冥王様が通るのですよ! /木口なん



冥王様が通るのですよ!【Amazon】【BOOK☆WALKER】

評価:★★★☆☆
2019年10月刊。
魔力の高い人間を殺せば殺すほど凶悪に進化していく亡霊主人公の虐殺ファンタジー。
物理や化学の知識を下敷きに強力な魔法が練り上げられていく、理系なファンタジーだったことも印象的でした。
個人的には主人公とヒロインの関係が結構好き。
人間たちからすると迷惑極まりない関係になりそうな雰囲気ですが、ここまできたら二人の道がどこへ辿り着くのか見てみたいものです。
というわけで2巻に期待。

☆あらすじ☆
不治の病で入院していた青年・修がある日目を覚ますと、そこは異世界の見知らぬ森だった。
……しかも、死の魔法を司る幽霊として。
原因不明の状況に、当然彼も取り乱すかと思いきや、むしろ彼のテンションは爆発寸前。好奇心旺盛な彼は、生前からの願いだった「未知の存在を研究し尽くす」ことを胸に、魔力や魔法、モンスターなどなど、異世界の不思議を探求することに。
ひとまずは出会った少女アイリスを引き連れ、モンスターの魔力を吸収してみたり、騎士団のメンバーを魔法の実験材料にしたり、街も王都も研究と称して火の海へ変えたりなど、心の赴くまま旅をしていく。
その折、アイリスが人間たちに連れ去られてしまい……。
異世界を恐怖のどん底へと突き落とす、慈悲なき冥王様の爽快瞬殺アクションファンタジー!

以下、ネタバレありの感想です。

 

原因不明の、まるで「呪い」のような難病によって命を落とした青年・高光修
幽霊(ゴースト)の魔物として異世界に転生した修改めシュウは、魔物や人を「吸命」することで少しずつ進化を重ねていく。
やがて「精霊」へと進化を遂げたシュウは、落ちこぼれの少女アイリスと気まぐれに関わり、彼女の交流を通してゼロから感情を育てていくことに。

一方で、前世の知識によって物理法則に則った形で魔法を鍛えていくシュウ。
どんどん強力な魔物として育つシュウを、魔物と対立する人間たちが察知したことから、人間とシュウの敵対が不可避のものとなってしまう―― というストーリー。

 

あとがきで作者が「生粋の理系」を名乗るだけあり、魔法というファンタジーな仕組みをいかに科学的に構築するか、ということに重点を置いた作品だったように感じました。
めっちゃ説明するんですよね。
起点こそ魔力だったりするけど、そこから生まれるエネルギーや現象は全て物理法則に支配されているらしく・・・・・・
まぁ私は完璧に文系人間なので、詳しく説明されても「ふ、ふ〜〜ん?なるほど??」って感じで読むしかなかったのですが、それでも異世界ファンタジーでありながらSF小説を読んでるような感覚に至ったのは新鮮で面白い読み味でした。

 

ただ、少し気になったのは、バトル中の解説が長いのでバトルそのもののテンポが少し抑え気味になったところでしょうか。
戦闘の緊迫感や迫力は少し犠牲になっていた気がする。解説自体は面白いので痛し痒しではあるのですが。

 

さて、「現代知識」と「死魔法」という最悪の組み合わせで恐怖の冥王へと至ったシュウ。
本人的には「やられたからやり返す」という至極自然な流れの結果ではあるものの、なんかもう、これ、人間側に思わず同情してしまいます。
いや、シュウは悪くない。というか善悪で語る話ではないのでしょう。
でもさ、これそもそも神子姫の予言がなければシュウもアイリスも穏やかに暮らしていけたのでは!?
王都の人間たちも滅ぼされずに済んだのでは!?
余計なことしやがって!と思うのもしかたなくない!?

 

でもそれは結果論なのかもしれません。
少しずつ大きくなっていったシュウの集落は、いずれ聖騎士の目にもとまっただろうし、そうすれば聖騎士は魔物を攻撃し、シュウは聖騎士に反撃し、シュウを庇うアイリスが魔女裁判にかけられるというのは、もはや避けられない運命だったのかも。
でも神様はあんな予言するなら選択肢の詳細くらい教えてあげなよ〜って思います。
ああいうポエム的な予言には無粋なツッコミですけど。でも!ねぇ!?

 

どれだけ嘆こうとも「選択」はなされ、冥王は誕生してしまった。
そうすると、ここから冥王シュウの虐殺満載な反英雄譚が繰り広げられてしまうのでしょうか。
そのときアイリスはどうするのだろう。
魔女扱いされている状態とは裏腹に初恋に照れ照れしているアイリスは可愛いのだけど、彼女はこのままシュウと共に人類と対立する道を選ぶのだろうか。

続きがとても気になります。2巻も楽しみ。

 

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