかっていて楽しく、挿絵もまた冴え冴えとした美しさ。
緊迫感と滑稽さが絶妙に入り混じる鬼と狐の花一匁。何度も反芻するほど心に残るシーンでした。

 

雪緒が巻き込まれた「鬼の嫁入り」騒動の結末がまた最高。
狐は化かすものですよ!知ってた!けど本っっっ当に性悪だなぁ!笑
三雲に同情してしまった読者は結構多いのでは?私は同情したので三雲さんのリベンジ待ちです。ラストの流れ的に再登場ありますよね??

 

そして一連の騒動の元凶についても一段落・・・・・・したのか?

 

よ、宵丸〜〜〜〜〜〜〜!!

 

1巻2巻と、のほほん味方側ポジションだったのに!ここにきて!ここにきて、これかッ!!
あやしいあやしいと思いつつ、いざ真相を明かされると衝撃を受けずにいられない。もうなんなの好きすぎる。
宵丸が苗字を知るくだり、糸森さんらしい言葉遊びと伏線回収にゾクゾクが止まりませんでした。
設定も構成もハマりすぎて美しい。本当に、なんて無駄のない・・・・・・これはもう芸術では??

 

それにしても、やはり怪とは、美しくて、可愛くて、怖いものなんですね。
雪緒は伊万里を許し、宵丸を追及しなかったけれど、それは彼女の優しさでも善意でもなく、人の身で怪の世界を生きるための処世術でしかなくて。
そういう内面の世知辛さがまた味わい深くて良いんですよね。
だって彼女はどれだけ怪に愛されても、その愛を信じていない。少しでも驕れば手のひらを返される。
そうなれば力を持たない雪緒に何ができるものかと畏れている。
まるで愛玩動物のよう。人が猫を可愛がるように、怪は人を可愛がるんでしょう?ああ、なんて恐ろしい魅惑の世界・・・・・・

 

とはいえ、ようやく白月が腹を括ったようなので、少しは大丈夫なのかな?
どうなんだろう?そう上手くはいかないようですが??

続きもとても楽しみです。三雲再登場まで待機!

 

伊万里ちゃんの出番、今後も増えてほしいです。
伊万里と話してるときの雪緒って、彼女の抜け目のなさが浮き彫りになるんですよね。
パワーバランスが雪緒の方に傾いているというのもあるかも。
許さざるを得ない状況とはいえ、雪緒の本音もだいぶ許してるようなので、このまま険悪に仲良く女子トークを繰り広げてほしいです。目指せ悪友!

 

なんか今回は千速の可愛さがパワーアップしていたような???
モフみがすごくて可愛さの暴力。
雪緒の浮気防止装置と化していますが、誰を選ぶよりも千速をモフッていたほうが幸せな気がします。
すぐに御供になろうとする千速は完結まで生き残ることができるのか・・・・・・

 

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「お狐様の異類婚姻譚3 元旦那様と鬼の嫁入りに巻き込まれるところです /糸森環」への2件のフィードバック

  1. めっっちゃ面白かったですよね!!特にラストの構成はもう、本当、ぞわわっと……!感想読みながら全力でうんうんって頷いてしまいました!
    やっぱりみかこさんのブログ記事は好きだなぁと再確認です。

    それにしても白月様は完全に雪緒に落ちたのか、まだなにか謀っているのか、天神化計画はどうなっているのか、雪緒の名前を察しているのか(それとも知っているのか)結婚とか鬼とか宵丸とかもう気になるところが多すぎて……!取り敢えずまだ糸森作品は殆ど読めていないので、そちらに手を出して待機してみようと思います!
    乱文失礼しました!

    1. ゆりさん、コメントありがとうございます。

      本当にめっっっっちゃ面白かったです!
      ラストの構成、今までの伏線を回収しつつ、イメージをぐるりと反転させるのが鳥肌モノでした。
      こんな愉しいどんでん返し、これから何度味わえるんだろうと思うとワクワクが止まりませんね・・・!

      ブログ好きと言ってもらえて嬉しいです〜〜〜(´;ω;`)
      頑張って更新していきます!

      白月さま、諦めの悪い狐なので、まだ完落ちじゃない気がするんですよね。
      最後のやけっぱちプロポーズはときめきましたが、そんな素直なお狐様でもありませんし。
      あれだけ可愛くデレても「まだ何か隠してるでしょ!」と疑ってしまうメインヒーローに対する信頼のなさ(笑)
      でも、天神化計画はストップ状態なのか、寿命問題をどうするつもりなのか、本当に色々と気になりますよね。

      糸森作品、どしどし読んじゃってください!
      どれも名作揃いですので!ぜひぜひ(*^^*)

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