終わる世界の魔人執事 /景山千博



終わる世界の魔人執事 (講談社ラノベ文庫)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

評価:★★★☆☆
2019年11月刊。
第8回講談社ラノベ文庫新人賞佳作受賞作
幼馴染なお嬢様と執事が終末世界で殺し愛、という盛りすぎ!でも好き!と言いたくなる終末もの。
ただ、心理描写がざっくりとして展開が駆け足だし、バトルは盛り上げようとする割に決着があっさりだし、うーん、ところどころ惜しいかなぁ。
でもシリーズ化前提の1巻みたいなので、掘り下げてほしかった部分は続刊に期待なのかもしれません。

☆あらすじ☆
世界が滅びると告げられた一年まで、残り七日。ほぼ全ての生物が消滅していく中で消滅を免れている唯一の場所――『終末の地』と呼ばれる場所で、お嬢様と執事が戦っていた。世界を終わらせる「滅び」を退け、新たな世界を生み出す救世主となってしまったお嬢様――ユズハと、救世主を阻止するべく魔人の力を得た元執事――シュウヤ。想い合う二人は、それぞれの意志を胸に秘め、戦い続ける。相手のために――第8回講談社ラノベ文庫新人賞<佳作>受賞作が登場!

以下、ネタバレありの感想です。

 

ある日突然全人類の脳内に語りかけられた、神による終末宣告。
そして主人公シュウヤの大切なお嬢様ユズハは新世界を生み出すための救世主となった。

「滅(ほろび)」によって消された人々も、新世界ではもとに戻る。
ただひとり、救世主となったユズハを除いて。

そんなことを受け入れられるか!と立ち上がったシュウヤは、神と敵対する悪神アムと融合し、魔人となってユズハから救世主のちからを奪うため、彼女と敵対する道を選ぶのです。

 

序盤から一気に話が転がり始める、かなりスピード感のある物語だったと思います。
殺し合いを繰り広げつつも、相手を想うゆえに本気を出しきれないシュウヤとユズハ。
そんな二人の複雑な感情は大変に好きなやつだったものの、展開が早いので心理描写が追いついていないように感じました。
これをテンポが良いと言うべきか、早すぎると言うべきか悩むところ。
私はもうちょっと二人の恋情や葛藤をゆっくり掘り下げてほしかったかなぁ。

 

とはいえ、幼馴染の主従であるシュウヤとユズハがこれまで築いた時間や想いが殺し合いにブレーキをかける、というのは好きな設定。
シュウヤとユズハが互いをどう見ているのかは物語の重要なポイントとなり、そのへんはスピーディーな本編の途中で挟まれる「間章」によって掘り下げられていきます。

家族同然に育った二人が、ある日父親の思いつき(?)で主従関係となり、その日から少しずつ距離が遠くなったように感じてーー

という、間章で語られる二人の過去もまた私が好きなストーリーではあったのだけど、うーん、なんというか、ちょっと尻すぼみ?
「主従となったことで開いた距離」という部分の処理が個人的にしっくりこなくて。
ただ、これは今後の課題となっているのかもしれませんが。思いっきり続刊前提の内容ですしね。

 

殺し愛宣言によって幕を開けた物語は終末世界を一気に駆け抜けます。
じりじりと「滅の化身」の恐ろしさを描いたりピンチを演出した割にはサクッと決着がついたことに驚いたのだけど、解決ではなく先延ばしに過ぎないからこんな感じでも良いのかもしれない。

 

ラストのシュウヤとユズハの再会は、なかなかに切なくてキュンとしたので続きに期待したくなりました。
あとがきの嘘予告はどこまで本当なんだろう。
ここから学園ラブコメになるのは本当ですか?(嘘って言ってるだろ)

 

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