勇者の君ともう一度ここから。 /みかみてれん



勇者の君ともう一度ここから。 (LINE文庫エッジ)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

評価:★★★★☆
2019年9月刊。
一度は諦め、逃げ出してしまった、最愛の少女との未来。
後悔の涙に濡れる日々は突然終わりを迎え、主人公はやり直しのチャンスを得ることになります。
これは勇者が世界を救った、「その後」のお話。
そして、救われなかった勇者を救うために立ち上がった男の物語です。
甘くてほろ苦くて美しい純愛ファンタジーでした。もうねぇ、こういうの大好き!

☆あらすじ☆
勇者セラフィルナは、己の命と引き換えに狂神を討ち倒し、世界を救った。
一方、かつて勇者と共に旅をしていた隻腕の青年ジャンは、片田舎にて後悔の日々を過ごしていた。剣神と呼ばれながら、彼は逃げ出したのだ。──たかが腕を切り落とされた程度で。
そんなジャンの下へ現れた王都からの使者が告げる。
「勇者はまだ生きている。世界と彼女を救いたければ私たちと共に来てほしい」
「……どうして俺なんだ?」
「キミに伝えたいことがあるようだった。もし会わないというのならば、聞くべきではない。恐らく、その言葉を永遠に背負うことになるだろうから」
亡くした腕の代わりに魔神器『ヴルムの真腕』を与えられ、救われなかった少女のために、ジャンは再び立ち上がる。
今度は逃げたりしない。最後まで彼女のそばにいるのだと。
狂神の呪いを浴び、心を失った少女の傍らに、腕を失った男が寄り添う。
未来は優しく、果てなく、幸せになれるのだと信じて。
──勇者の君ともう一度ここから。
今、最高の感動ファンタジーが幕を開ける!!

以下、ネタバレありの感想です。

 

かつて剣神と呼ばれた青年ジャンは、片腕を失ったことで勇者セラフィルナに別れを告げ、故郷の村でひとり燻っていた。
愛するセラが狂神を討ち倒して命を散らした今、彼には生きる理由すら存在しない。
そんなジャンの前に「セラフィルナ管理官」と名乗るメルデリッサが現れたことで、ジャンは挫折と後悔を乗り越え、もう一度セラを幸せにするためのチャンスを得るのです。

 

正直に言うと、序盤は「ちょっと微妙かな?」と思っていました。
だって、ジャンとセラが出会い、恋をし、悲しい別れを経て、セラが一人で邪神を打ち倒すーーという壮大なファンタジーは既に終わっているわけです。
そのへんをダイジェスト的に流して、終わった後の話をするのが本作の特徴で、ジャンの気持ちは最初からクライマックス。
だけど読んでる私の気持ちはまだ初速にも入ってないから、それで楽しめというのも難しいものがあるなぁ・・・と。

 

が、本作が面白くなるのは、まさにその「終わった後の話」が本格的に動き始めてからでした。
具体的に言うとデート中に起こった突然の虐殺劇で目が覚めた。

邪神を倒した後も、世界を救うために呪いを抱える勇者セラ。
一度は失敗したけれど、今度こそセラと添い遂げようとするジャン。

セラが守りたいのは顔のない人々ではなく、本当はジャンただ一人で。
ジャンが守りたいのも、愛するセラただ一人で。

そうやって想い合う二人なのに、セラが負う「勇者」という運命は彼らの間に深い断絶を生んでいる。
それを明確に思い知らされるのが、あの惨劇からだと思うんです。

 

深い後悔と挫折を乗り越えたジャン。
「セラを幸せにしたい」という切ないほど一途な願いは、物語が進むにつれて、それがどれだけ困難な試練なのか明らかになっていきます。

それでも今度こそ諦めるわけにはいかないのです。
セラの命がかかった、正真正銘のラストチャンスだから。

何度も何度もジャンの愛は試され、その度に彼はボロボロになりながら試練を乗り越えていきます。
これがもう震えるほど格好良かったし、純愛が美しすぎて目頭が熱くなりました。

 

勇者である自分は幸せになる資格がないと心を閉じるセラを、ジャンが何度も引っ張りだそうとするところも良かった。
4度のプロポーズは回数を重ねるたびに言葉の重さが増していって最高だったし、何より私が好きなのは終盤でセラに選択を迫ったシーン。

もしも勇者であることを諦め、自分自身の希望すら捨てるなら、ただのひとりの女として俺が一生をかけて幸せにしよう。
それでも勇者で在り続けたいと願うなら、お前は勇者として、お前自身の力でちゃんと幸せになれ。

これ、めちゃめちゃ優しい激励だと思った。
セラが「勇者」を投げ出しても、「勇者」を背負い続けても、彼女が幸せになることはジャンが保証するんですよ。
だから安心して、後悔のないように、自分の思うままに道を選べって。ううう、最高かよ、男前すぎる・・・!

進みたかった道を諦め、挫折を味わったジャンが言うから、あの言葉が心に響くのでしょう。
セラの心を絶対に救うんだ!という意気込みがびしびし伝わるシーンでした。

 

再び苦難の運命を乗り越えなければならないジャンとセラ。
もう一度ここからやり直し、今度こそ幸せを掴むために。

 

とても面白かったです。
「少し早めの新婚旅行」も書いてくれますよね?続きを楽しみに待ってます!

 

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「勇者の君ともう一度ここから。 /みかみてれん」への2件のフィードバック

  1. 気に入っていただけたようで嬉しいです!

    自分も読み始めた頃は「あんまり入り込めないなあ……」と思ってました
    でもせっかく買ったんだから最後まで読まなきゃなあと思って読んでいたんですが
    途中から一気に面白くなりましたね!
    ジャンの言動や純愛っぷりにいちいち感動させられ、何回目頭が熱くなったことか
    挫折してなくてよかったと思います

    LINE文庫の作品の中では比較的売れている方っぽいので、続刊も期待したいですね!

    1. スズナリンゴさん、コメントありがとうございます。

      面白かったですー!ご紹介ありがとうございました。
      最初はちょっと乗れなくても、途中からグングン面白くなっていくタイプの作品でしたね!
      その頃にはジャンの気持ちに読者(私)も追いついて、相乗効果でめちゃくちゃ感動してました。純粋一途なジャン、本当に格好良かった・・・!

      売れてるんですか!それは確かにシリーズ化に期待できそう。
      新興レーベルなんで傾向がわからないですが、上手く軌道に乗って欲しいですね(^o^)

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